ニュー・シネマ・パラダイスのレビュー・感想・評価
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時代の流れ
かつて淀川長治さんがテレビで
「この映画は最高傑作です!」
と大絶賛しておられ確かにそのとおりだな〜と心から思える作品ではないでしょうか
年月が経てばほとんどのことが変わってしまいます、人々が集う広場や泣き笑いを共にした映画館、それと人の気持ちも
トトは都会で変わってしまっていた自分に気が付かずに何十年も過ぎてしまっていたのでしょうね
でもそうしなければ映画への夢を叶えられない事をアルフレードは分かっていたからこそ「帰るな!」と言ったのだと思います
周りは、世界は変わるものだらけです、でもね
どうしたって変わらないものがあるのです
トトが何十年ぶりかで会う母親とのシーン、あの編み物のほどけるシーンです
トトの部屋も、アルフレードへの愛情、街の人々も広場の主も
アルフレードからの贈り物を見れば彼の愛情だってずっと変わっていなかったことに気がつくはずです
そう、この作品から感じ取れるノスタルジックな感覚こそが私達の心にある変わらない気持ち、その事に気が付いた時の心地よさがこの作品から溢れ出て私を離さない
観た後にまた観たくなるほどです
お前は俺よりも盲目だ
トトにとってアルフレッドはどんな存在だったのか。
逆にアルフレッドにとってトトはどんな存在だったのか。
絶対にこの街に帰ってくるな。むかし射影室に好きで夢中ったように何かに夢中になれ。ノスタルジーなんかに浸るな。
アルフレッドは全てわかっていた上で大好きたトトを成長させようとした。
その望みが叶うかのようにトトはアルフレッドから全て教わった。射映、恋愛、街からでること。小学校のテストだけはトトが教えてたね。
自分のようにはなってほしくない、もっと自由に生きてほしい。そう願って盲目の自分より世界をまだ見てないトトに向かって盲目だと言ったのかな。
そんな2人の関係が友達以上親子未満、あたたかくもどこかリアルで熱いものがこみ上げてきたよ。
そしてなんといっても小さなシチリアの街の世界観。そして劇中で流れる音楽。これらがまたたまらなく映画に引き込ませる。素晴らしい映画。
甘美なノスタルジーがやるせなく心を動かす
海外用の編集版、即ち短縮版を鑑賞。昔の名作が沢山登場も一部しかわからないのは少々残念。とは言え、この監督、誰もの持っているだろう失われていくものへの切ない気持ち、そして郷愁と初恋と、名作映画と大好きだった大人への想いを掻き立ててズルイ。しかし、少年の無邪気さと映画技師役の素晴らしい演技と、女優さんの美しさ、綿密に組み立てられた脚本、そして心揺さぶる映像テクニックと美しい音楽が相まって、大きく感動させられてしまう。
これだけの甘いノスタルジックな物語を最後まで納得感を持たせたまま見せる監督のジュゼッペ・トルナトーレ、作品を見るのは初めてになるが見事な構想力と演出力で感服させられた。オリジナルの長尺版、そして他の作品も是非見てみたいものだ。
この期に及んで初鑑賞
【王女と兵士】
昔は、僕の田舎のそれぞれの街に、映画館が一つや二つあった気がする。
今でも、県庁所在地や少し大きめの街には映画館はある。
でも、小さな街の映画館は、郊外のショッピングモールに併設されたシネコンに取って代わられ、閉鎖、取り壊された。
僕の85歳を超えた母親は、ジェームズ・ディーンがお気に入りで、「ジャイアンツ」が好きだ。
ジャイアンツで、ジェームズ・ディーンは主役ではない。
なぜ、「エデンの東」や「理由なき反抗」じゃないのかと聞くと、巨万の富を築きながら、愛を手に入れることが出来ないジェット(ジェームズ・ディーン)にどこか感情が揺さぶられるらしい。(単にカッコいいから好きで、感情が揺さぶられるだけだと僕は思っていますけどね😁)
そして、その後間もなく、ジェームズ・ディーンは交通事故で亡くなるが、それも、この作品を印象付けているように感じるというようなことを言っていた。
こんな悲劇のストーリーで、僕の母親のカタルシスは刺激されていたのだ。
たぶん、多くに人に、感情を揺さぶられたり、胸躍った映画がひとつやふたつは、あるに違いない。
この映画は、そんな人々に向けた作品なのだ。
「ニュー・シネマ・パラダイス」のなかで、アルフレードが、青年になったトトに話す「王女と兵士」の物語。
なぜ、100日目を前に兵士はバルコニーの下から立ち去ったのか。
人によって答えは様々なように思う。
立ち去る理由は人それぞれなのだ。
映画館が無くなっても、映画と共に過ごした日々は無くなりはしない。
記憶が薄れない限り、映画の物語も心の中に残る。
だが、日々を無為に過ごさず、サミュエル・ウルマンの「青春の詩」のようにつねに瑞々しい気持ちでチャレンジすることはもっと大切で、きっと映画の物語も、何か手助けしてくれるに違いない。
「お前の声を聞くより、お前の噂を聞く方が良い」
そうやって人の足を引っ張らず、人の背中を押し合えるような世の中であれば良いと思う。
そして、安易に答えを求めず、考え続けることも大切だ。
王女と兵士の物語をふと考えるように。
エンディングのフィルムから切り取られたキスシーンの数々。
静かなもの、情熱的なもの、笑顔のもの、抑えきれない感情など、全てのキスシーンの背景には異なる物語があるのだ。
僕達、ひとりひとりにも違う物語が隠されているように。
この物語は、映画を愛する全ての人に向けたメッセージなのだと思う。
あの優しく流れる音楽を作ったエンニオ・モリコーネが7月に亡くなった。
早くコロナが終息して、まあ、イタリア人だけに限ったことではないが、世界中の人が、前のように気軽にハグしたり、キスしたりできる世界が戻ってくればいいと心から思う。
何気ないシーンで涙があふれて止まらなくなった。なんだろー、今の自分...
