博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったかのレビュー・感想・評価
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ブラックユーモアの傑作
今や名の知れたキューブリックの作品だからといって過大評価しているわけではない。するめみたいに観れば観る程味が出てくる。
一種の反戦ものとも捉えられるのでは?かといって、堅苦しいものではない。
冷戦時代を背景にしており、
トチ狂った一人の指揮官から発せられた異常な指令で
地球が危機に陥る話。
実際、まったく笑えないテーマ。
それをここまで、よくもまあコメディと化せたものです。
日本人の人間性的にブラックユーモアは通じない時もある、だからこそ、評価に大差が出てくる事は仕方ない事だと思われる。
私は今回は好きな側です、素直に、まさに異常な愛情!笑
冒頭の「こんなことは絶対に起こりえないと保証する」がまず、クレイジー。
そうしてあそこまで大々的に馬鹿みたいな爆発シーンを繰り返し、また作中での人間の論争を描き、
現実で起こりうる核と人間の醜い争いに皮肉を訴えてくる。
白黒だから全然リアルじゃないし、だからこそどこまでも皮肉が冴えてきている気がする。
自らの手で自らを滅ぼそうとする愚かな技術発達。
ゴキブリのように生き延びようとする人間の生殖の本性。
アメリカがドイツナチスを嫌っている事を考えても、博士のヒトラー敬愛心の伺える場面は実に面白い。
最後の優秀な人材の場面で、ヒトラーの戦略と同じくあのアメリカが「優生思想」に乗っ取っている!博士はたまらず「総統!」と叫んでしまうのでしょう。私もまた優秀な人材です、歩けるのですから、と。
まあ、博士の動向は調べると皆さんそれぞれ色んな解釈があるようです。
コメディと理屈を交え、こうして観てから思想を巡らす事が好きな私は、二重の意味でも楽しめています、笑
それにしたってあまりにも映像が美しい。
当時の人間ではない自分にとって、タイムスリップしたような感覚。
当時で観れていたらきっともっと感動したんだろうなぁ。
すごいな、技術とか関係なく、映画はいつだって発想と描き方で名作が生まれてくる。ここまで皮肉で笑えるコメディはない。
傑作。何度だって観たくなる。笑
別に人の死を率直に描いたり、泣かせたりしなくても、ここまで重いテーマを訴える事ができるのです。
是非、観て頂きたい。
さすがキューブリック。
脚本良し、演出良し、撮影も良しの傑作でした。
俳優陣も皆演技がすごくうまい。
笑えるところもあり完璧に仕上げられた映画でした。
ずっとあきなく、時間があっという間にながれた。
何年たっても色あせない素晴らしい作品で、とても面白い。
さすがスタンリー・キューブリック監督作でした。
あえてコメディにしたセンスに感服
タイトルからして異質である
直訳以外を認めなかったスタンリーキューブリックを逆手に取ったタイトルだ
こんなぶっ飛んでいてかっこいいタイトルはなかなか無い
冷戦中、妄想にとりつかれた前線基地司令の暴走から起きるコメディ
モノクロ映画であるが、白黒であるがゆえに雰囲気が感じられてよい
冷戦という陰鬱とした時代において核戦争を扱った作品は多々あるけれど
この作品は「そんなことが起きうるわけがない」と明言していることもあり
核戦争なんてコメディ映画の中だけで起きる話だ、と言っているのだ
あえて悪を演じることですべてを冗談にしようとした同じ冷戦を舞台にした「ウォッチメン」のコメディアンの思想はこの作品からのインスパイアを受けたのだろうか。
本作はあえてコメディ映画とすることですべてを冗談にしようとしている。
作中出てくるアイディアや、当時の通信設備、独特の緊張感
素晴らしい作品、皮肉やセリフのセンスは流石だ
キャラクターも恐ろしく立っていて、昔の映画とは思えないセンス
傑作である。
茶化しすぎで全く現実を見ていなくてくだらない
総合:20点
ストーリー: 15
キャスト: 50
演出: 20
ビジュアル: 50
音楽: 65
「運が良ければ2000万人の損害ですむから先制攻撃を」とかなんて正気ではない。真面目に描いてはいられない。だからこんなふざけた内容になるのだろう。人類存亡の危機で時間がないに、なんとものんびりとくだらない議論を続ける。
だけどこんなに不真面目にやられては緊迫感も何もあったものではない。実際には朝鮮、キューバ、ベトナム、イラクなど何度も核使用の危機があったことが歴史上知られている。しかし長崎以降の多くの場合、大国の上層部は核兵器の使用に関して慎重・真剣に熟慮していると思うし、だからなんとか今まで核戦争を避けられているわけで、それをこんなに茶化して何か面白いのだろうか。
