劇場公開日 1985年12月24日

マイライフ・アズ・ア・ドッグのレビュー・感想・評価

全29件中、1~20件目を表示

4.0子供と動物を巧みに扱うハルストレムの監督術に感服!

2017年9月22日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

悲しい

楽しい

ラッセ・ハルストレム作品には、子供と動物という最高のコンビネーションが活き活きと描かれたものが多い。なぜ彼はこれほど純真無垢な表情や仕草を引き出すことができるのか。多くの証言で浮き彫りになる手法の一つに「結果を求めすぎることのない大らかな姿勢」がある。まずは気長にカメラを構えて、被写体が予定とは異なる動きをしても決してせかさず、むしろそのアドリブを楽しみながら、本編で使える場面を抽出していく。演技のうまさや反復性ではなく、ありのままの良さに重きを置くからこそ、あんなにナチュラルな空気が醸成されるのだ。

病気の母親を気遣いながらも、つい無茶をして周囲を困惑させる少年の表情は今見てもたまらなくいい。「どんなに僕が不幸でも、宇宙に消えたライカ犬よりはマシ」というナレーションが繰り返されるたび、少年と壮大な宇宙とがにわかにオーバーラップ。そうやって刻まれるコントラストも忘れがたい魅力と言えよう。

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牛津厚信

4.0「ギルバート・グレイプ」「ショコラ」に繋がる希望の余韻が…

2023年4月30日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ラッセ・ハルストレム監督作品は、
その後、「ギルバート・グレイプ」
「サイダーハウス・ルール」「ショコラ」
を鑑賞させて頂いたが、
この作品は、私にとって、ハルストレム監督
としての最初の映画で、
その後に上記作品群にも接することになる
なんて想像も出来ていなかった。

今回、近所の図書館にDVDがあったので、
現在はTOHOシネマズシャンテと
名前を変えた有楽町のシャンテシネ劇場での
1988年のロードショー以来の
懐かしい2度目の鑑賞となった。

この映画、「ダイ・ハード」や「レインマン」が
上位を占める年に
「ニュー・シネマ・パラダイス」等の
名作を抑えて第5位に選出された作品だ。

それにしても不思議な余韻を残す作品だ。
何も起こらない普通の日常を描く。
もちろん母と愛犬の死こそはあるが、
長い人生では必ず経験する日常の一部に
過ぎない。
その日常の中で、幼きも老いも、
登場人物全員が、
性への興味津々な気持ちを隠すことなく、
人生を謳歌するかのように
過ごしている描写が微笑ましい。

そんな中、主人公の男の子を中心として、
子供達の成長譚が印象的な
人間賛歌の作品となっており、
この後のハルストレム監督作品、
「ギルバート…」や「ショコラ」に繋がる
希望の余韻を楽しんだ。
さて、この後に再鑑賞する予定の
「サイダーハウス・ルール」では
どうだったろうか、楽しみになってきた。

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KENZO一級建築士事務所

5.0生きる環境を自分で選べぬ子どもたち

2022年3月26日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

幸せ

萌える

自分の意思を無視されて、一人思わぬ場所に放り出された犬(ライカ犬やシッカン)のような僕の人生。
それでも、ここで生きていくしかない。そんな子どもの物語。

 児相のような機関職員が、この家庭をフォローしていたのは、母の病気だけが理由ではあるまい。
 自分の意思に反して、チックのような奇異な行動が出現してしまうイングマル。
 母がヒステリックに喚き散らし、鬼の形相でイングマルを追いかけまわし、打擲が始まると、幼馴染は、その声が外に漏れぬように窓を閉める。またイングマルが、”どこか”にいかぬように。
 はっきりと不在の理由が示されぬ父。イングマルは「遠くで仕事をしている」とはいうものの…。
 兄はかばってくれるどころか、イングマルにとって一番のいじめっ子。

 ただ、母と笑って過ごしたいだけなのに。その為なら何だってやる気でいるのに、ことごとく裏目に出てしまう…。
 ただ、シッカンと暮らしたいだけなのに。それすらも叶わぬ夢。それもあろうことにか…。
 家族とは、一番のセーフティ基地で、温かくて良いもの。そう望んでいるだけなのに…。
 せめて、焚火の暖かさが…。けれど…。
 結婚を考えるような幼馴染はいるけれど、大人には理解されない。幼馴染も、大人の意向次第…。
 それでも、与えられたこの場で、やるしかない。選択の余地のなかったライカ犬やシッカンのように。
 まぁ、死んではいないから…。
 繰り返されるモノローグ。「〇〇よりはマシ」。

 そんなふうに、それなりに受け入れ、適応しようと努力はしていた場所から、またまたイングマルの意志とは関係なしに、叔父の元へ…。

 個性あふれた大人たちが住む村での日々。
 新しくできた友人たち。
 ちょっとした冒険談のようなものもありつつ、でもさりげないエピソードの積み重ね。

 それなりになじんで楽しかったものの、母は、母は…。
 ここにも、イングマルには選択の余地はない。
 シッカンさえも…。
 別れなければ、シッカンを失うことはなかった?母とも別れなければ、母を失うことはなかった?
 周りの思いやりと、イングマルの想いのすれ違い…。
 胸がかきむしられる。

