「映画館で観られた幸運を抱きしめて」ニュー・シネマ・パラダイス しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
映画館で観られた幸運を抱きしめて
第22回カンヌ国際映画祭審査員グランプリ受賞作。
第62回アカデミー賞外国語映画賞受賞作。
"午前十時の映画祭10‐FINAL‐" で鑑賞(字幕)。
なんて素晴らしい映画なのか。本作の初鑑賞がスクリーンだったことは、私の人生で五指に入る鮮烈な体験となった。
トトとアルフレードの美しき友情。映画への溢れんばかりの愛。全編を彩るエンニオ・モリコーネの叙情的な音楽。…
どれが欠けても成立しない、まさに映画芸術。シーンのひとつひとつに想いがこめられ、美しいものに満ち満ちていた。
映画を観ながら笑い、涙し、歓声を上げる人々の表情がイキイキと捉えられていて、観る者の心を豊かにしてくれる映画の持つ素晴らしい力を、改めて認識することが出来た。
様々な作品を映画館で鑑賞したけれど、本作ほど「スクリーンで観て良かった」と感じたのは初めてだ。観客たちと時間と感情を分かち合う、映画の楽しみを思い出させてくれた。
アルフレードがサルバトーレに言った言葉―「この町には帰って来るな」「ノスタルジーにばかり囚われてはいけない」。
「あの頃」に浸ってばかりでは前に進めない。全てを置き去りにしてでも道を切り開けと云うことではないかな、と…
だが、郷愁に浸ることを完全には排除したくないと云う、裏腹な想いも彼にはあったのではないかな、と感じた。
それを示すかのように劇伴が懐かしさを喚起し、自然と涙が出そうになる感傷を呼び起こされてしまったからである。
前に向かって進んで行ったとしても、過去の全てを忘れてしまえないのが人間と云う生き物なのではないかと思った。
そう。ずっと変わらないものだってあるのだから。30年ぶりの故郷でさえ、変わっていないものがあったように。
「郷愁に囚われるな」と言ったアルフレード本人でさえ、トトと交わした約束をしっかりと覚えていたのである。
カットされたキスシーンたちで構成されたフィルムに落涙してしまった。往年のスターたちの交わす熱いキス…
それをクライマックスとするのはニクい。映画を愛する全ての人への愛の花束のようだ。いやはや、映画は素晴らしい。
[以降の鑑賞記録]
2019/09/08:Blu-ray(デジタル・レストア・バージョン,字幕)
2021/01/01:NHK(録画,字幕)
※修正(2024/12/01)
共感ありがとうございました。
ホント、おっしゃるとおり「映画館の映画」は、やはり映画館で観なくちゃいけませんよね!
このシリーズは、2時間版も3時間版も素晴らしかったです。そして大幅にカットされているはずの2時間版も、その「編集の腕前」には さすが!と唸らされたものです。
監督は自分が生み出した子供のようなフイルムを切り刻みたくはないでしょうが、そのまま監督の意向を全て飲んでしまうと、映画の尺は膨大になることは目に見えている。
だから敢えてそこに「第三者の編集担当」をいれる映画作りの意味についても学んだ一本でした。
グレシャムの法則さん、返信が遅くなって申し訳ありません。
こちらこそありがとうございます。
拙文がお役に立てて幸いです。
私もブルーレイを持っていますが、仰る通り映画館で観てこその作品ですよね。感動の覚え方がスクリーンの方が桁違いに良いですもの…
突然のコメントですみません😆
お書きになってることが、懐かしくて深い感動を思い出させてくれました。
ありがとうございます。
この映画、DVD買ったのですが、自宅のしょぼいテレビだとなかなか見ないものですね。やはり、映画館で限られた人たちと同じ空気を吸いながら、見るのがベストなのかな、と思いました。
地蔵菩薩さんへ。
コメントありがとうございます。
