もののけ姫のレビュー・感想・評価
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産業革命黎明期
未来(子孫)への備え(贈り物)とし、自然の恩恵を分けてもらうことで命をつなぎ、自然とともに生きていた家内手工業の時代から、
「もっと成長を」と願い、創意工夫を重ねる工業化への変換の時代の狭間。
自然を管理し、治水をし、鉱物資源を日々の生活に活用し…。
そんな、人の生活を実り豊かなものにしようとする営み。
富が蓄えられれば、それを奪おうとする者も現れ…。
かつ、命の神秘をわが手にと策略する者、そんな人物の手足となり恩恵を得ようとする者。
それぞれの立場・思惑が入り乱れ…。
自然神 VS 人間の構図。
そんな単純な構図ではない。
エボシ御前を筆頭とするたたら場の人々。たたら場で作った製品はどこに流れていき、どのような使われ方をするのか。
そのたたら場の益に目を付けた戦国大名。
その戦国大名か、それ以外の権力者に命じられ、シシ神の首を狙う一群。
人間でも、獣でもないものたち。ー魔女の予言のようで、『マクベス」を思い出してしまう(そんなものは存在しないと思わせる予言)
山犬神、猪神の、この映画の中での存在・立ち位置は比較的わかりやすいが、
狒々神、鼠神達は?
最初のシシ神登場の時は、カモシカか鹿のようなシルエットもあったように見えるが…。
豊かさとは何なのか。その問いが、鑑賞者に跳ね返ってくる壮大なるスぺクタクル。
一見、ハッピーエンドぽく終わるが、答えの出ない命題。
多分、鑑賞するたびに、その時の年齢・人生の状況・社会状況によって、見方が変わるのだろう。
そんな、哲学書にも似た一大絵巻を、よくぞ作り上げたものだと称賛を捧げても捧げつくせぬ映画。
だが、それほどの映画だからこそ、「惜しい!」と思ってしまうところがそこかしこ。
重箱の隅をつつくが如くの棘なんだけれど、言いたい!
「もっと、もっと」と望んでしまう私は、たたら場の者や戦国大名と一緒なんだと思いつつ…。
だいだら法師の造形。
なんであんなデザインなのだろう。内臓が透けて見える…。勿論、意味があってのことなんだろうけれど。”命”を視覚的に表しているのだろうけれど、グロテスク…。
木霊の顔も、動きがかわいらしいが、今ではマスコットにもなっているが、初見では驚いた。
まあ、ムンクの『叫び』がマスコットになるご時世だから。人の感覚は変わってきているのだろう。
主要人物アシタカの造形。
やっていることは、双方を結び付け、共存の道を探ろうとする青年。だから、どっちにも加担し、どっちをも裏切る。下手すると、蝙蝠のような、優柔不断な存在。だが、言葉使いと、松田氏の一本筋の通った貴公子然とする発声・言い方。その松田氏のおかげで、善なる道を模索しつつも成しえぬ、それでも悩み苦しみつつもあきらめない高潔な青年ー人類の希望ーみたいに見えてくる(笑)。
ヤックルが常に付き添うのも、アシタカの誠実さを表していて好き。
そのアシタカと比べると、エボシがよくわからない。
たたら場の人々を大切にし、生活の場を与え、切り盛りする女傑。それが、クライマックスに差し掛かる前の決断…。何故?私には突然の変心に見えて…。
声は田中さんで合っていたけれど、絵が田中さんの演技に追い付いていない。田中さんの姿を思い浮かべながら見てしまったよ。初期の東映映画やディズニーみたいに、田中さんに演技をしてもらって、そこからセル画起こして欲しかった。
そして、サン。
言葉や刺青・服は誰が教えたの・施したの?う~ん…。ま、映画の都合上、おいておいて…。
なぜに声が石田さん?山犬の娘としての猛々しさがない。監督はどういうイメージでサンを作ったんだ。人身御供にされた非力で哀れな娘?
大変申し訳ないけれど、サンがいなくとも話は進む。山犬神たちはちゃんと人間とコミュニケーションをとれる設定だもの。
森繁氏。『白蛇伝』でほれ込み、監督自らお願いしに行ったと聞いたような。だが、『白蛇伝』の方がすごかった。
『白蛇伝』を見てから、声には声優ではなく、俳優を使う主義と聞いているが、それがいい方の出ることもあるし、悪い方に出ることもある。
勿論、小林氏、西村氏、上条氏、森光子さん等々、他にも、えっ?この人が?と華を添えてくださっているのだが…。
とケチつけてはいるものの、
三輪氏の声にはひれ伏してしまった。
この映画の格調を一気に上げている。母性を醸し出しながらも、荒ぶる男性的な神の声。神々しすぎて、つい背筋を伸ばしてしまう。三輪さんの声で語られる、人間の考える人情なんてちっぽけなものと思わされる自然の摂理。説得力がありすぎ。
でも、エボシよりは、役柄の性質上まだモロの顔で見られるが、それでも絵が負けている。勿体ない。
絵と音の融合。難しい。ちょっとしたことが、お互いを殺してしまう。
スッキリとしたオチがあるわけでもない。
この映画の人物のその後は描かれていないが、時代を下って、今の私たちに繋がることを思えば、そこにあるのは希望なのか?