 それでも…。

一見、起承転結がないような日々の描写。
 そんな人々の変わらない日常が過ぎていく中で、鮮やかな脱皮を見せるイングマルとサガ。

繰り返し挟まれる、ライカ犬のエピソードと、主人公と同じ名の選手のボクシングの試合
        (ライカ犬もボクシングの試合も映画のフィクションではなくて史実)。
 「恥さらし」とまで言われたボクシング選手が、すべてを挽回しようとしている逆転劇の瞬間。
 心地よい風に吹かれながら、二人は午睡…。

少年・少女の表情が繊細で豊か。
 一番目立つのはイングマルとサガだが、緑色の髪の少年、体の大きい少年、イングマルに恋をする少女。最初の街でのイングマルの幼馴染…。みんな自然な表情を見せる。兄の意地悪な、それでいて寂しそうな表情もいい。
 そして、その少年・少女をとりかこむ大人たち。
 村の大人は戸惑いながら、失敗をしながら、自分のこだわりを大切にしつつ、子どもの傍らに寄り添い、一緒に笑う。

初見では、物足りない部分もある。
 『ギルバートブレイク』と比べると、緩急の差が甘く、カタルシスが感じにくい。ボクシングに思い入れのない身には特に…。
 でも、宇宙に思いを馳せる孤独な感覚が、そよ風が額を撫でてくれるような感覚に変わる。
 ファンタジーのような大人たちの元で育つ、リアルな少年少女。

 見返す度に、愛おしくなる。

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とみいじょん

2.5ライカ犬と比べれば

2022年3月26日
PCから投稿

大好きなお母さんは重い病で、異国で働くお父さんには会えない。親戚の家に預けられる事となった少年イングマル。彼の出会いと別れを通して大人の入り口に立とうとする少年の揺れ動く心が、のどかな田舎の風景とともにゆったりと繊細に描かれています。

わかりやすい展開の映画ばかり観て楽しい~!と喜んでいた自分にとっては、淡々としていて入り込みづらい難しい映画でした。

個性豊かな村人たちとイングマルとの交流は微笑ましいですが、彼が受け止めなければならない現実の重さに胸を引きずられるような感覚でした。それでも自分の人生と、実験台的に宇宙へ飛ばされたライカ犬とを比較して、自分の方がまだマシだと夜空を見上げるイングマル君が健気で切なかったです。

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セロファン

3.0ちょっと退屈。でも悪くない

2021年12月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ちょっと退屈だった。

「勝つ」「捕まえる」「やっつける」「逃げる」「何かをつくりあげる」など、主人公にはっきりした目的のないストーリーを、退屈させずに観せていくのは難しいなとあらためて思いました。

とはいえ、この作品は不思議に心に残るものがありますね。

厳しい寒さの風景の中に映し出される、部屋の灯や、暖炉やガラス工房の火が、イングマルの境遇を象徴しているように感じました。
つまり彼は逆境の中でも、あたたかい救いの手を差し伸べてくれる人々に出会える少年なんですね。
そして、それらの灯や火のように、僕の胸の中で本作の余韻がそっと熱と輝きを放っているように感じます。

あと、画面に映し出される素敵な建築・家具・調度品・衣服なども楽しめました。やっぱり北欧のものはいいなぁ。

それにしても、このタイトル、どうなんだろう? もう少し気の利いた邦題にならなかったのですかねぇ。

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peke

4.0幸薄い系北欧版ボーイミーツガール

2021年11月21日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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SpicaM

4.0【”ボクは人が生きる中では、辛い事が沢山あると思ったんだ。けれど、優しい人達や、友達のお陰で、人生って悪いもんじゃないって思ったんだ・・”ラッセ・ハルストレム監督の善性溢れる視点が素晴しき作品。】

2021年10月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館、VOD

悲しい

知的

幸せ

ー 今作の主人公である、イングマル少年の表情が秋田犬の様に見えてしまう作品である。
  彼は、優しいママが病床に臥せってしまったり、パパはバナナを送り届ける仕事をしていて滅多に会えずに寂しい想いを抱えながら、ちょっと意地悪なお兄ちゃんと日々を過ごすのである。ー

◆感想

 ・久方ぶりに鑑賞したが、イングマル少年の”自分の意思に反して、実験台として宇宙に打ち上げられたライカ犬に比べたら・・”という独白と共に、自らの寂しい境遇を語るシーンの数々が、実に上手い。

 ・愛する母の病状悪化により、叔父さんの家に預けられるイングマル少年。
 けれど、叔父さんも奥さんも彼に優しい・・。
 ー 臥せっているお爺さんに、婦人の下着雑誌を読まされちゃったりするんだけれど・・。人間臭くって、何だか可笑しい。ー

 ・出会った男の子様な女の子サガとのボクシングシーンや、サッカーシーン。二人はドンドン仲良くなって・・・。
 ー サガは、イングマル君が好きなんだよね。
 自分が女性として成長する中で膨らんできた胸をイングマル君に晒しを巻いて貰うシーンなど・・ー

