「ベルトリッチの気品」ラストエンペラー ミカさんの映画レビュー(感想・評価)
ベルトリッチの気品
随分前にビデオで鑑賞したことありますが、リバイバル上映に合わせてスクリーンで再鑑賞しました。私はイタリア人監督のカメラの美しさにいつも惚れ惚れするのですが、流石ベルトリッチですね。舞台が満州でも砂漠でも、スクリーンが芸術的になります。スクリーンで鑑賞して本当良かった。
恥ずかしながら満州の歴史をほぼ知らなかったので、本作を鑑賞して満州の歴史を少し理解できました。満州族の文化が煌びやかでユニークで、100年前には世界中にユニークな民族が沢山残っていたと想像します。
あの激動の時代に溥儀にもあんなに沢山の時代の波が押し寄せて、一人の人間の人生としては過酷でした。王政が倒れる時には皆殺しになるor自決すると思っていたので、貧しく惨めになっても死に損なっても結果的に自死せずに生き続けた溥儀になんとも言えない愛しさを感じてしまいました。自分で靴紐を結び自転車に乗りかつて自宅だった紫禁城に出かける溥儀に。
権力を失い財産を失い文化を失い、全てを失った王様の物語なのに景色もジョン・ローンも美しく気品がありました。溥儀の心象に気品があるからなのでしょう。これが、ベルトリッチです。
満州国について、もっと勉強します。
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