マルタの鷹のレビュー・感想・評価
全17件を表示
読んでから観ましょう
原作も映画も不朽の名作です。
圧倒的なテンポでグイグイ引張るような演出が際立っています。
ボガート先輩のハマりぶりも圧倒的で、原作のヒリヒリする雰囲気を完璧に再現しています。
但し、原作があまりにも有名すぎるので、読んでいることを前提に作られています。
そもそもハードボイルド小説自体が客観描写に絞った文体が特色なので「なんでそれが分かったの?」「この人なんでここにいるの?」的な背景や心理状態の説明はしてくれません。
ヒューストン先生も原作のこの独特な文体を再現するような演出をとったそうなので、原作を読んでいてさえ集中して観ないと置いてけぼりになります。
参考 ハメット先生はそれまでの探偵小説の概念を根こそぎひっくり返して、ハードボイルドという分野を生み出した作家として探偵小説史上に燦然と輝く巨星です。
ちょうど清張先生がそれまでの探偵小説の概念を破って社会派推理小説を確立したのと相似形と言えます。
両者ともにそれまでの作り物の小説をリアリズムに引きずり出した点で共通します。
読んでから観ましょう
原作も映画も不朽の名作です。
圧倒的なテンポでグイグイ引張るような演出が際立っています。
ボガート先輩のハマりぶりも圧倒的で、原作のヒリヒリする雰囲気を完璧に再現しています。
但し、原作があまりにも有名すぎるので、読んでいることを前提に作られています。
そもそもハードボイルド小説自体が客観描写に絞った文体が特色なので「なんでそれが分かったの?」「この人なんでここにいるの?」的な背景や心理状態の説明はしてくれません。
ヒューストン先生も原作のこの独特な文体を再現するような演出をとったそうなので、原作を読んでいてさえ集中して観ないと置いてけぼりになります。
参考 ハメット先生はそれまでの探偵小説の概念を根こそぎひっくり返して、ハードボイルドという分野を生み出した作家として探偵小説史上に燦然と輝く巨星です。
ちょうど清張先生がそれまでの探偵小説の概念を破って社会派推理小説を確立したのと相似形と言えます。
両者ともにそれまでの作り物の小説をリアリズムに引きずり出した点で共通します。
ボガードさんのセリフは流暢なヤンキー英語。 喋り過ぎ。
ハードボイルドとは感情を加えずに、仕草や行動だけで言い表す表現だと思う。
だから、自ずとセリフが少なくなると思うが、この映画を見る限り、ボガードさんのセリフは流暢なヤンキー英語。
喋り過ぎ。
例えば、愛を告白する時に
『貴女は今まで見た女性の中で、一番輝いて、女神の様に見える。さぁ~瞳に乾杯!』と言ってボガードはタバコをもみ消した。
と一般でには表現すだろうが、ハードボイルドでは、
『君の瞳に乾杯!』と言ってボガードはCAME○をもみ消した。
となると思う。映画ではセリフも要らない。それはともかく、突然怒ったり、平手で女性を殴ったり、いきなり接吻したり、電話かけまくったり、簡単に酒を飲んで騙されたり、所構わず葉巻を吸いまくる姿が、何故格好良いのが分からない。古臭くて悪い男性像の呪縛から逃れられない概念じゃないか。と私は考える。
ハードボイルドの走りはアーネスト・ヘミングウェイだと思う。彼の短編集に出てくる『ニック物語』がハードボイルドの始まりたと私は思う。端的な短い文章でニックの感情の動きを表現している。勿論、ミステリーではないが。
さて
この類のミステリーは所謂ペーパーバッグのはしりで、気軽に読めるワクワクドキドキ話なのである。肩をこらずに気軽に読める話がハードボイルド。今で言うなら『ラノベ』。その映画なら、セリフを気にして、相関関係を探りながら見るような映画であってはならないと思うが。
ひたすらかっこいいハードボイルド
言わずと知れたハードボイルドの傑作です。ダシール・ハメット原作。
ジョン・ヒューストン監督のデビュー作です。デビュー作でこの完成度、というのもすごいですね。
主人公サム・スペイドがかっこいいやつで、演じるボギーがまた文句なしにかっこいい。たまりません。最初は(TVでやってたのを)久米明さんの吹替えで観ました。最後にスペイドが長広舌でもう超かっこいいことを言うんです。シビれました。男だったら一度はそのセリフ言ってみたいものだ笑。
