「生きるとは演じることである。」愛の奇跡 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0生きるとは演じることである。

2024年9月16日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1963年。ジョン・カサヴェテス監督。ある知的障害児訓練施設に預けられることになった少年は作業をせずに呆然とするばかりだったが、採用されたばかりの女性指導員には心を許すようになる。しかし、「愛情」をもって接しようとすることを施設長は認めず、「規律」を教えようとする。そんな中、女性はルールを破って少年の母親を施設に呼んでしまうが、、、という話。
実際の障害児たちが出演し、「生きるためには愛情ではなく規律」という明確なテーマを持つ作品。愛情で包み込むことでなく、「何をすべきか」を教えることが、自分で判断できることを増やすことであり、それこそが人生であるということが、愛情あふれる女性指導員にも、障害児の親にも、反省とともに理解されていく。変化していくのは大人たちなのだ。
「規律」のテーマは、自身の間違いに気づいた女性指導員が子どもたちに教える音楽劇において、歌とセリフを覚えることに終結していく。生きるとは生き方を覚えていくことであり、それは演技することと同質のものである。
若きジーナ・ローランズが障害児の母親役として出演している。その息をのむ美しさと圧倒的な存在感。追悼。

文字読み