橋の上の娘のレビュー・感想・評価
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悲しい別れを期待する自分がいる
やっぱり、この手の映画って、始まりがあっさり出会っただけに、結末も一つの方向性でしか考えませんよね。とても残酷で、サディスティックな結末。 それを書いてしまうと、ネタバレもいいところなので、周りをじんわりと攻めてみますか。 ナイフ投げの的って、失敗したら、もう二度とできなくなるし、仮に、二人の間に愛情らしき感情が芽生えても、それが障害になって、投げることが出来なくなる。それでも、やっぱり、心のどこかで二人は愛し合うようになって、その気持ちが邪魔をして、的を外してしまう…というような、残酷なストーリーを期待せずにはいられませんでした。 つまり、この映画、結末は必ず別れることになるんです。どっちにしたって。
橋から身投げしようとした女性をナイフ投げの的としてスカウトした男性...
橋から身投げしようとした女性をナイフ投げの的としてスカウトした男性。 途中まではよかったが、この女性、その場のフィーリングで簡単に何人もの男に体を許してしまうという尻軽さがどうにも目に余った。 最後に再び橋の上で男女が再会するというのも都合が良過ぎる。
ライトを消して運転しては危ないよ!
「負けを覚え、勝ちを知るべし」いい言葉だ。あと「運」というものも大切なテーマとなっていて、かなり考えさせられる。 しかし、この女性はかなりSEX好きである。ナイフ投げのコンビを組むことによって、展開としては愛が芽生えることを想像するのだが、ガボールが見てる前でも他の男とSEXしてしまう・・・商品には手を出さない、こいつはプロだ!と感じてしまう。それからガボールに愛を感じるものの抱こうとはしないので、ナイフ投げの的になることでエクスタシーを感じる(そう見えた)。 ダニエル・オートゥイユにはこういう渋い役のほうが似合いますね。前回見たのが『メルシィ!人生』だったからな・・・ いくら運が大切だからと言って、ライトを消して運転しては危ないです。
再見することは重要
劇場公開時に観たような、観てないような。曖昧な記憶をはっきりさせるべく、レンタルで確認。やはり観ていた。
ところが、主人公が最後に訪れる街、イスタンブールの記憶が全く残っていなかったのは不思議だ。ラストシーンは、あの街を訪れたことのある者ならば間違うことのない、ガラタ橋での再会。自分にとって思い出深いイスタンブールが映画に登場していて、それを憶えていないとは。
ヴァネッサ・パラディの好演が光る。周囲から尊重されることない不安を抱えて生きる者の辛さ、寂しさ。彼女はそれらを、出会う男たちとのセックスを通した関係で乗り越えたと思い込む。この思い込みは本人も自覚したもので、これ以外に他人との信頼関係を取り結ぶ方法を知らないだけなのだ。この無垢さと、男とみればすぐにセックスに誘う少女の魔力とを見事に両立させている。
「的とは寝ない。」ダニエル・オートゥイユのナイフ投げが出会いのときに口にした言葉はこの作品の重要なテーマとなっている。つまり、セックスでしか人間関係を築くことの出来ない少女に対する、セックス抜きで命を賭けた信頼関係を作っていく男の挑戦である。
オートゥイユはしかし、パラディが他の男と寝ることに関しては全く頓着しない。ただ、並外れた幸運を持ち合わせた彼女と行動をともにできればそれでいいのだ。地中海上を行く客船から新婚の男と消えるまではそれでよかった。ところが、彼女と離れた途端に、ナイフは新しい的の脚に刺さり、たどり着いたイスタンブールの街で落ちぶれている。
船上から逃げたパラディも、救助された軍の基地で男女の関係のもろさを知り、ギャンブルでのツキも失ってしまう。
お互いがもう一方の存在を不可欠の存在と認め合う状況になり、一緒にいたいと思う感情の横溢。あまり表情が豊かとは言えないオートゥイユの演じる中年男の佇まいが胸に迫る。公開当時にまだ20代だった私にはピンと来なかったとしても不思議ではない。そして、イスタンブールの橋の上のシーンが記憶に残っていないことも同じ理由によるのだろう。
橋の上で Once Again
耽美的でありながら、異色の愛の形を切り取ったルコント作品。 モノクロの映像美、印象的な台詞音楽 謎めき愁いある男と女、見せ場でもあるナイフ投げの官能的なシーンの数々。ストーリー以上に、作品全体から醸し出すこの世界観を心で感じ、楽しむ作品です。 ヴァネッサ・バラディが匂い立つように美しく輝いていくその様と、ダニエル・オートゥイユの、助けた女が再生し自由に羽ばたいていく様を傍観するしかできなくなっていった男の様相のコントラストが、鑑賞し終わってから時間がたった今でも、心に焼き付いています。 一度は離れた二人。自分を見つけてくれた人はそれだけに終わらなかったことに貴女は気づいたのですね。 「心の止まり木」はすぐ傍に・・・ 印象深い作品の一つとなりました。(4.2点)
小屋のシーンがすごい
1998年フランス映画。90分。2010年54本目の作品。名匠パトリス・ルコントの作品で、フランス映画の顔ダニエル・オートゥイユとジョニー・デップの妻バネッサ・バラディが主演を務めている。 内容は; 1,橋の上から投身自殺しようとしている女はナイフ投げ師に「的」として雇われる。 2,2人は公演の旅に出る。 3,旅先で女は別の男と駆け落ち。それから2人の生活が狂っていく。 「的」として女を雇ったナイフ投げ師は、何があっても「的」に情を抱いてはいけない。もし抱けば手先が狂ってしまうから。そんな2人は心の内で惹かれ合い、そして表面上は反目しあっていく。このつかず離れずな屈折した愛を描かせるとルコントは本当に凄い。 全編白黒にしたのは、そんな2人の関係がどこかプラトニックであり、それが古典となってしまったというルコントのメッセージか。 2人が本編の中で唯一、小屋で行った「愛の行為」は今まで観たラブシーンの中で一番官能的。 何度でも繰り返し観たい作品です。
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