「空中ブランコ乗りの舞姫に恋して人間戻る守護天使‼️」ベルリン・天使の詩 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
空中ブランコ乗りの舞姫に恋して人間戻る守護天使‼️
《即興的な映画だったとは?》
1987年(西ドイツ・アメリカ合作)
ヴィム・ヴェンダース監督作品。
以前に観た時は、美しい映像詩に衝撃を受けました。
しかし台詞が詩篇の断片でできているためか意味不明で、
美しいけれど不可解な映画だと感じました。
Wikipediaを読むと少し合点がいきます。
ヴェンダース監督は次回作の撮影開始が遅れたため、
その合間の時間で、ペルリンを舞台にすると言う気条件で、
この映画に着手したそうです。
ドイツ語の美しさを引き出すために脚本を書かず、
詩人のペーター・ハントケさんの
書いた詩の断片を集めて、それをつなぎ合わせるとにしたのです。
撮影は映像監督の名匠アンリ・アルカン(ローマの休日の撮影)さんを、
説き伏せることにより、幻想的な映像美と荘厳さを併せ持つ
作品となりました。
登場人物は2人の天使、
黒いコートに髪を後ろで束ねたおじさん2人。
ブルーノ・ガンツと細面のオットー・ザンダー
(彼は、ほぼ喋らない)
そして守護天使のダニエル(ガンツ)が好きになってしまう
サーカスのブランコ乗りの舞姫マリオン(ソルベェーダ・ドマルタン)
彼女に恋して天使をやめて人間に生まれ変わるのです。
ピーター・フォークが「コロンボ」撮影に来ている設定で、
軽妙な雰囲気を醸し出しています。
ライブハウスが2度登場します。
その場面、当時流行りのオーストリア出身のバンドで、
ヴェンダースはロック・ミュージックが大好きだったそうです。
「PERFECT DAYS」でも古いカセットテープを宝物のように
大事にしていましたね。
この映画も色々な軌跡が重なって、ドキュメンタリーとも詩劇とも
つかない素敵な芸術作品。
ヴェンダース監督らしく、敷居は高くありません、
時期はベルリンの壁の崩壊の頃。
まだ東西に隔てられた「壁」があります。
「ベルリンの壁」が崩壊するのは、映画撮影から2年後のこと
だったそうです。