2001年宇宙の旅のレビュー・感想・評価
全191件中、121~140件目を表示
何度観ても変わらない感覚。
アナログの野生、デジタルの洗練
言わずと知れた傑作だが、劇場での鑑賞経験は無かった。しかし、先日機会に恵まれ、国立映画アーカイブにて70mmフィルム、そしてIMAXも鑑賞することができたのでその感想を記す。
70mmには、ノスタルジアが正しい評価の支障になるかと思ったが、杞憂であった。やはり70mmにはデジタルには無い魅力がある。
1つ目は、THE DAWN OF MANにおける風景の美しさである。これはいきなり度肝を抜かれたのだが、なんと言えば良いのか、所謂「淡さ」なのだろうか、まるでモネの絵画の光の描写のような空気感、景色の奥行きを感じたのである。これはIMAXデジタルでは感じることが出来なかった印象である。つまり、デジタルの洗練に対するアナログの「野生」を感じ取れるのだ。
2つ目は、HAL9000の狂気である。これはIMAXの大画面で観ても流石に抱く感情だが、HALが持ってはいけない「意志」を持つことの恐怖、コンピュータが人間の支配を脱した瞬間、この狂気は70mmの野生的な映像を通すと鳥肌が立つほどのものだ。表情の読み取れぬ真紅に灯るランプ、それがアナログのフィルムに揺れる。
公開50周年の節目にこの鑑賞機会に恵まれた事は、幸福な事だと感じている。
未来の映画少年へ。
IMAXで体感できる幸せ
キューブリックを映画館(IMAX)で感じるチャンス
2001年宇宙の旅 IMAX版
何度か観てますが、映画館で始めて鑑賞。しかもIMAXの大画面! 改...
IMAXで観れてよかった!
この機会を逃すのはあまりにも勿体ない‼️
昔流行ったクイズ。
HALの名前の由来知ってる?
答え…IBMのひとつ前のアルファベットを並べた。
1964年 東京オリンピック(戦後わずか20年‼︎)
1968年 2001年宇宙の旅
1969年 アポロ月面着陸
と歴史的偉業と並べて語られても違和感を覚える人の方が少ないほどの作品。
アポロ月面着陸は捏造だと信じる人たちの根拠のひとつにこの映画の中で極秘裏に政府がスタンリー・キューブリックにNASA用の映像を作らせた、というのがあるほどですから、そのクオリティーの高さを是非劇場で確かめていただきたい。
今、アイマックスの大画面と高音質で再び鑑賞出来る…そのことだけでも大興奮‼️
昔、『ぴあテンもあテン』や『はみだしユーとぴあ』などにハマっていた世代の方は冒頭の〝ツァラトゥストラかく語りき〟を聴き終わった時には涙が滲んでいると思います。ヒトザルの放った骨から〝美しき青きドナウ〟が一段落する頃には並の映画1本分の情感を使い切ってしまいます。
でも、ちゃんと休憩があるので、最後まで見届けるのには影響ないのでご安心のほど。
勿論、昔を知らず郷愁の念など無い若い世代の方にも是非体験していただきたい。現代のSF作品……スターウォーズ、インターステラー、エイリアンなど名だたる作品の多くが何らかの影響を受け、或いはオマージュを捧げていることが分かります。
それでいて、今もなお古臭さを感じさせない普遍性を宿している。
上映期間がいつまでか分かりませんが、この機会を逃すのはあまりに勿体ないと思い、投稿しました。
IMAXで見たけどちょっと酔った ワーク激しくないのになんでと思っ...
やはり普遍的な
IMAXの画質が酷い
2001年宇宙の旅のIMAX上映を見ましたが、画質は35ミリフィルム版よりはるかに悪く、音量ばかりが異常に大きくガッカリさせられた。40年ほど前に70ミリ上映のシネラマ館で観たときの鮮明さや3D映画と見紛うばかりの立体感は全く無く、背景の星空もテレビ並みのぼやけた画質でこれが本当にIMAXなのかと思った。70ミリのシネラマ上映では回転する宇宙ステーションをカメラがすり抜けて行く場面や宇宙飛行士が8角形の倉庫を抜けてポッドベイへ向かう場面、最後のスターゲートを抜けてゆくシーンなど観客からウォーッと歓声が上がるぐらいの生々しい立体感があったが、今回のIMAX上映では、ぼやけた映像を視野いっぱいに見せられた不快な印象しか残らなかった。70ミリフィルム上映とデジタル上映の差に愕然とさせられた。これなら自宅のテレビでブルーレイを鑑賞している方が良かったと思わせる様な内容だった。フィルム上映がほとんど不可能になった現在では、70ミりでシネラマ上映用に作られた2001年宇宙の旅のような映画本来の実力を味わうことができないのが本当に残念。公開から50周年とのことですが、技術ははるかに進んだのに現在の若い世代の人達が昔の映画の素晴らしさを堪能できない様な現状に疑問を感じる体験でした。
IMAXにて鑑賞
逆説的なアプローチ
スタンリーキューブリックの映画は、一筋縄ではいかない。特に、この2001年宇宙の旅は、数百万年も前の未知の物体を月で発見しすることによって、自分たちは何処から来たのかという命題を暗示しながら、コンピュータHALが最も人間らしく描かれるという逆説的なアプローチをとって、観るものを惑わせる。
エンディングに向けて描かれる宇宙空間のガスは、さしずめ女性の胎内のように描かれ、死と生が繰り返されていくという宗教的な場面もある。また、胎児の瞳が宇宙を見透すシーンは、何を意味してるのか、逡巡させられる。
科学的裏付けを元にデザインされた木星探査船やポッドも圧巻だ。
しかし、この中で、もっとも未来科学的で、且つ、もっとも人間らしく描かれるのは、コンピュータのHALだ。HALは、ミスをしない最先端のコンピュータで、人間のように思考し、人間とコミュニケーションを取る人工知能を搭載している。そして、人間のように畏れ、不安にもなる。
HALが「普通とは異なる準備プロセスを、あなた達クルーは、おかしいと感じませんでしたか?」と問いかける。HAL自身がミッションに不安なのだ。そして、おそらく、その不安が高じて判断ミスを犯してしまい、ミスを理由に回路を切断されそうだと感じると反乱を起こし、そして、回路切断を目前に、停止されないことを請い願いながら、HALは、徐々に途絶えて行く。人間そのものだ。
実は、HALだけが、ミッションの本当の目的を知らされていた。それは、地球外生命の、然も、進んだ知性とのコンタクトで、人間の起源に迫るものかもしれないというのだ。HALは何を怖れたのだろうか。危険かどうかというより、目的もはっきり知らされないミッションに、疑問を抱かずに参加する人間に警鐘を鳴らしたかったのではないか、ある意味機械的に描写されるクルーに対して、人間らしく描かれるHALは、人は神の領域を犯してはならないという、畏怖に近い感情を抱いていたのではないか。
自分は何者で何処から来たのかという命題は、人間が創造しプログラミングしたHALにとっての命題でもあり、それを探ることへの疑問はHALを苦しめた。ブレードランナーのレプリカントが苦悩する、自分たちは何者かという哲学的な問いをも想起させる。生に対する切望は、人間のもっとも人間らしい部分だ。
AIの時代、便利さを否定するのは困難だ。だが、過度な便利さを追求する前に、人間が人間らしくあることが、どういうことなのか、もう一度問うても良いのではないかと、改めて考えさせられる作品だった。哲学的、宗教的命題を軽んじるつもりもない。だが、もっと足元を照らしてみても良いのではないだろうか。
全191件中、121~140件目を表示