「巨匠が魅せる迫力の映像世界!」時計じかけのオレンジ ratienさんの映画レビュー(感想・評価)
巨匠が魅せる迫力の映像世界!
キューブリック監督は自分の作品に満足してたんでしょうか?
難解な「2001年宇宙の旅」とか、公開禁止になるこの作品とか、かなり好き勝手をやらせてもらえた監督だと思います。
最近ではディレクターズカット版みたいな形で公表することもできますが、当時は難しかっただろうに、こうして公開できるのですから。
映画通みたいな人たちがこの作品を絶賛しているのをよくみかけます。確かにおしゃれで芸術的な感じはします。通が好みそうな・・・。
いつだったか忘れましたが、最初に見たとき(映画公開時は知りませんので、ビデオで見た時です)にはホンっと衝撃でした。あまりにもストレートな暴力描写にホラー大好き人間の自分も大感激したのを覚えてます。 で、久々に見た今回ですが、やっぱりすごいです! 暴力シーンの派手さはもとより、その見せ方も実に生々しい。最近のCGに頼った嘘くさい映像とは大違い!まさに本物の迫力って感じです。
そして、それに合わせた音楽の数々!クラシックの名曲から「雨に唄えば」・・・。さらにスローモーションがあったり、早回しがあったり。また、衣装から部屋の内装まで現実離れした芸術的なおしゃれ映像が満載です。 訳の分からない言語での会話ってのもありました。
近未来という設定でしたから、1970年代の公開時期を考えれば、現代を想定しての話だったと思われますが、まだ追いついていない。今でも近未来として、新鮮に見れる感じがします。
そして作品事態は、全編、暴力の嵐と考えます。
若さから来る力任せの暴走した暴力。
更正という偽りの正義を振りかざした洗脳という精神的な暴力。
手の出せなくなった弱者に対するリベンジ。
自らの欲のために他を蹴落とす事しか考えない、常に存在する政治的な暴力。
実際にこの作品が持っている奥の深さってのは自分にはよく理解できてないかもしれませんが、全然古臭さを感じさせないこの作品にびっくりです。
キューブリック監督ってホンっとすごいと改めて感動した一本でした。
と、ratienさんのレビューに触発されて、自分のレビューを追記することができました。ありがとうございます。
俺はこれまで「インスパイアって言うけど、物真似でしょ」と思ってましたが、今回、ratienさんのレビューを読んでからのことは、「これがインスパイアされるってことか」と感じる、ちょっと刺激的な体験でした。感動。
あらためてすごいですよね。俺はホラー苦手だから、余計に。
「個人の自由」と「社会の安定」のバランスを取るのが「政治」と理解していますが、主人公は前者を極限まで拡張した存在、主人公に施されたロボトミー手術は後者を極限まで拡張した施策。さあ、あなたはこの両者の間のどの辺りだと心地よく過ごせると感じますか?よく考えてね、と聞かれているような映画です。