その後DVD買って字幕で観たら、このセリフは字幕でははしょられていて全然つまんない(英語が聞き取れないから泣)。シビれない笑。私はたいていの映画は字幕で見る主義ですが、この映画に限っては英語が堪能でない方は吹替えで見ることをお薦めします。そういう、字幕ではニュアンスを伝えきれない映画って結構あるんでしょうね。DVDとか、吹替えがないんだよな(泣)。メーカーさん、吹替え付きのバージョンを出してください。
トリビア: 最後にスペイドが「(マルタの鷹とは)なんなんだ?」と問われて「夢が詰まっているのさ(stuff that dreams are made of)」と答えるんです。これはハメット(あるいは脚本家)の創作で、これまたかっこいいセリフだ、と思うんですが(多分アメリカ人もほとんどがそう思ってるんじゃないかと推測しています笑)、実はシェイクスピアのテンペストのセリフのもじりです。
【”この黒い鷹の像、重いな。””色んな夢が詰まっているのさ・・。”様々な嘘、騙しを織り交ぜつつハンフリー・ボガート演じる探偵は、美女の誘惑など歯牙にも掛けず相棒の仇を打つのである。激シブ作品である。】
■サンフランシスコの私立探偵、サム・スペード(ハンフリー・ボガード)はある日美女ブリジッド(メアリー・アスター)から「サースビーという男に尾行されているので助けて欲しい」という依頼を受ける。
スペードの相棒・アーチャーが依頼を肩代わりするが、その夜アーチャーとサースビーの死体が発見される。
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・原作自体が名作であるが、言うまでもなくプロットが秀逸な作品である。
・サム・スペードは、相棒を殺した犯人として、警察の追求を受けるが飄々と受け流し、”マルタの鷹”の真相に近づいていく。
■ハードボイルド炸裂シーン
・相棒・アーチャーを殺した真犯人が”泣き落とし”で許しを請うも、冷徹な目で真犯人の顔を見て、”探偵は、相棒を殺されたら放っては置けない。””上手く行ったら無期懲役、20年も経てば出られるだろう。それまで、待っててやるよ。死刑になったら時折思いだしてやるよ。”と言い放つシーン。
ー サム・スペードは美女の甘言に惑わされる事無く、相棒を殺した相手を許さないのである。-
<いやあ、この作品、原作も面白いが、派手な銃撃戦などなくても、コンパクトにまとめた映画も面白い。
そして、相棒を殺された事に対し、キッチリと報復するハンフリー・ボガード演じるサム・スペードの数々の台詞が格好良いのである。>
ボギー最高の当たり役‼️
ハンフリーボガートのハードボイルドスターとしての立ち位置はこの作品で確立されたと言っても過言ではないでしょう。「カサブランカ」のリックや「三つ数えろ」のフィリップマーロウなども代表作だと思うのですが、やはりこの作品のサムスペード役に尽きると思います。ラスト、女の誘惑を振り切り、警察に突き出す姿はまさにハードボイルドの極み‼️
鷹&都市
正直言うと、ハードボイルド御三家と言われる作家のうち、ロス・マクドナルドは大半読んでいるのに、ダシール・ハメットとレイモンド・チャンドラーは読んだことがないという偏った読書遍歴だ。
サム・スペードはサンフランシスコ、フィリップ・マーロウとリュウ・アーチャーはロサンゼルスの探偵で、(むろん作家たちが居を構えていたこともあるが)初期のハードボイルドがいずれも西海岸の都市が舞台になっているのは何かしら醸成する土地柄があったのだろう。ちなみにハンフリー・ボガートはスペードとマーロウの両方を演じているが、アーチャーはやっていない(こちらはポール・ニューマンの担当)。
失踪した人物を捜す依頼があり、捜査の過程で死体がごろごろ転がるという典型的なハードボイルドの展開をたどるが、とにかく室内シーンが多く、しゃべってばかりいる。主人公は簡単にホールドアップされたり薬で昏倒させられたりするが、相手の大甘の対応で切り抜ける。様々な関係者が都合よく訪問してきたり、電話をかけてくる。さらに言えば、肝心のマルタの鷹(本物)はついぞ登場しないという…。たぶんハードボイルドの雰囲気を味わうための作品で、細かい辻褄とかを気にしちゃいけないんでしょう。
ロス・マクドナルドはなぜ、この作品の冒頭でいきなり殺されるスペードの相棒の名前を自分のシリーズの探偵の名にしようと思ったんだろう?
