「何度見ても圧倒される」愛のコリーダ 古泉智浩さんの映画レビュー(感想・評価)
何度見ても圧倒される
人間の本質をいかにフィルムに焼き付けようかという運動をとても感じる映画だった。セックスのために何もかも犠牲にして命すら粗末にしてしまうというのにどうしようもなく絶望感たっぷりで、全然楽しくなさそうなところがすごい。決して幸福でもなさそうだった。それでも深みにどんどん足を踏み入れていくところに圧倒される。
女にもてる人は、この藤達也もそうだけど、とても優しい人で、女の子の物質から精神までとても細やかなケアをする人が多い。単に気の合う合わないの問題もあるだろうけど、なかなか真似できるものではなく、非常に頭がさがる。そして精力のすごさにも頭がさがった。
2000年のリバイバル時にレンタルのVHSで見て圧倒されて、いつかスクリーンで見たいと思っていた。大島監督には申し訳ないのだが、追悼特集でこうして『戦場のメリークリスマス』など傑作が上映されるのはとてもありがたい。
コメントする