土地神は戻るのか、呼び戻せるのか。
そこに”発展”はあるのか。
エンディングテーマにのって、思いを馳せてしまう。
ヒューマニズムと自然
ギリギリ若かった駿監督、御大の最初で最後のアクション大作アニメ
プロデューサーの鈴木敏夫氏の説得によって誕生した『もののけ姫』、当時の
宮崎駿氏の年齢がギリギリ体力勝負でアクション物を作れる最後の時期だと
判断したゆえらしいがこれ以降、御大の作品でここまで苛烈で迫力ましましで
熱気のある作品は存在しない。驚異の作画枚数と本格導入されたデジタル処理
(祟り神の触手の動きや背景の動き等)が織りなす合戦や戦闘シーンの数々は
ジブリ作品随一の迫力を生み出し、久石譲氏の手がける数々の劇中曲もひときわ
荘厳で、主人公が里を出立する際のBGMは圧巻。脂の乗り切った時期に
制作されたのもあろうが、まさにタイトル通りの作品である。
ただ、この感想を抱いたのは今回のリバイバル劇場とその前から積み上げてきた
予備知識を含めた最近の話、初公開時にはこんな感想は全くなかった。
本作は97年に公開されており、これの初視聴は劇場ではなく自宅のビデオ。
当時は小学生なのもあるが、内容が複雑すぎて全然理解してなかった。
あの時劇場に足を運んだとしても楽しめなかったと断言できる。
ちなみにビデオで見た時に浮かんだ感想は『おかゆ美味しそう』だったが、今でも
このシーンは旨そう、ジブリは食事シーンがとにかく美味しそうに描くから好き。
今となって多少は物語への理解力が高まったおかげで話の流れを汲めるように
なり、事態が急変していく本編の流れを初めて理解して見れた。その一方で
本作の結末が一応のハッピーエンドを迎えはするが、例えばアシタカの呪いは
果たして解けきってるのか、たたら場とシシガミの森の対立が解消されてるのか
たたら場を襲った侍連中は全滅したが第二陣が来るのではないかと内容を理解
したからこそ結末に影を落とす不穏要素がかなり残っているようにも見えてきた。
だだ、この作品の主題要素には監督いわく
①子供たちの心の空洞
②至る所に起こる差別
③人間と自然との関わり
④人間の憎悪の増幅作用、殺戮へ突き進む闘争本能
⑤神秘主義と合理主義の対立
など字にしてもさっぱり解らない課題を入れているそうで、これらを取り入れた
監督自身も【解決不能な問題】と評しているのである、なら結末が解決してるようで
解決してないように見えるのは制作者の狙い通りなのかもしれない。
現代の世界を上からシシガミが見てるよう
大人になって観たら、細やかな演出に驚かさせた
オッコトヌシサマアー ダマレコゾウ
全人類見てほしい
何年ぶりに見たのかわからないけど、すごいな、やっぱりジブリは格別。
内容もそうだけど、とにかく風景画が綺麗。美しすぎて風景ばっかり見てた。森の中で差し込む日光が顔に当たる感じとか、走ってその光と影が動いていくかんじとか、とっても綺麗でリアル。
手描きでこんなにリアルな動き出すって、どんだけの工数かかってるのやら…と恐ろしくもなりました。
効果音もすごい。映画館ならではの臨場感、この作品はやはり映画館で一度は観るべき。
全人類見てほしい、というのは、自然界に敬意を払って共存していくことを真剣に考えるべきだよね、という当たり前だけどできていないことへの思い。
近代って、まさに自然界からのしっぺ返しを受けていると思うのです。
タイトルなし
自然と神と人間
一生に一度は映画館でジブリをPART2
千と千尋の神隠しに続いて観賞。これはテーマ性も強く驚くべき情報量を自分なりに解釈していかなくてはならないためにかなりの疲労感を伴います。子供にとっては勧善懲悪の線引きされていない作品だけになおさら難解な作品と感じるはずです。人間たちもエボシらだけではなく、浅野公方傘下の侍、野武士、唐傘連のジコ坊たち。また、もののけ側もサンらの他に乙事主率いるイノシシたちもいて各々価値観が違ってます。これらの間で主人公アシタカが奔走するのだが、彼のみがベビーフェイスでそれ以外は各々持論の正義を振りかざし戦い続けるカオスな状態。今でいったら宗教観の違う民族が互いに主張をまげず対立している中東情勢のようなカオス感を表してます。
これを室町時代を舞台につくる宮崎駿の世界観はお見事以外ありません。ちょうど混沌としたカオス状態は応仁の乱から戦国時代に突入する時代背景と合致します。観れてよかったコロナ禍のジブリ企画に感謝!!
ヤックルってこんなに可愛かったっけ?
キャンペーンの飛びついて、はじめて映画館で鑑賞。
映画館でみると、ドロドロしさより自然と大地の美しさが際立ってました。
映像はもとより音楽の力がすごい。映画館って音いいんだなぁ。
久石さん天才です。
東山動物園でシルバーバックのゴリラを見た経験により、シシガミ様やおっことぬしなど群れの中の大きい個体の神々しさを強烈に感じました。
感動すら覚える衝撃。
駿監督も近い原体験があったのではないだろうか。
人生の体験は映画鑑賞を豊かにするなぁ。
もののけ姫自体、しっかり観たのは10年ぶりとかになるのかな。
展開を全然覚えてなかったから新鮮な気持ちで見れました笑
ただモブキャラの細かいセリフをしっかり覚えてたりしました。
「あらっ、いい男じゃない」とか「わたしらもたたかいますゆえ!!」とか。
記憶の種をポンと芽吹かせた感覚。妙な気持ちよさがありました。
こだまってこんな人間ぽい体つきしてたっけ?
ヤックルってこんなに可愛かったっけ?
なんて再発見も。
深くて溺れる
アニメを超える、ジブリ作品
あれ?ラブストーリー?
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