「面白すぎる」時計じかけのオレンジ 古泉智浩さんの映画レビュー(感想・評価)
面白すぎる
去年のカナザワ映画祭で後半部分から見始めて、何度も見ているのでいいかなと思ったけど、前半のエキサイティングな場面が面白かったことに気づいてすごく後悔した。WOWOWの放送で改めて見たらやっぱりとんでもなく面白かった。
主人公は高校生くらいの若者でスーパーカーみたいなのを乗り回してやりたい放題で、麻薬やってレイプして3Pして音楽聞いて、喧嘩して、浮浪者をリンチして強盗して悪い事全部していていて、とんでもなく楽しそうだった。あのミルク飲みたい。彼を演じるマルコム・マクダウェルはその後消えてしまったのだろうかと思って調べたら、最近の映画まで途切れなくたくさんの映画に出続けていたのだが、全く印象にない。舌がからんだようなレロレロした語り口が、この映画では異常者っぽくてよかった。
かなりのお調子者でお風呂で気持ちがよくなって『雨に歌えば』を最初は口ずさむ程度だったのが、だんだん盛り上がって熱唱して正体がばれるところは、おじいさんの表情も含めて最高だ。
金持ちたちが嫌味っぽいので犯罪者を応援したくなる。
男性器のオブジェで殺されるおばさんもよかった。暴漢に取り囲まれていても一歩も引かずに喚きつづけ、しかも口が悪くてかっこよかった。
デザインの凝った家や室内ばかりを映して普通の町並みや景色を全く描かない事で変な未来感を表現している。今から見れば過去なはずなのに、どこか違う世界の未来みたいな感じがしてすごくかっこいい。
5年くらいしたらまた見たい。
(追記)
ちょうど5年後に午前十時で上映されて、スクリーンで見た。何度見ても超絶に面白い。ストーリーも面白いけど随所にふざけていて面白い。お母さんの2回目の出番の衣装が、魔法使いサリーみたい。刑務所のナチスみたいな看守も面白いし、保護司みたいなおじさんも相当ふざけている。車椅子のおじいさんが、正体に気づいて驚愕する表情は完全に変顔でふざけている。素晴らしかった。