<”生きるって、大変なんだけれども・・、捨てたものではないよね”
 ラッセ・ハルストレム監督のイングマル少年を描く温かい視点が心地よい作品。
 後年の”犬生”の変遷を描いた「僕のワンダフル・ライフ」シリーズの原点作である。>

<2018年10月頃 午前十時の映画祭にて鑑賞>

<2021年10月11日 別媒体にて再鑑賞>

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NOBU

4.0そういや俺の人生も犬みたいなもんか・・・

2020年8月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 パパは地球の裏側、ママは入院、兄とは別々に親戚に預けられるイングマルだが、悲惨な人や犬と比較することで自分をマシだと考える。それにしてもモテ過ぎるイングマル。年上の女性にも怪しい彫刻家から身を守るという名目でヌードも見せてもらえる。結局は女性の胸よりも、飼っていた犬シッカンのほうが大好きなんだ。

 それにしても、初めて宇宙旅行をしたライカ犬。この犬よりも悲惨なことはないと考えれば、どんなことでもマシに思える。この性格は生きる勇気を自ら得ている前向きな生き方ですな。落ち込んだときに見るといいかもしれない。

 ラストのボクシング中継でのヨハンソンもイングマルとダブらせて、将来を予見するかのようでいい効果だ。

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kossy

0.5最低です

2019年11月5日
PCから投稿

とにかく最低としかいいようのない映画です

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アサシンⅡ

3.5とてもよかった

2018年11月25日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

楽しい

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吉泉知彦

3.5いろんな意味で大らかな作品。 こういう作品て、見る時の気分や体調で...

2018年10月24日
iPhoneアプリから投稿

いろんな意味で大らかな作品。
こういう作品て、見る時の気分や体調で評価が大きく変わると思います。
何年か後にまた観たいです。

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やまぼうし

5.0心に残る名作か

2018年10月21日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

幸せ

萌える

スウェーデン映画は久々ですが良かった。少年は伊崎充則にちょっと似てる。メリンダが綺麗でした

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daikokumai

3.5良い作品なのは分かっている

2018年10月14日
Androidアプリから投稿

初見の時は感動したのだが、今回は乗れなかった‼️
子供とはいえ、主人公のワガママにウンザリしてしまった。また、何故かモテている要素にも嫌悪感(これはヤッカミ)。

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ムーラン

2.0少年を温かく見守る

2018年10月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

少年の心に静かに寄り添って温かく見守っていく作品。ただ淡々と進む展開でメリハリに欠けるように感じた。途中も眠気に襲われzzz…個人的には消化不良で残念ながらこの作品の良さを感じる事が出来なかった。
(午前十時の映画祭にて鑑賞)
2018-200

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隣組

3.5ゆったり秋の夜長にでも観たい

2018年10月8日
iPhoneアプリから投稿

私は午前10時の映画祭で観賞したが、夜にゆっくりココアを飲みながら毛布に包まって観たいようなそんな作品。穏やかにゆっくり、でも気付くと時はサラサラと前に進んでいき、やがて様々なことに変化が起こる。
主人公の表情や仕草の豊かな描写にはとても共感を覚えてしまう。

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並木道

4.5幸福なコミュニティとは

2018年10月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

幸せ

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kkmx

3.0天然のたらし

2018年6月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しいことドキドキすること、辛いこと泣きたくなること。様々なことを経験しながら少年は成長していく。
結構な悪ガキなのにピュアでナイーブでヘタレというギャップとキュートな笑顔でもって、無自覚に女子のハートをわしづかみにしていく。
世話焼き幼馴染、ボーイッシュ美少女、女子力高めクラスメイト、その上わがままボディお姉さんと相当なモテモテぶりである。
とちょっと違う角度から観てみた。

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なお

5.0寒いけど温かい

2017年10月1日
iPhoneアプリから投稿

劇中に主人公が他人の不幸と比較する事で、自分を客観視し、悲しみに耐えていたところは観てる側にも同じ事をさせる仕組みになっているように感じた。この映画における寒いスウェーデンのこうも心配性でお人好しな、何とも言えない温かさに救われました。これまでの自分の人との接し方を考えさせられました。

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平一

4.0たんたんと。

2017年5月17日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

子どもの心に寄り添って、生きていくのにつきものの光と陰をたんたんと描いた作品。
ある程度年齢を重ねてくれば人は産まれた瞬間から死に向かって生きてゆくのだと理解する。短い長いはあるけれど死だけは平等に待っている。それを知って生きることの意味を見失うこともある。
この映画はそれなりのドラマはあるけれど、特別なことがおこるわけでもなく、誰にでもおこることがおきてそして回収される。
特別な意味を与えるのでも、質問を投げかけるのでもなく、ただ、観ている側に回収させる。
観ている側から、中にいる誰にでもなれる。

なんかそういうのってすごい。

心が痛くなる場面でも、暮らしのにおいのする窓辺の花や、カーテンから透ける光、秘密のカタログ、あげたらきりのないディテールのキラキラがやさしくて泣けてきます。

何度でも観たくて購入して良かった。

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ベッラ