「1989年ベストムービー!⭐️⭐️⭐️⭐️✨」ミステリー・トレイン stoneageさんの映画レビュー(感想・評価)
1989年ベストムービー!⭐️⭐️⭐️⭐️✨
『JIM JARMUSCH Retrospective 2021』にて鑑賞。
この作品が日本で初めて公開されたのが1989年12月。ピークを過ぎていたとはいえ、まだまだ円高バブルの時代でした。1ドル=100円しませんでしたから…、海外旅行なんかも普通に行けるようになって来ました。
この翌年2月にはローリング・ストーンズが初来日し、東京ドームで10日間!の公演をしました。スポンサーは大塚製薬。ポカリスエットのCMには、まだ10代の宮沢りえが出ていました(『サンタ・フェ』を出す前)。
音楽フォーマットは"レコード"から"CD"へ。まだ何とかレコードも生き残っていましたが、徐々にレコード盤は下火になって行き、レコード店はCDショップへと変わって行きます。ヴァイナルが、その音質から再び見直されるまで、長ぁ〜い長ぁ〜い潜伏期の始まりです。この時、レコード盤の方が、音が良いなんて誰も言いませんでした…専門家以外は。
それでも、音楽を持ち歩く時は、カセット式のウォークマンが主流だったのかな?そこのところは、あまり良く覚えていません。
個人的には、ブルースや'60〜'70年代のソウルが好きで、朝から晩まで中古盤を漁って聞いてましたね。多くの方が鬼籍に入られましたが、「レジェンド」「大御所」なんて呼ばれるようなソウルやブルースのアーティストが来日公演をしてくれました…この映画に出て来るScreamin' Jay Hawkinsも、『ストレンジャー・ザン・パラダイス』やこの作品で再び光が当たり、来日ライブが実現しました。
ほんまええ時代でした(笑)
この映画は、まあそんな時代の作品です。
インターネットなんて、もちろん無い時代…遥か遠いアメリカの、本場のブルースやR&Bが奏でられる土地を、その音楽を聴いて想像するしか無かった時代。本場のメンフィスを舞台とした映画というだけで興奮しました…当時の、正にリアルタイムなメンフィスの、アメリカ南部の土地がカメラで映し出されるんですから…。
映画の中で描かれるメンフィスの街もSunやStaxのスタジオもどこかくたびれて、もう過去の遺物と化しています。当時はもうほとんど見向きもされなかったのかも知れません。もちろん、そこに住む人たちも同じです。
それでも、東洋の遠く離れた国に住む我々には、いつまでも聖地であります。
自分もまたいつかメンフィスやシカゴ、ニューオーリンズといったアメリカ黒人音楽の聖地を訪ねてみたいと、この映画を観るたびに思うのです…。
ぼくなら.「エルビス!」「カール・パーキンス!」とは言わないで、「ハウリン・ウルフ!」って叫ぶだろうけど…。
…「ジュニア・パーカー!」でもいいか(笑)
*オーティス・レディングとかボビー・ブランドとか、メンフィスに縁のある音楽がバックで沢山流れます…ロカビリー系の音楽以外にも耳を傾けてみて下さい(笑)…もし、それが気に入れば、そこから先は泥沼の音楽体験の始まりです(笑)