愛と哀しみの果てのレビュー・感想・評価
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猿にもモーツァルトを♪
ケニアの大自然、ライオン、そして象牙。第一次世界大戦前夜にアフリカへと移り住んだ富豪の娘。結婚もなんだか友人感覚だったのか、勝手に酪農からコーヒー農園に変更されたことにも憤りを感じつつ、新天地での生活を懸命に生きていた。
冒険家の自由人デニス(ロバート・レッドフォード)の生き方がうらやましい。何にも束縛されず、結婚なんて考えない。蓄音機とモーツァルトのレコードだけは忘れないというところもいい。戦争がアフリカにも影を落とすが、ドイツ軍の侵攻に備えるだけの描写でそれほど重大事ではなかったようだ。
脚を負傷した少年とのエピソードや梅毒にかかって帰国するなど波乱万丈のアフリカ生活。でも終わってみると、やはり金持ちのお嬢さんだったことがよくわかり、全てを失ってから自分の所有するものなんてなかったことに気づく。愛さえもだ。
複葉機を手に入れたデニス。「操縦はいつ覚えたの?」「昨日」。インディ・ジョーンズ顔負けのデニス。財産なんて残さないさ~などと言う、自由気ままなセリフを吐くのもロバート・レッドフォードならでは。フラミンゴの群れの上を飛んでるところが最高にきれいでした。
駄目な邦題の代表例。中身を全く表していない。原題が『Out of Africa』なんだから、『アフリカを離れて』とかせめて『愛と追憶のアフリカ』とかにすれば良かったのに。
これぞ文学的映画の極みというべき作品。1900年代前半の英国の植民...
これぞ文学的映画の極みというべき作品。1900年代前半の英国の植民地支配や貴族階級の生活、価値観も実に興味深い。
アフリカの壮大な自然の美しさと、サバンナにおいてもテーブルサーブを可能とするほど優雅な生活は、到底両立するものではないのだが、その奇跡的な「いいとこ取り」が絵画のような映像美で繰り広げられる。ルノアールの絵画を観るように、またはゴーギャンの絵画を観るようにアフリカを観る。そんな奇跡を目の当たりにできる。
でも、その夢のような世界は、実は現地の人を奴隷のように支配することで成り立っているという事実。前述したテーブルサーブの話も、テーブルを運ぶ人間がいるからこそ可能になる。荷物を運ぶ使役人を伴いながらその一方で、彼らが存在していないかのように二人の世界に浸るその風景は、現代の映画では見られない価値観だとも言える。007といった娯楽作品ですらここまで露骨じゃない。
現代の価値観に照らしてみれば、そういう意味で居心地の悪いものを感じる人もいるかもしれない。いや、むしろ、主人公たちの住む世界の優美さにだけ目を奪われるような鈍感な人はその感覚を疑ってしまう。しかし、過去の価値観を現代の価値観で裁くことにはなんの意味もない。
一人の女性の生き方に点数をつけるのもまた違う。あの時代、あの場所で生きた一人の人間の一大叙事詩と呼ぶべき物語。その美しさに圧倒される。失った後で気づく後悔のように、過ぎた後でわかる意味のように、深い味わいがある映画だった。
旅の恥はかき捨ての長い映画
トリッキーな話で結婚制度を馬鹿にしている話なのだと思う。アカデミー賞は変な映画を作品賞にする所でもある。金持ち女が、適当に結婚しようとして男は金目当てで同意するが、そんな「便宜上の結婚」をしたところで男は浮気しほうだいで、女は梅毒に罹患するのだという。これは結婚が悪いのではなくて、便宜上なのが悪かったのである。それを結婚が悪いと誤解させては間違いであるし、詐欺であり悪であろう。ただ、それまでに便宜上であったとしても、確執の中でも夫婦としての精神的関係は垣間見せたところは若干の救いだったかも知れない。それが人間の本来の情のかけらである。キクユ族のシーンはどこまでが演技で、演者なのか。ライオン役のライオンや牛役の牛も大変だっただろう。どう撮影したんだろうか。主人公は夫以外と性行為してなかったから、梅毒が夫から移されたとはっきりわかったが、これもフリーセックスだったら誰が梅毒持ちなのかわからなくなってしまう。エイズなんかはそうだった。死への感染源が広がるのがフリーセックスである。生命的だけではなく、精神的にもだ。西洋人がアフリカ人にでもどこにでも教育と称して文字を教え、現地人のもともと持っていた文字ではない知を操作して管理しようとするのを皮肉る場面がある。梅毒で子供もできなくなっても頑張っていたのだが、夫の不倫癖が治らず結局離婚に至ってしまう。
西洋人の介入というよりも、科学技術と金銭の介入なのだろうな。夫との不仲の別居中に、たくましい男と会ってしまい揺れ動いてしまうというのも、ひどい社会現象ではある。ここら辺、罪の映画な可能性がある。だがこの場合の主人公はけじめはわかっている人物だったようだが、やがて離婚後に、後の男のほうと、交際が始まる。後の男のほうもそこはジェントルマンだったようだ。と、思わせるが、そうではないのかも知れない。これは悪い映画の可能性が高い。広大な自然の中を二人きりで夜に食事をして語り合うが、性行為することなく、夜が明け、後の男は女にアフリカの自然を見せたかったから。この映画はアフリカロケをせっかくしたから長くしたかったのか。2時間40分という、40分が長すぎる。冗長な感じを受けてしまう。ライオンが向かって走ってくるのはどう撮影したのか。緊張感がある。結局2夜めに不倫映画になってしまった。これでもうダメな映画となり、アカデミー賞が正しい賞ではないという事がわかった。無駄な時間だと感じさせる映画である。まだ途中だが、昼飯の時間だ。ネットでみると、あとの男は事故死するらしい。梅毒と事故死。神様に罰を与えられたという事である。そういう意味では評価は高くなろう。
強くたくましい女性の一代記。演じるメリル・ストリープが美しい。 舞...
