ブリジット・ジョーンズの日記 : 映画評論・批評
2001年9月3日更新
2001年9月22日より日劇プラザほか全国東宝洋画系にてロードショー
世界中のシングル女性はブリジットを見て安心するのです
ふと気がついたら結婚をしておらず、ついでに30歳を過ぎていた。
……という女性──つまりはシングルトン──がいかにして生きるべきか。これはおそらく現在、全世界の都会という都会において、共通する問題なのではないかと思います。忍び寄る不倫の魔の手、老化にキャリアに親の老後と自分の老後……と、難題は山積。
シングルトン達は、なぜ迷うのか。と言えば、そこには規範が無いからでしょう。30代の独身女性など珍しくもない現代ではありますが、人類の歴史から見ればそれはまだ新種の生物。これさえクリアすればOKという基準も無ければ、目標とすべき人物像も設定されていないのです。
そんな世界に彗星の如く現れたのが、ブリジット・ジョーンズ。しかし彼女は、私達の規範となるべくして登場したのではありません。彼女は、「シングルトンの世界では何でもあり。とにかく、もがけ!」ということを身体で私達に示すために現れた女性。
そして世界中のシングルトン達は、ブリジットを見て安心するのです。彼女の正直な本能的欲求に。豪快なもがきっぷりに。そして、リアルなデブっぷりに……。
(酒井順子)