サスペンスとしては面白いが
サスペンスとしては面白いが、結局ロマンスはなかったのは残念。せっかく美人女優が出ているのだから、最後は彼女を同情できるような設定にして欲しかった。できれば最終的には2人は愛し合っていて、彼女は罪をつぐなって服役して、彼は彼女が出所するのをいつまでも待っているような展開にして欲しかったな〜
ハンフリー・ボガード主演の米国ハードボイルド映画の古典
歌謡曲に登場する程に日本でも有名で人気があったらしいハンフリー・ボガード(1899生まれ)だが、彼の主演映画はカサブランカしか見てないことに思いあたり、出世作と聞く本映画を見てみた。
ジョン・ヒューストン監督・脚本(初監督作品)による1941年公開の米国映画。原作は推理小説でハード・ボイルドスタイルを確立した代表的米作家ダシール・ハメット。制作・配給はワーナー。ハンフリー・ボガード、メアリー・アスター(1941年他作品でアカデミー助演女優賞)、ピーター・ローレ、シドニー・グリーンストリートらが出演。
期待が高かったせいもあるが、この映画のボガードを凄く格好良いとは思えなかった。ただ映画自体には、既視感の様なものを感じた。まあ、こちらが本家で真似をした映画やドラマが数多く作られたということなのだろう。
しかし、謎大き美女メアリー・アスターに対するハンフリー・ボガードの、強烈なキスはするものの至って冷たい扱いには、イメージしていたものとかなり異なり驚かされた。日本のハードボイルドものは、もう少しヒロインに優しさがあった様なので、相棒の殺人者としてもここまで冷徹な対応は逆に新鮮。後、タフで沈着冷徹は当然も、早口で長くよく喋ることは意外。無口な日本のハードボイルド主人公とはかなり異なり、米国好みのユーモアと共に、弁が立つヒーロー像を反映して興味深かった。
悪役のピーター・ローレ及びシドニー・グリーンストリートの小大コンビの2人がとても良い味を出していた。メアリー・アスターは何処か愛嬌もあったが、ハードボイルド物としては、自分好みのもう少し冷たい美貌であったら、点数アップしたのだが。
「マルタの鷹」と言う置物をめぐる騒動の映画
あらすじ、及び、感想、等
1=「マルタの鷹」とは、16世紀に作られたスペイン皇帝への献上品の置物のこと
2=「マルタの鷹」を探している者の説明
①ブリジット=ワンダリーの偽名を使い、探偵事務所の依頼人となる
美術商から「マルタの鷹」を盗んだ泥棒、及び、マイルズの殺害者
②カイロ=最初は依頼人のフリをしたが、「マルタの鷹」を探す男
③ガットマン=「マルタの鷹」の価値を知る男で、所有希望者
17年間、探し続けてる
3=この事件で殺害された者
①マイルズ=サムの相棒だったが、ブリジットに殺害された
②サーズビー=ブリジットの相棒だったが、ガットマンの手下、ウィルマーに殺害された
③船長=ウィルマーに撃たれたが、「マルタの鷹」を持って逃げ、サムの事務所で死亡
4=今回の騒動の元となった「マルタの鷹」は、鉛製の偽物と判明
5=ブリジットが、泥棒でマイルズの殺人犯とは、以外だった
6=偽名や偽証があり、少しややこしいが、事件の全容が判明して良かった
7=サム(ハンフリー・ボガート)が帽子を被っている姿は、カッコ良かった
ヒューストン監督のデビュー作にしてハードボイルドの傑作
ハンフリー・ボガートの速い台詞回しの語感が生む人物表現の深みと重みが素晴らしい。脇役ピーター・ローレの役者振りと巨体の悪役シドニー・グリーンストリートの存在感。たったひとつの心残りは、導入部のメアリー・アスターの登場シーン。贅沢な要求だが、ワイルダーの「情婦」におけるデートリッヒと比較して、謎の美女の効果が弱い。演出・演技の問題ではなく、女優の格の違いが残る。
脚本と演出は絶賛に値する。現代の映画人が制作したならば、およそ2時間は越える長尺を必要とするであろうが、1時間40分に纏め上げたことが全てを物語る。スピード感があり、それでいて不足なのもがない驚き。相棒アーチャーの未亡人と主人公スペードの絡みが巧い。ラストのワンダリーの本性を暴くスペードの、探偵が背負う宿命感もクライマックスとして凝縮されて、見事に物語を完結させる。
ジョン・ヒューストン監督のいぶし銀に輝く、デビュー作の傑作品。
ハンフリー・ボガートの魅力に惚れ惚れ!
