ラヴ・ストリームスのレビュー・感想・評価
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ジーナ・ローランズの入退院
カッコ悪くてカッコいいぞカサヴェテス。 「グロリア」「オープニングナイト」につづき3本目だぞカサヴェテス。 長いし序盤は(退屈じゃないけど)眠いし後半はむちゃくちゃ破天荒だぞカサヴェテス。 ジーナ・ローランズの存在感ってほんとに独特だなぁ。愛嬌があってスタイルもいいのにエロくない。女子校のアイドルになれそうな男前。なのにファッションはエレガント。美脚。 そしてとにかくカッコよくてカッコ悪いカサヴェテス。 内容は「……」だったので置いとくとしても、ともかく撮り方(撮影)がものすごく変わってる。 たとえば後半の動物が出てくるシーン、本来そのショットでは動物も入れるのが普通だと思うけど、それをフレーム外に置いて俳優(監督本人)が悪戦苦闘するさまだけを見せる。 観客としてはおあずけを食ってるわけなので、若干のストレスがある。そうすると画面に独特の粘り(テンション)を感じる、というわけ。 終始その調子なので観る方は気力が必要。これが賞を獲った理由はよくわからないけど、こういう手法もあるんだなぁと感心した。 あとこのやり方だと役者の負荷は大変だろうな。 作家なのにぜんぜん仕事しないで遊び回るカサヴェテスは身近にいたらとんだメンヘラ製造マシーンだが、周囲の受け止めは割とサラッとしてて、なのにおまえがメンヘラに振り回されるのかよ!っていう皮肉。 結局、他者への愛なしに自分勝手に生きることは至難の業っていう独身者には救いのない話。 想像だけど「こわれゆく女」と続けて観た方がしっくりくるんだろうなぁ。
一方的な愛の流れ
痛々しいのに、清々しくてチャーミング。 生きる為に必要なさじ加減なく、常に全力投球。大量の荷物も動物たちも。 行き場のない夫と娘への愛を抱え込み、献身的な弟の愛を受け取れない。 それでも、変人扱いじゃなく、懸命に生きる人として見せてくれるから、抱き締めたくなっちゃうな。 弟と老婦人のダンスシーン、可愛らしかった。
カサヴェテス特集ラスト
にして初めて、全然眠気感じなかった。カサヴェテス耐性が付いたのもあるが、大分観易くなったのは確か。音楽もポップ傾向で、多用が目立つ。しかし油断してると、子どもは逃げ出すわ、動物は買って来られるわ、プールサイドでのローランズはしゃぎのイタさは激痛。これは「こわれゆく女」の続編なのか? 最後は嵐で、これは題名にもある流される果てなのだろうか? バッサリ終わらないと収拾つかなかったのは確かでしょう。 レトロスペクティブ完走のご褒美にトートバッグを買った。ジムザドッグに癒やされました。
残念だが、わからなかった…
2023/8/19 1回目の鑑賞 2023/9/8 2回目の鑑賞 つい先日、鑑賞したことを忘れてしまって また観に行ってしまった。 初めての映画のつもりで観ていたのだが あれ、これ知ってるな、観たことあるぞ が続き、ラブストリームスとわかった。 しかし、前よりも新鮮に観られたような気分だった。
「人生は自殺と離婚と子供を殴ること」
田村正和を彷彿とさせるカサヴェテスの品と軽やかな身のこなし(階段を駆け上がるシーンは最高!)。そしてもはや職人芸とも言える秒で憑依するジーナ。、こらはもう一見の価値あり! タイトルはカサヴェテスが吐く劇中でのセリフ。これにはゾクッとした。現代だと厚労省の自殺相談レベルだけど、当時は89年のベルリン壁崩壊直前で、冷戦のレーガンとゴルバチョフで核軍縮、ペレストロイカと民主化方向に進み始めて来た頃。要するに信じられるものは、愛ってことよね。そして愛の先にはどうしても忘れちゃいけないのが旧約聖書からお馴染みの彼ら。これはもうテッパンね。
流れて、止まる
解説を読まずに鑑賞したから、あの二人が姉と弟って気付いたのが、終盤前くらい!? カサヴェテスは役者としての佇まいが渋くて、車を運転しての駄々をこねるシーンは笑えるし、新手のナンパ方式が斬新!? カーアクションでの無残な二人から、バク宙飛び込み、ミュージカル方式と夢の中で狂っているジーナ・ローランズ。 いや、あれだけの動物をタクシーに詰め込んで、放置したまま去ってしまうジーナ・ローランズは夢じゃない!?
ジーナ・ローランズ、凄い!
眠気を完全に吹き飛ばす緊張感に溢れた映像の連続。アクションなんかではないよ、役者の表情が凄いのだ。「そこにあるはず」の愛を必死で守ろうとして、どんどん壊れて行くジーナ・ローランズの眼が何とも言えない強さを放つ。ただ俗人には重すぎる視線だ。
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