劇場公開日 2017年3月25日

「映画の缶詰が来て歓喜の子ども達」ミツバチのささやき talismanさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0映画の缶詰が来て歓喜の子ども達

2025年2月23日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

悲しい

知的

映画が来たよ!面白いよ!映画は「フランケンシュタイン」!悪夢にうなされそうだ。それなのに即席・映画館には大人だけでなく子どももやってきて満員。映画上映時間情報はラッパ型マイク(拡声器?メガホン?)を使っておばさんが村中に聞こえるようにアナウンスする。映画では、恐ろしい顔で大男のフランケンシュタインと女の子が出会うシーンが映る。ちっとも怖がらない女の子、お花を池に落とす遊びを一緒にする。フランケンシュタインの顔にも笑顔が浮かぶ。次のシーンでは、フランケンシュタインも女の子も倒れた状態で運ばれる。死んだ?何が起こった?アナには何が何だかわからない。なぜ?と聞かれて姉のイザベルは、あれは映画だから誰も死んだりしていないよ(アナが知りたいのはそこじゃない)。そして更に色々言う。その中でアナの頭の中にはっきり残った言葉は、多分、英語にしたらspirit、アナにとってはお化け、精霊、幽霊、天使、妖精のようなもの。それは優しくて怖くない。でも死とか倒れちゃうはよくわからなくてとっても怖いと思った、と思う。

地平線が見える広大な大地、その中にぽつんとある小屋と井戸のある近辺はアナとイザベルの遊び場だ。その小屋の中でアナはspirit=脱走兵を見つけた(映画「汚れなき悪戯」を思い出した)。「フランケンシュタイン」の女の子みたいにお花、ではなくてリンゴをあげて、家に戻ってからパパのコートとかパンも持ってきた。アナはspiritの足の怪我に気がつき彼女なりの手当てをする。そしてspiritの靴ひもを結ぶ様子はとても可愛くて上手だった。ああいう風に結ぶと(アナは自分の靴も同じように二重結びにしていた)ほどけないなと感心した。

私はアナの母親テレサの元恋人(手紙の宛先)はそのspiritだと思った;テレサの住む村近くを狙って列車から飛び降りたから、テレサの年齢と合う若くて美しい男だったから、テレサはそのspirit=脱走兵が撃たれて亡くなったあと、書いた手紙を封筒ごと焼いたから。封筒の宛名住所はフランスだった。

アナの家族は大きな立派な家に住んでいる。家政婦も居る。二人の娘の服も寝間着もとても品がよくて可愛らしい。豊かな家だ。父親は妻のテレサよりずっと老いている。家にはどっしりした書斎があって本棚には革張りの本がたくさん並んでいる。父親はインテリなんだろう。妻との関係は冷えているようだし娘達と家族で賑やかに話すでもない。養蜂は暇つぶしの趣味なんだろうか?父親は蜜蜂をとてもクリティカルに見てそれをノートに書きつけたりしている。一部、削除したりして。

脱走兵の一件で、アナはぐったりしてベッドで寝ているが、イザベルと一緒の寝室なのにイザベルの方のベッドのマットレスもリネンも外されていることに驚いた。アナは別に伝染病に罹った訳ではない。それでもイザベルがアナの所に来たから安心したけれど、イザベルはアナにしか見えない存在なのかと思ったりもした。家族で居る時もイザベルは私達には見えるしアナにも見えているのに両親からは見えてないのかも知れない。学校でもイザベルは姉のはずなのになぜアナと同じ教室で授業を受けているのかな(勘違い?)と思った。

アナの瞳が可愛らしくて純粋でずっと見ていたかった。映画の題名「ミツバチのささやき」は悪くないけれどちょっと残念だった。他の国・言語の表題にはspiritをそれぞれの言語で入れている。日本語でもspiritをイメージできる語を入れたらよかったのに。でも自分では思い浮かばない。「目をつぶれば 君がいる」?歌謡曲の歌詞になってしまう。

talisman
活動写真愛好家さんのコメント
2025年2月25日

talismanさん、たくさんの共感ありがとうございます😊
レビューしてないんですが、次作の「エルスール」ともども大好きな作品です‼️

活動写真愛好家
kazzさんのコメント
2025年2月24日

ミニシアターのブームは80年代ですね。
先駆者「シネマスクェアとうきゅう」は劇場自体が地味だったので本当にマニアだらけでしたが、その後続々できたミニシアターは、場所も作りもオシャレな感じがしました。
このブームを支えたのは「ぴあ」だったのではないでしょうか。少なくとも私の情報源は「ぴあ」てきたね。
PARCOなどは演劇や展覧会など幅広く文化に貢献してましたよね。

kazz
ぷにゃぷにゃさんのコメント
2025年2月24日

「ゴッドファーザー」にコメントありがとうございます。
守ろうとするため、自分も周りも傷つけてしまう、悲しいお話でした。
2作で終わっても良かったかもしれないと思いましたが、コッポラ監督は時間が経っても3作作りたかったんでしょうね。
原作、いつか読みたいです。
今は隆慶一郎にハマってまして、時代ものにどっぷり浸かってます。
私も年齢的に膝だの腰だの、痛いところはありますが、とりあえず元気ですよー。
talismanさんもアクシデントがあっても、映画のレビューはガンガン書いていらっしゃるので、お元気で何よりです。
鋭くて正直な文章が大好きです。

ぷにゃぷにゃ
kazzさんのコメント
2025年2月23日

ミニシアターで映画を観るのがファッションだった時代、ありましたね🤪

kazz
kazzさんのコメント
2025年2月23日

WAVEのシネ・ヴィヴァン、タルコフスキーもやってたでしょうね。
私はゴダールの「カルメンという名の女」が一番並びました。

kazz