同じ皮肉を描くにしても、『ノー・マンズ・ランド』のように現地司令官が仕事そっちのけで秘書とお楽しみで現場のことに関心を示さないとか、いかにも有り得そうなことを描けばまだ可笑しい。何故ならそれは社会や組織や制度の欠陥を暴き立てているからである。
だがこれにはそれがなく、有り得なさそうなことばかりが描かれる。それが本当に面白くて笑えればとりあえず映画としては喜劇として評価もできる。だが会議の途中で愛人を電話でなだめたり、米ソの首脳が残念さの度合いを競ったり、電話をかけたくても小銭がなくなったり、地下シェルターで多くの女に囲まれる生活を想像して喜んでみたりしても、私にはちっともおかしくなかった。
みんなが戦争回避に努力している中で、損傷したまま飛行を続ける最後の一機の任務遂行に皮肉にも努力する場面でようやく話としては多少盛り返した。最後の映像と音楽はなかなか素晴らしかった。
だが全体に茶化し過ぎ。こんなことで核兵器の抑止になるのならば苦労などしない。核兵器の管理や核戦争を軽く考えて馬鹿にしてんじゃないですか。1995年にノルウェーでの気象観測ロケット打ち上げをロシアがアメリカによる先制核攻撃と勘違いしたような、偶発的要素による戦争は否定できない。
しかし平和問題なんてものはこんな馬鹿げた単純なものではないし、それについて興味をもって勉強したことのある人にとっては全く満足できるものではないのではないか。私にはこのお茶らけた演出はちっとも響かなかった。キューバ危機のときに米ソ首脳が核戦争を回避するための凄まじい重圧の下で緊迫の行動を追ったドキュメンタリーを見た後では、この作品など失笑の対象でしかないし、むしろ腹立たしさすら覚える。普段はこういうことはあまり書かないほうなのだが、この作品を見て皮肉が効いていて可笑しいとか言っている人の正気を疑う。広島と長崎の犠牲者はこんな理由で死んだとでも言うつもりだろうか。今時こんなもの見ても時間の無駄でしかなかった。
古いので仕方がありませんが、映像は主に部屋の中を描いただけの白黒なうえに空飛ぶB52の模型の特撮がしょぼいです。
怖くて滑稽なシリアス映画
人間への不信感、完全な人間はいない(ビリーワイルダー監督「お熱いのはお好き」)、人間はミスを犯すのに核戦争防止システムは完璧であろうか。3.11フクシマ原発事故の経験後にこの映画を見ると、核戦争の恐怖感がリアルに感じられて不安になる。絶対的な大量破壊兵器を前にして、人間の愚かさと滑稽さを鋭く風刺した傑作と思う。白黒映画だったためか、チャップリンの「独裁者」や「殺人狂時代」を思い出した。
人間の愚かさを笑い飛ばす傑作
スタンリー・キューブリック監督。
東西冷戦時代を背景に核戦争の恐怖と人間の愚かさを描いた
ブラックコメディー作品です。
一人三役をこなしているピーター・セラーズの怪演が素晴らしいです。
不世出の傑作
本作は、表面を粉砂糖でまぶしたような甘いコメディに一見見えなくもないが、実際は背筋がゾッとしてしまうような皮肉が込められた至上のブラック・コメディーに仕上がっている。個人的には、スタンリー・キューブリックの作品の中で本作が一番好きです。
ポジティブに人間の愚かさを笑い飛ばす傑作
始めて観たのは中学生か高校生の頃。
今は亡き淀川さんの「日曜洋画劇場」(ひょっとしたら「土曜洋画劇場」だったかも)。ファーストシーンのB-52のアップと飛行姿から入っていくところの美しさにほれぼれしたのは今でも忘れない。
全編ブラックなユーモアの連続で、特に覚えているのがSAC(戦略空軍)司令官が撃墜できなければ地球が滅びるというのに、自分が飛行機なったように両手を広げながら走り回って、「我が軍の高性能な飛行機がソ連なんかに撃ち落とされるはずは無い!」というシーンと博士が「大統領!」と言うのに間違えて「総統!」と叫んでしまうシーン、左手が自分の意志を無視してヒットラー型敬礼をしようとして右手で懸命に押さえようとするシーン等シニカルで人間の物欲と本能のむなしさを笑い飛ばした作品になっている。
米ソの冷戦から核戦争になっていくという人類の危機的状況中で、本人達が必死なればなるほど皮相的になっていくのが面白い。
宇宙的視野から見れば、核戦争も1つのジョークに過ぎないという事を描いた後、それでも人間は競争を止められない愉快な業を持っているということをヨーロッパ映画的に悲壮にならず、日本映画的に絶望感を漂わせず、笑い飛ばしているところに凄さを感じる。
「2001年:宇宙の旅」に通じる視点を人間社会の外側に置きながらも、クールに観ているところがすばらしい。
私にとってのある意味で原点になる作品
同じ題材で同時期に創られた「FAIL SAFE 未知への飛行」と比較は面白い。一方は社会的人間ドラマに主眼を置いているのに対して、本作は人間の愛すべき愚かさに置いている。
時間あったら見比べるのも一興かと思う。
硬派のコメディーの代表作だと思う。
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