ミレニアム・マンボ

劇場公開日:2024年2月16日

解説・あらすじ

「悲情城市」「フラワーズ・オブ・シャンハイ」などの巨匠ホウ・シャオシェンが、新世紀(ミレニアム)の台湾に生きる女性の愛の喪失と再生を描いた青春ドラマ。2人の男性の間で揺れ動く主人公の姿を彼女自身の10年後のモノローグでつづり、心の奥深くに激しい感情や欲求を抱えながら生きるひとりの女性の姿をリアルに映し出す。

2001年、台北。高校時代からの恋人ハオと同棲しているビッキーは、仕事もしないで酒やゲーム、クラブ通いに明け暮れるハオにうんざりしていた。仕方なくホステスのアルバイトを始めた彼女は、そこで出会った男性ガオのもとへ逃げ込むが、ガオは揉めごとに巻き込まれて日本へ行ってしまい……。

後に「百年恋歌」「黒衣の刺客」でもホウ・シャオシェン監督とタッグを組むスー・チーが主演を務め、「花様年華」「夏至」のリー・ピンビンが撮影を担当。2001年・第54回カンヌ国際映画祭で高等技術院賞(芸術貢献賞)、第38回台湾金馬奨で撮影賞・オリジナル作曲賞・音響賞を受賞した。2024年2月、4Kレストア版にてリバイバル公開。

2001年製作/105分/台湾・フランス合作
原題または英題:千禧曼波 Millennium Mambo
配給:SPOTTED PRODUCTIONS
劇場公開日:2024年2月16日

その他の公開日:2003年4月12日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第54回 カンヌ国際映画祭(2001年)

出品

コンペティション部門
出品作品 ホウ・シャオシェン
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(C)2001 3H Productions / Paradis Films / Orly Films / SinoMovie.com

映画レビュー

3.5【ミレニアムを迎えた台湾で、どうしようもない恋人と頼りがいのある中年ヤクザとの間で心揺れる美しき女性を独特のタッチで描いた作品。】

2025年8月27日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

■2001年の台北のバー。人々はミレニアムに浮かれている。
 ヴィッキー(スー・チー)は恋人のハオと一緒に暮らしているが、仕事もせずに彼女に纏わりつく紐のような彼にうんざりする日々を送っている。
 閉塞感の中、ヴィッキーはホステスのバイトで出会ったガオのもとに逃げ込む。だがガオはもめごとに巻き込まれ、彼女を置いてメモを残し日本へと旅立ってしまう。
 ー という内容が、2001年の映像と共にヴィッキーと思われる女性により、回想するかのように語られていくのである。-

◆感想

・侯孝賢監督作品を数作観て来たが、ドラマティックな展開がある訳ではない独特の退廃感溢れる作風が、どこか惹かれるものがある。

・特に、夜の映像の映し方はコレマタ、独特の美しさに満ちており、今作で言えばヴィッキーが務めるバーの店内のミラーボールや、彼女がガオを追って渡った日本の夕張の雪が積もった中に映し出される、石原裕次郎の”黒部の太陽”などの名画の看板の中、ヴィッキーが台湾では見せた事がないような笑顔で歩いてるシーンも、印象的である。

・この頃の台湾の監督と言えば、エドワード・ヤンであり、彼が残した名作は印象深いが、侯孝賢監督作品の作品は、それに比べると過剰な演出はされずに、描かれて行くものが多い気がする。
 そこが、”侯孝賢監督って、そんなにすごいの?”と言われる事が多い所以であろう。実際に今作後の「珈琲時光」などは、小津監督への憧憬により制作された作品だそうであるが、地味である。

<が、この監督の作品には何処か、不思議な美に溢れており、その対極で退廃感も漂っている。そのアンビバレンツなバランスが魅力なのかもしれない。
 もしかしたら、この監督の作品は配信で観てもその真価が伝わらないのかもしれない。うらぶれたミニシアターで、誰もいない中で一人観ていると、更に良くなるのかもしれないと思ったモノである。もう少し、この監督の作品を観て観ようと思わせてくれる屹立した独特な作風は癖になるからである。>

