「本作の魅力は何といっても劇中登場のアイテムが当時日本中で爆発的に大流行したことですね!」トップガン 矢萩久登さんの映画レビュー(感想・評価)
本作の魅力は何といっても劇中登場のアイテムが当時日本中で爆発的に大流行したことですね!
今年はリクエスト結果をもとに選定された「午前十時の映画祭15」。
昨日のリドリー・スコット監督『エイリアン』に続き、本日は弟のトニー・スコット監督『トップガン』を鑑賞。
『トップガン』(1986年/110分)
本作品も、もはや説明は不要。
公開の年間全米興行成績1位を記録し、主演のトム・クルーズをはじめ、ヴァル・キルマー、メグ・ライアン、ティム・ロビンスらがトップスターの仲間入りを果たした80年代を代表する傑作。
CG技術が一切ない当時、アメリカ海軍が全面協力した本物のF₋14を使用した白熱の空中戦(ドッグファイト)、当時の東西冷戦の緊張感、マッチョな米国と不気味なソ連の対比は観客にも身近に共感、公開から40年経った今でも出色。
キャスティングもヘルメットのシールドから見えるトム・クルーズの鋭い眼差しは彼以外の俳優にはなかなか真似はできず、まさに彼のための映画でしたね。
そして本作の魅力は何といっても劇中登場のアイテムが日本中で爆発的に大流行したことですね。
トム・クルーズが乗ったバイク「カワサキ・ニンジャ」やレイバンのサングラス、そしてアメ横まで買い求めた「MA₋1」ジャケット(実際の劇中はG₋1)、ドッグタグ、さらにゲームセンターにはセガが開発した体感ゲーム『アフターバーナー』に日々百円玉を吸い取られていました。
一つの映画でこれだけさまざまなアイテムが大流行した作品は過去記憶にありませんね。
そして極めつけは劇中の音楽。
オープニングから観客を魅了したケニー・ロギンス「DANGER ZONE」をはじめ、甘いムードのライチャス・ブラザーズ「You’ve Lost That Lovin’ Feeling」、ジェリー・リー・ルイス「Great Balls of Fire」、映画のラストはチープ・トリック「MIGHTY WINGS」と、とにかく選曲の良さ、音楽がもう一つの主役のように際立っています。
プロデューサーのドン・シンプソン、ジェリー・ブラッカイマーが『フラッシュダンス』『ビバリーヒルズ・コップ』などを大ヒットさせ、その流れで当時大流行のMTV風に仕上げたと思いますが、本作でもほぼ9割は何かしら劇伴が流れており、作品に圧倒的なスピードとテンポを与え、登場人物の心情に寄り添いメロドラマのようですが実に見やすいです。
昨今の洋画では、誰もが知っている映画音楽(テーマ曲)のヒットが久しくなくなった印象。
CG技術やシナリオ・プロットではすでに限界が感じられるので、今一度音楽面での強化と盛り上げ、ムーブアップが洋画復活の一つの糸口になりそうですがどうでしょうかね。