強くたくましい女性の一代記。演じるメリル・ストリープが美しい。
舞台はアフリカ。行ってみたいような、でも怖いような。そこで繰り広げられる冒険、恋、壮大な大河ドラマだ。
冒頭のナレーションで、はや結末が予想されてしまう。しかし、それでもかまわぬ自信があったのだろう。ロバート・レッドフォードとのラブストーリーばかりが取り上げられるが、この作品の魅力はそれだけではないからだ。
彼女がアフリカの地に確かに残した足跡、それを感じさせてくれるエンディングが私は大好きだ。女人禁制だった場に招かれたり、そして何よりいつしか強い信頼で結ばれていた召使いたちとの別れ。
時代背景はあるのでしょうが、邦題のセンスだけはアウトです。
ストリープの老け役
いまやハリウッドで過大評価されている女優として、全世界が知るメリル・ストリープ。彼女が乗りに乗っていた頃の作品。
確かに近年の彼女の出演作品は残念なものが多い。ABBAのヒットナンバーをちりばめたミュージカル映画は、彼女の歌唱を観ているのが辛すぎて、鑑賞を途中で止めてしまった。こんなことは年に200本くらい映画を観ていても、そうあることではない。
だから、彼の発言も全くの出鱈目にはならないと思う。
だが、やはり彼女はハリウッドの歴史に名を残されるべき俳優の一人であろう。
老け役が評価できないのはある意味当然なのだ。なぜなら、彼女は全盛期から年齢のわりに老成した役を演じてきたのだから。
強き人
たくましい
アウト オブ アフリカ
タイトルなし(ネタバレ)
やっぱりメリルストリープって顔的にも高貴な女性とか手の届かないような女性の合うと思う。ただ今回はただのお高くとまった女性ではなく、一番最初の印象から微妙に変化して人間としていい部分の印象がでてきたのがよかった。人として強い生命力を感じた。
台詞のセンスがよかった。この手のものは相手が言ったことをそのまま返すんじゃなくて違った方法で返すからcoolだった。
メリルストリープのキャラクターには共感が働いた。
終盤の台詞にあったように「あなたの言う通り私のものなど何も無かったわ」というところがこの映画のテーマにあった気がするが、ロバートレッドフォードの墓に土を掴んだところで震える手と、その土を投げかけられなかった描写によって彼女は完全には神に自由であった彼を委ねられなかった心情が感じ取れた。ここからこのテーマの答えを完全にはを断定しなかった点が、この映画のいいところだと思う。
規模を縮小したアフリカ版「風と共に去りぬ」恋愛編
総合:80点
ストーリー: 80
キャスト: 80
演出: 75
ビジュアル: 75
音楽: 75
デンマーク人のカレンがアフリカで過ごした波乱万丈の半生記。
メリル・ストリープの演じるカレンは、デンマークを出て遠いアフリカの地で農園を実質一人で運営しながら精一杯生きぬいていく。現地の部族民以外とはあまり人との交流もないような辺境の地で、いくつもの障害を乗り越えようと奮闘する姿が良い。親の自殺があったりデンマークへの閉塞感を感じたり地位への打算があったりで、カレンだって元々普通の清純なだけの人ではないのだろう。恋愛映画と捉えられているようだが、恋愛も含んだ一人の女の半生を描く映画として面白い。
その姿はまるで規模を小さくしたアフリカ版「風と共に去りぬ」のようである。一番の違いは美しい恋愛に重点が置かれているところだろうか。最初からお互いに打算で結婚した夫との関係は問題ばかりで、ロバート・レッドフォード演じるデニスが厳しい彼女の人生に潤いを与える。そのようないいことも悪いことも含んだ女の半生が、広大なアフリカの大地の上で淡々と描かれる。ただし背景の景色もそれなりに美しいのだが、物語もやや綺麗に描写しすぎかなという感じは受ける。
アフリカに暮らす人々と大自然の描写が素晴らしさ作品。
作品内容の素晴らしさからすると、邦画のタイトルは、今一つ。
アフリカを舞台に、そこに暮らす人々や、大自然が素晴らしく描かれていたことを考えると、原題のままで良かったのでは?
ロバート・レッドフォードの容姿の衰えは隠しようもないが、老いてなお魅力的でもある。
この作品を観るまで、メリル・ストリープはあまり好きな女優ではなかったが、私の中での評価は、一変した。
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