なんか良いね
玉手箱が開く時、過去の大切な贈り物が蘇る。
日本の浦島太郎はお爺さんになったけど、イタリアの浦島太郎はこれからも歩み続ける勇気を貰った。
温かいものがこみあげてくる。そしてそれは涙になる。
悲しいんじゃない、憐れみでもない。自分が愛したもの、愛していてくれたもの、そんなものに改めて出会えた喜び。
「自分を愛せ。子どもの頃映写室を愛したように」アルフレードが言う。
映画好きにはたまらない。トーキーもちらっと出して、映画の初期から、TVの普及により映画の存続が危ぶまれた時代を駆け抜ける(結局、閉館した映画館はあるものの、映画そのものは衰退していないけどね)。映画が皆にどれだけ愛されていたか、街の人々の生活を織り込みながら話が進む。
別に、時折映画中に上映される映画について知らなくてもいい。映画の中の観客と同じ思いで映画を観た人ならば、十分その世界に入っていけるはずだ。締めだされてのブーイング。トトと同じキラキラした目で映画を観られればそれで、貴方はその世界の住人になれる。加えて、「へえ、トーキーってこんな感じだったんだ」「フィルムってこんな感じだったんだ」と当時の世界に浸れれば十分。
その物語を引っ張っていくのは、学歴はないけど人生の知恵が詰まった老映画師と、映画が好きで好きでたまらないトト。特に少年時代、あそこまで好きになれるものがあるってうらやましい。そして誰もなりたいなんて思わないだろうと思いつつ、密かにプライド掛けてやっていた仕事に、憧れてくれる小さな存在を知る。こんな幸せなことがあるだろうか。しかも、師と弟子のような二人を、悪ガキの友達にも見えるような描写(ex小学校卒業試験)。たまらない。一つ一つの当時の描写が丁寧に紡ぎだされる。
久しぶりに帰った故郷。浦島太郎。喪失感。基盤を失った気分。故郷は遠くにありて思うもの?
そんな気分に包まれている時に出会うあのラスト。
アルフレードは「帰ってくるな」と言った。「帰ってきても会わない」と。だとしたらあのフィルムはトトの為に取っておいたものではないのかもしれない。とうに捨てられたと思っていたのに大切に保管されていたもの。扱い如何によっては事故につながるのだから、いかにアルフレードが大切に扱ってきたのかが一目瞭然。しかも、上映できるように、繋ぎなおしてある!映写室・映画館での思い出があぶりだされてくる。それを大切にとっておいたアルフレード。
原点回帰。大切な人との思い出。それはトトにとっても、アルフレードにとっても。
そんな想いがグチャグチャになって、突き上げてくる。熱い思いが涙となる。
人生のいろいろな想いが押し寄せてくる、それでいて温かい気持ちに包まれる映画です。
名画のシーン
『自分のすることを愛せ』
映画愛に溢れる名画
映画は娯楽じゃない、芸術だ
久しぶりに涙が止まらなかった。ああ映画っていいなあ、純粋にそう思えるような作品だった。
映画はいい、けど映画というものは所詮娯楽、そう考える人も多いだろう。確かにそうかもしれない、特に今は劇場に行ってもトリッキーなジャンルの映画は放映されてないし、逆に選択肢が多い動画配信サービスで好みの作品をいつでも見れるのでわざわざ変なものは見ないだろう。
しかしこの映画が舞台となった主人公の幼少期の時代は当然ネットも何も無い、レンタルビデオ店も無い時代だ。そんな時代の田舎の楽しみは映画だけだろう、それは金持ちや貧乏人、知識人や字が読めない者も関係なく楽しめるからだ。
映画が唯一の娯楽だった時代、映画は自由だった、ジャンルが広かったのだ。短絡的なアクションや訳の分からない芸術作品、ただのエロもの、これらにどっぷり漬かり大人は熱くなり、子供は夢を見たり、社会の汚い部分を学んだ。
恐らく今を生きる若者よりも映画というものが人生において占める位置が大きかったに違いない。これら喜怒哀楽が豊かだった時代の映画を娯楽という一分野で簡単に片付けられるはずがない、そう感情を映像化した究極の芸術作品である。
この映画はそんな時代の映画を愛し、懐かしむ人々に見てほしい作品だ。
仮にそんな時代の映画を知らない人にはただ映画が好きで好きで仕方ない、そんな純粋な子供心を疑似体験でき、楽しむことができるだろう。
郷愁と初恋と恩人への想い…
20年ぶりに鑑賞!
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