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NOBU

4.0新たな千年紀が始まった頃

2025年8月15日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

癒される

カワイイ

4Kレストア版で20年ぶりに再観賞。舞台は2001年の台北。地方から出てきて男と同棲している主人公の若い女性は、仕事もせずにDJの真似事やクラブ通い、ゲーム、酒、タバコ、ドラッグと遊び呆け、そのくせ異常なほど嫉妬深く束縛してくる男にうんざりしているが、なんだかんだで別れることができない。生活費のためにホステスの仕事を始めた主人公は、そこに客としてよく来る包容力のある中年ヤクザに惹かれていく。ある日、同棲相手の暴力に耐えかねた主人公はアパートを飛び出し、ヤクザのもとに駆け込むが、やがて彼も子分の揉め事から彼女を置いて日本へ高飛びする。主人公は彼を追って、東京、そして北海道の夕張へと赴くのだが……。

刹那的に生きる現代の若い女性を主人公とした映画だが、最初に観た当時はそれまでのホウ・シャオシェンの映画とかなり違うのでちょっと戸惑った。全体的な作風は間違いなくホウ・シャオシェンなんだが、流れる音楽がそれまでのホウ・シャオシェン映画には無いエレクトロミュージックだったし、香港映画でスターとなったスー・チーを主演に起用したのも意外だった。だが今になってみると、この映画が21世紀のホウ・シャオシェン映画を方向づけたということがよくわかる。ほとんど脚本らしい脚本もなくリハーサルもせず、あらかじめ決まったセリフさえ無いというスタイルの撮影だったとのことだが(ただし状況設定だけは入念にディテールを盛り込む)、スー・チーはホウ・シャオシェンの高い要求に応えられる俳優だったのだろう。ホウ・シャオシェン自身がスー・チーの存在で自らの映画の方向性が変わったと言っているし、スー・チーもホウ・シャオシェンとの出会いで演技や映画の哲学が変わったという。その後、『百年恋歌』、そして結果的にホウ・シャオシェンの最後の映画となった『黒衣の刺客』まで、ホウ・シャオシェンはスー・チーを主演に起用し続けた。

とにかく観ていて痛感するが、スー・チーが存在するだけで映画になるということが素晴らしい。観ていてつい彼女を目で追ってしまう。まさに映画女優だ。夕張で片言の日本語をしゃべり、積もった雪にダイブするスー・チーの愛らしさ。そういえば2010年の中国映画『狙った恋の落とし方。』でもスー・チーは北海道に来ていた。『ミレニアム・マンボ』と前後して公開された香港映画『スイート・ムーンライト』は東京が舞台だし、意外に日本と縁がある女優だ。2001年(か2000年)の冬の夕張が映し出されるのも今となっては貴重。あの頃はまだ夕張映画祭が盛んだったんだな。懐かしい。

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バラージ

3.5台湾と日本の情緒

Jさん
2025年6月17日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

2000年代特有の情緒を感じる。
時折映る夕張や新宿はヴェッキーにとって現実逃避の場所だっのかもしれない。
今はなき、日本の風景と台北の風景が交差しあの時代を生きた人達はどう感じるのだろうか。

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J

3.565点ぐらい。

2024年7月10日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

静かめで淡々としてて眠かった…

少し日本が出てきます。

主人公の女性はキティちゃんが好きな設定なのか、ちょくちょく映りこんできます。

あと、ウルトラセブン(たぶん)と仮面ライダーV3も(笑)

キリンビールまで(笑)

台湾の映画だし、日本が好きな監督なのかな?

作風は、ぼやーっとした話の描き方ですね(笑)

こういうの苦手です(苦笑)

65点ぐらい。

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RAIN DOG