劇場公開日 1977年1月

「現代にも警鐘を鳴らすシドニー・ルメット監督の力作!」ネットワーク ノブさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5現代にも警鐘を鳴らすシドニー・ルメット監督の力作!

2024年12月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

午前十時の映画祭で鑑賞。
つい最近見た「チャイナタウン」に引き続き、偶然だがこの映画にもフェイ・ダナウェイが出演。
社会派シドニー・ルメット監督が視聴率至上主義のテレビ業界を痛烈に皮肉った問題作。
上映前後に町山智浩氏の解説映像があり、当時の時代背景やテレビ業界の裏側にいる株主のことなど、映画理解にとても役立ちました。
テロリストに犯行ビデオを撮らせるとか視聴率さえ取れれば何をやってもいいのかという問題は、現代ではネットやSNSと置き換えるとそのまま共通する問題だと思いました。
いいねや再生回数を稼ぐのに必死な人々。都合の悪い真実は隠され、フェイクニュースに振り回される人々。カリスマの言うことは盲目的に信じ熱狂する人々。
映画のラストはブラックジョークだと思いますが、今の時代は当時よりも人々の倫理観が薄れてると感じられるだけに笑えない怖さがありました。
古い映画ですが、社会問題の本質を鋭く問いかける視点は全く古さを感じさせず、シドニー・ルメット監督らしい力作だと思います。
精神を病んでいくニュースキャスターのハワード・ビールを演じたピーター・フィンチはアカデミー主演男優賞受賞も納得の大熱演だったと思います。
同じく主演女優賞受賞のフェイ・ダナウェイは仕事でも私生活でも全く倫理観のかけらもない人物ダイアナを好演しておりました。
個人的には役柄に一番共感できたマックス役のウィリアム・ホールデンがとても渋くて良い味を出してるなあと思いました。

ノブ