映画化発表と同時に原作を買いました。映画好きには堪らない物語に、もっと早く読んどくんだったと後悔しております(笑)
syu32氏🙇お疲れ様です✨
私の本作レビューに引用し、映画化してほしいと言ってた「キネマの神様」映画化ですね…公開12月です。志村けん+菅田くん+山田洋次ってどうなるのやら…ですが楽しみです☺
(下段への返信)
地蔵菩薩さんへ。
寅さん、すごいです。日本人なら惹かれてしまうのかもしれませんねぇ…。
満員と言えば、帰郷もほぼ満員でした。年齢層は…言わずもがな(笑) 20代は僕ひとりだけで、後は60代、70代の人たちでした。
(上段への返信)
地蔵菩薩さんへ。
快調な滑り出しですね! 2020年最初は名作巡りで始まりましたねぇ…。
私は寅さんの新作で始まり、屍人荘の殺人、ラストレター、帰郷、パラサイト…と、去年観逃した作品と楽しみにしていた作品が観られて充実しています。
本作に関してですが、Blu-rayセットは持っているのに、まだ完全オリジナル版の方を観ていないので、観なければいけないなという想いに駆られております(笑)
syu32氏🙇そうなんです✨
昨年は、平成最後の神社仏閣巡りの参拝に年始使いきりましたので、今年は近所であっさり済ませました。
シネピピアのシネマ1ではずっ~と「男はつらいよ50/お帰り寅さん」やってました。
「楽園」の時も「ボーダー」の時もシネマ2はガラガラで、シネマ1は満員…見れば余りにも楽しげな人たちの声、喫茶を兼ねたロビーは近隣の映画サークルの方や、老人クラブの方の憩の場になっており、その方々が一堂にシネマ1に入って行きました。…老若を取り込めるってやっぱ寅さん凄いなと…少し目頭が曇りました。
ピピアでは今、「マチネの終わりに」「ひとよ」を上映中で行けたら良いのですが…「帰郷」「屍人荘の殺人」「ラストレター」「フォードvsフェラーリ」「ジョジョ・ラビット」は追い付きたい作品です。既に後続の注目映画目白押しですからね✨
ちなみに寅さんは、塚口サンサンでも満員でした。まだまだロングラン中なので、落ち着いたら行こうかと思ってます☺
syu32氏🙇ニューシネマ見つけました。
今年に入って…1/3「ジョーカー」(塚口サンサン)、1/4「アイリッシュマン」(シネマート)、1/12「ニューシネマパラダイス」(塚口サンサン)、1/16「楽園」(シネピピア)、1/17「さらば青春の光」(塚口サンサン)~「ボーダー」(シネピピア)…で、先程、「午前十時の映画祭-10・FINAL-」で上映の「アラビアのロレンス/完全版」をTOHOシネマズ西宮OSで観てきました。
シネピピアは初めて行きました。西宮北口~宝塚線で宝塚乗り換え、二つ目の売布神社前すぐです。
ピピアめふ5階のこじんまりした劇場ですが、映画ファンの為の劇場とすぐにわかります。2/28~3/19は2019年秀作特集で「アイリッシュマン」や邦画を含む12作品を公開してくれます。見逃した作品いくつか観に行く予定です✨
地蔵菩薩🙏さんへ。
元町の高架下にあるお店です! 店長さんとお知り合いなんですねぇ…。流石です。
そのお店は安かったような気がします。ちょっと覚えていませんが…。
梅田の古本屋街では、昔の映画雑誌が目ん玉飛び出るくらいのお値段で売っていて、衝撃でした(笑)
確かにピンキリですね(笑)
ヤフオクはやめときます…(笑)
syu32氏🙇
神戸に古い映画のパンフレットを売っている店って、もしかして、元町か花隈の所かしら?…もしそうなら、あそこ昔は、サンプラザの地下にあったのよ…で、店長?のおじさんと仲良くなって、時々、無料招待券もらったり(笑)…違ってたらゴメン🙇
あと、新開地商店街の中、国道渡った北側を上がった所の古書店とか、梅田第三ビルの「もっきりや」とか、ありますけど…えっ!ってなる高額から、まぁ、お店によってピンキリっす😅
ただひとつだけ、ご忠告しますが、ヤフオクでの購入はやめといた方が、イイかもよ…検索~閲覧すればわかります🙇
