「1000年の監視者」ベルリン・天使の詩 吹雪まんじゅうさんの映画レビュー(感想・評価)
1000年の監視者
1000年の監視者はただ見てる
人の愛し憎む姿を
(筋肉少女帯「1000年の監視者」)
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散文詩のような脚本と、モノクロとカラーの対比が印象的な演出が魅力的な映画。物言わぬ天使たちが人間に寄り添う姿には、優しさと物悲しさが同居しているように感じられます。天使たちは人間社会を否定しているわけではなく、むしろその深い愛情をもって、人々の心に触れているようでした。
特に、「天使の視点を通して人間の心を覗き見る」というアイデアが非常に面白く、哲学的な問いを投げかけていると感じました。孤独を抱えた人々の思考や感情をモノローグで描写するシーンは、人間の弱さや儚さを繊細に映し出していました。
唯一、自殺した人に対して天使が抱いた「残念な気持ち」を表す場面は、とても強烈でした。あのシーンでは、救いの手を差し伸べられなかったことへの無力感が、観ている側にもひしひしと伝わります。人間の孤独がこの映画の大きなテーマであることが象徴されているようでした。
それでも、この映画には希望がありました。ダミエルが「人間として生きる」ことを選び、愛や喜びを見出そうとする姿勢は、私たち自身が人生の素晴らしさを再発見するきっかけを与えてくれます。孤独の中にも、希望や愛、そして生きることの喜びを見つけられる素晴らしい作品だと思います。
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