ハイド・アンド・シーク 暗闇のかくれんぼ : 映画評論・批評
2005年4月1日更新
2005年4月23日より日比谷スカラ座ほか全国東宝洋画系にてロードショー
びくびくするデ・ニーロの姿が見もののよくできたスリラー
ラストにドンデン返しがあるので多くは語れないが、ロバート・デ・ニーロとダコタ・ファニングの役に成り切り競演をはじめ、よくできたスリラーに仕上がっている。
何より、浴室で手首を切って自殺した母親の姿を見てしまい、心を閉ざす娘エミリーに扮したダコタが怖い。引っ越した森の家で正体不明の友達チャーリーと遊びはじめ、やつれていく。目の下にクマができた顔で不気味にほほ笑み、まばたきせずにデ・ニーロ扮する父親デビッドを見つめる。絵や人形などの小道具の使い方もうまく、本当にエミリーの心が壊れてしまったかのように感じられる。
一方、デ・ニーロも、異常さを増していく娘を必死に守ろうとする父親を好演。当初チャーリーを娘の空想と考えたが、やがてチャーリーの仕業とみられる怪事件が起こりはじめ、恐怖に脅える。隣人や警官も怪しく思え、びくびくするデ・ニーロの姿は見ものだ。
ただ、肝心のチャーリーの正体は、いい意味で伏線を妙にヒネったりはしていないので、この手の映画を見慣れた人は案外早く気づいてしまうかも。また、後半、「シャイニング」を思わせる描写が多いのも気になったが、これはオマージュとして楽しみたい。
(山口直樹)