地蔵菩薩🙏さんへ。
心が浄化…まさにその通りですよね! 優しい気持ちになれますよねぇ…。
パンフレット、欲しくなりました…。神戸に古い映画のパンフレットを売っている店をこの間見つけたのですが、そこにあるかしら…?(笑)
syu32氏🙇
…そう、多分、誰かと一緒でも…号泣、必至だったと思います😭
ただ、本作で流す涙は、辛い苦しい涙、じゃないのよね💧、何か生気を貰えたみたいな、事実、鑑賞後は心が、浄化されたみたいに、なりましたからね🙏
「パンフレットに載せたい様な」…など書いたので、当時のパンフレットを、引っ張り出して見ると、鴻上尚史と南果歩の対談や、阿久悠、淀川長治、大林宣彦のレビュー、最後にフィリップ・ノワレのインタビューもあり驚いてました。
観たけど記憶残ってないですが😅、フィリップ・ノワレと「ロレンス」のオトゥール+シャリフ共演の戦争スリラーみたいな「将軍たちの夜」ってのありました。オトゥール&フィリップだと「マーフィーの戦い」も…どちらも戦争モノでした。
年齢とか関係なく、文章だけで伝わるsyu32氏の、ただならぬ映画愛に感服です。『素晴らしいレビューで、つい、泣きました』とコメントされた方の気持ち、凄くわかりますよ🙇
地蔵菩薩🙏さんへ。
共感いただきありがとうございます。嬉しいです。
梅田にはたくさん映画館があったんですねぇ…。
私が観た回はほぼ満席でしたが、思い切り泣いちゃいました(笑)
syu32氏🙇
パンフレットに載せたい様なレビューに感涙しました😭
本作は、「アラビアのロレンス」を観た、今は無き(こればっかり😅)西梅田の大毎地下劇場で併映が、リチャード・レスター監督の「ナック」でした😆
心身ともに疲弊していた頃に、一人で観て正解でした。人目はばからず号泣出来たからです😭
ありがとうございました🙏
masamiさんへ。
リアルタイムでご覧になられたんですね!
初鑑賞を映画館で体験できたことが何よりも嬉しくて、感動も一入でした。大好きな映画のひとつになりました。
私の拙いレビューを読んで下さりありがとうございます。共感嬉しいです。
masamiさんのレビューも拝読させていただきました。そういう観方もあるのかとか、気付かされることもあります。
これからもよろしくお願い致します!
syu32さん、逆にすみません。
私がこの作品を初めて観たのは1989年
シネスイッチ銀座です。劇場開館、以来のヒットで、私が行った時も満員でした。
観終わっての感想は言葉に出来ないくらい感動しました。
冒頭のアルフレードの死を告げる電話を受け、その刹那、雷が鳴り響きます。
それはトトの心情を表しています。
その後二人の友情の日々。
映画を心から堪能する人々。
美しく何故か懐かしいまちなみ。
全てが素晴らしいです。
映画はリリースした時から製作者の元を離れ観客のものである。そんなメッセージも感じました。歌も文学も同じです。
そしてエンニオ・モリコーネの音楽。
100点です。こね曲が流れた瞬間、私はすぐ泣いてしまいます。映像もシナリオも100点です。
syu32さんのレビューは良く読んでいます。映画が本当に好きなのが伝わります。今後も読ませて頂きます。
ありがとうございます。
傑作は時代を凌駕しますね。
masamiさんへ。
共感とコメント、ありがとうございます。
お褒めいただき大変恐縮です。
拙文でお恥ずかしい限りですが、このような感想をいただいたのは初めてだったので、本作の素晴らしさを再確認すると共に映画ってやっぱりいいものだなと改めて感じました。
masamiさんが本作をご覧になられての感想もお聞かせ願いたいです!
shu32さんへ
午前十時で御覧になったんですね。私も同じです。良かったですよね、何もかもが。もう「良かった」と言う言葉しか出て来ないんですけどw
あのフィルム、村人達に見せてあげたいです!
尚、犬のお父さん探索は、未だ成果無しですw