未知への飛行のレビュー・感想・評価
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フェイルセーフ
なぜこの言葉が一般的にならないのか非常に残念に思います
車なら、走行中に故障してもエンジンが停止する方向へ促す壊れ方をしているらしいし飛行機では滑空出来るような壊れ方にしているらしい
常に完全では無い、機械やシステムは壊れるものと思ってその壊れ方までを考慮して作らなければならないという事らしいです
この作品はとても素晴らしいものだと思います
軍事システムの誤作動で第三次大戦が起こりかねない危機までまねく、その時指導者達はどのような方法で食い止めて行くのか
古い作品ではありますが今の世も、そしてこれからの未来も誤作動はあるはず、そんな時彼らはどう対処するのでしょう
米国の今の彼にこれほどの決断が出来るのでしょうか
真っ先にボタンを押してしまいかねないのでは
自然災害だけでも地球は窮地にある中であらゆるシステムの誤作動をどう対処すればいいのか
原発もそうだしネット社会もコンピュータや電気に頼りすぎているように思えて仕方ありません。
立ち止まって考える時間を作るために新型コロナウィルスがこの世にやって来たのかも知れない
もっとこの作品が人々に知られれば少しは変わるのかも
そんなふうに思います。
また一つ、大切な作品と出会えました。
核の脅威と極限状態の人類の選択を描く映画
「名作映画」として名前が挙げられていたのを見掛けて鑑賞しました。
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コンピューターの故障により「モスクワに水爆を投下する」という誤った指令を受け取った米軍爆撃機。全面核戦争を回避するためにモスクワに到達するまでの間に繰り広げられるアメリカ政府の行動を描く作品。
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全く内容を知らない状態で観たのですが、鑑賞中、ストーリーが「博士の異常な愛情」と似てるな~とずっと思ってました。DVDの特典映像を観てみると、あまりに似すぎているので「博士の異常な愛情」サイドから訴訟を起こされたという話も出てきて、「やっぱりな」という感じ。両作品の比較映像とかも観られるので、特典映像は必見です。
「通信断絶された核爆弾搭載の戦闘機がロシア(ソ連)に向かうのを何とか阻止しようとする話」という大本のストーリーは全く同じなのですが、その事案がどのように起きてしまったか・どのように止めるか・最後に取る決断など、2つの作品には違いが多くあり、シチュエーションが同じだけで全くの別映画のように感じました。
「博士の異常な愛情」はコミカルに、「未知への飛行」はシリアスに核の脅威を描いています。
衝撃的だったのはラストシーン。ネタバレになるので詳細は伏せますが、グロなどの直接的な表現を使わずに核の恐ろしさを最大限描ききった最高のシーンだと思います。
藤子F不二雄先生の短編作品である「ある日……」という漫画でも、似たような脅威が描かれています。
「『ある日』は突然やってくる。「伏線」など張るひまもなく。説得力のある「破壊」などあるものか。ある日がいつくるか・・・・・・今日にも・・・・・・」プツン
個人的には「12人の怒れる男」にも出演していた大好きな俳優「ヘンリー・フォンダ」が極限状態で選択を迫られる大統領の役を熱演しているのもポイントが高いですね。
「博士の異常な愛情」では緊急事態に慌てふためく大統領が描かれていましたが、今作の大統領は常に冷静で周りへの配慮を忘れない紳士として描かれていました。そんな今作の大統領が、ラストでどのような決断を下すのか。ここがこの作品の一番の見所ではないでしょうか。
核の脅威を知る日本人だからこそ感じることがあるかと思います。多くの人に観て欲しい名作でした。オススメです!
覆水盆に返らず・・
米ソ冷戦時代、第三次世界大戦への危機感は現実味を帯びていた、日本でも東宝の「世界大戦争(1961)」が本作に先だって公開されていた、こちらは軍の上層部でなく市井の人々の視点から描いており、石造りの国会議事堂が核爆発の高熱で溶けてゆくシーンの怖さは今でも覚えている。
核戦争では共倒れになるから起こるとすれば事故か軍人の暴走だろうと言われていた。その後実際にキューバ危機があったから生きた心地はしなかった。
アメリカでも同様の不安はあって映画人が立ち上がったのだろう、社会派ドラマの巨匠シドニー・ルメットを担ぎ出して当事者たちの行動を大真面目に扱ったドキュメンタリータッチの密室劇を創ってしまった、銃撃戦さながらの過激なセリフの応酬が見どころだろう、思い入れは相当なもので効果音のみで音楽は使っていない。
本作は事故としているが原因はよく分からない、トリガーは機械故障でも二重通信系で同様のコードを示す辻褄のあった誤動作はおそらくプログラムのバグだろう。月面着陸でも誤警報が出て話題になった。原題のFail-Safeは空域らしいが本来は安全設計指針で双発機では一基のエンジンが止まっても飛行できるようにする例などがあるがこの爆撃システムはトンチンカン、全く機能しない。本作では怖さを強調するあまりシステムが絶対で人間系のリカバリーをことごとく排除する設定で危機を回避できません。やはり、この辺は創りすぎでしょう、ミサイル搭載潜水艦は発射には艦長と副長の合意を必須としていました、キューバ危機の暴走を寸前で救ったのはこの軍規です、アポロ13でも最後は手動操縦で帰還しました、人間は間違いを犯すが間違いを正すのも人間であって欲しいものです。ソ連の反撃を止めるためにニューヨーク市民を犠牲にする大統領の決断は何と言うことでしょう。ショック療法が度を越しており説得力には欠ける気がする点は残念です。
今日的なテーマとして観賞直す必要がある
1962年キューバ危機で本当に核戦争一歩手前にまで行った
その恐怖の記憶が2年後に二つの映画を産んだ
一つはキューブリック監督の博士の異常な愛情
もう一つが本作だ
どちらもテーマは同じく偶発核戦争への警告だ
しかしアプローチが違う
キューブリックは喜劇として、本作はシリアスなスリラーとして
原作それぞれ別々であるからそれは当然だ
一般的にはキューブリックの映画の方が圧倒的に知名度があり、本作は知るひとぞ知る名作になってしまった
本作は真正面から偶発核戦争の本質に迫っており、そこには逃げも隠れもない
誰もが正しく、誰もが正気で、最高の知能で考え抜かれた仕組みであっても、それ故に逆に破滅への歯車を誰も止められない恐ろしさ
圧倒的な迫真性が画面に溢れている
脚本、舞台セット、小道具もちろん出演者の演技も
ジェーンフォンダ演ずる大統領は正に大統領の風格で十二人の怒れる男達を思わせるような強烈な吸引力で画面から目を離させない演技を見せる
ソ連はもはやない、冷戦も昔話だ
しかし、それは本当にそうか?
米国もロシアも核戦力は削減されたとは言え、そのままだ
そこに中国と北朝鮮とさらに拡大して来ているではないか
米中の新冷戦は始まったばかりだ
フェイルセイフとは本来は間違って動作しても致命的な事にはならない仕組みの意味
本作の電子機器の不具合、今でいうところのサイバー攻撃によって偶発核戦争に至るストーリーは、いささかも古びてはおらず、逆に現代的ですらある、本当に起こりかねないものだ
果たして本作のソ連のように自制を新冷戦の中国はできるのであろうか?
もちろん米国も同じだ
本作のテーマは半世紀の時を越えて、妖怪のようによみがえっているのだ
ラストの途絶した電話から流れるキーンと言う高音が本作の衝撃の余韻となっていつまでも耳から離れないだろう
演出は凄い
歴史は継続する
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