DVDで鑑賞(字幕)。
原作は未読です。
ストーリー自体は安定のハードボイルドでしたが、サム・スペードを演じるハンフリー・ボガートのカッコ良さが匂い立つようでした。それを観るだけでも価値があるなと思いました。
ハードボイルドを全身で体現している佇まいに惚れ惚れ…
ニヒルな表情と、自然と漂う色気に心底痺れました。
生まれ持った雰囲気なのかもしれませんが、いったいどんな経験を積めばあんなにカッコいい男になれるのだろう…
スーツの着こなしが素晴らし過ぎて、真似したくなるほど!
洗練されていて、まさにダンディズムの極致だなぁ、と…
体の構成要素がハードボイルドとダンディズム、それに溢れんばかりの気品だなんて、最上級の憧れ。あんな大人に私はなりたい。まぁ、どう転んでも無理な気がします(笑)。
※修正(2023/06/08)
ジョン・ヒューストンの初監督作品
ハードボイルドかつフィルムノアールの古典として超有名
脚本家上がりのヒューストン監督だけに脚本がよく練り込まれており、一筋縄ではいかないお話を手際よくまとめてある
映像も陰影を意識した撮り方が内容にマッチして雰囲気を盛り立てている
ハンフリー・ボガード初主演の出世作でも有名だが、脇役陣の的確な配役と役柄のキャラが引き立つ良い演技をみせる
ハードボイルドの主役の映像イメージは、本作で確立されたと言って良いだろう
襟を立てたトレンチコートにハット、ダブルのスーツ、咥え煙草
このスタイルイメージはカサブランカでも踏襲されてハンフリー・ボガードのイメージそのものとなり、分かち難くなっている
今ではもはやハードボイルドという記号だ
サンフランシスコの地名が時折でてきて、どの辺かと楽しめる
冒頭にチラリと写る金門橋は本作公開の4年前にできたばかり
カイロの財布から出てきたチケットはGeary Theaterのもので、今も都心のユニオンスクエアの近くに実在する
カイロが持っていたパスポートはギリシャ、フランス、イギリスの3冊で、ギリシャ生まれの混血で多重国籍を示すものだろう
もしかしたらギリシャだけは本物で、後は偽造かも知れない
ファットマンが語るマルタの鷹の由来は、後半は映画用のホラ話だが、前半は何となく正しい
中世の聖ヨハネ騎士団がエルサレム、ロードス島と撤退の末、シチリア王よりマルタ島を借りることになる、その賃料は毎年マルタ島の鷹一羽だったという歴史の有名なエピソードだ
今もマルタ共和国として独立国家
古典的名作とのことだが、私的にははまらず。だって事件そのものがイマ...
古典的名作とのことだが、私的にははまらず。だって事件そのものがイマイチ面白くないんだよね。あくまで個人の感想です(笑)
ハンフリー・ボガードの出世作。彼のファンにはたまらんのでしょうね。私は世代が違うのでそうならなかったのでしょう。
演出が古いし、全体的に評価出来なかった
総合40点 ( ストーリー:45点|キャスト:55点|演出:25点|ビジュアル:55点|音楽:60点 )
マルタの鷹というから欧州の話かと思いきや、サンフランシスコが舞台だとは思わなかった。
ハンフリー・ボガードは、相棒が突然死のうが依頼に来た女と突然キスをしようが訪ねてきた男に突然銃をつきつけられようが、いつも何があっても平然としていて態度が変わらない。そして銃をつきつけられるような危険な状況となっても、迫力のない格闘で悪党を殴れば相手は簡単に一発で気絶して倒れ込む。自分は撃たれないし死なないという物語の筋がわかっているから、自分は大丈夫で何事にも動じず主人公としての演技を邁進していますといわんばかりで、自分が命の危険にあるという緊迫感がまるでない。この演技と演出は古すぎて、現代の映画を見慣れているとまったく評価できない。
オーショネシーにカイロにガットマンに船長と、こちらから調査したり出向かなくても勝手にむこうからやってくるし、物語もずいぶんと主人公に便利なものだ。だいたい船長はどこにでも隠せたはずなのに、なぜ切り札の鷹をわざわざ信頼できる味方とは言い難いばかりか、そもそも会ったことも話をしたことすらないボガードのところにもっていこうとするのか理解出来ない。会ったばかりの怪しい嘘つき女に簡単に恋愛感情を持つようだし、交渉の場面も大金と命がかかっているという気がしない。
最後のほうは多少盛り上がり、オーショネシーの迎える結末がちょっと面白いくらい。ハードボイルドの基本ともなった有名作品ということで期待していたが、特に評価できるところもなかった。今では基本から発展して基本よりもはるかに優れた良い作品がいくらでもあり、自分にとっては本作は名前倒れのくだらない作品だった。
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