「自由と法」時計じかけのオレンジ みゅうさんの映画レビュー(感想・評価)
自由と法
結構アレックスに感情移入してる人も多いようだけど個人的には外道すぎて罰として妥当であるようにしか思えなかった。ただアレックスに共感出来なくてもこの映画が傑作なのは間違いない。どんな感想にせよ誰が観てもすごいと思える作品だと思う。
個人的には個々の自由と社会秩序を両立させることの難しさを強く感じる作品だった。この映画でフレデリック大臣派を責めるのは簡単だが、君の家にアレックスが来てレイプ、恐喝、強盗の類をされても個人の自由を尊重すると言えるだろうか。もちろん映画の治療法は非人道的だけど政府が犯罪者更生に過激になってしまうこと自体を弾糾できない。神父の言う通り個人が選択能力によって善を選ばせないと意味が無いと言うのはもっともだが、快楽で犯罪を繰り返す人間がその能力を取り戻すのは明らかに至難の技だ。自由は尊ばれないといけないとは思うが相手に自分を傷つける自由を与えられるほど寛大な人間もそうそういない。だから法がある。どんなときも反権力だ、俺はアナーキストだなどと言ってる場合じゃない。
…そう思っちゃった人間なので、アレックスに共感ではなくずっと俯瞰的に鑑賞していました。
個人的にダークヒーローだなぁと思ったのは奥さんを凌辱された作家のお爺さん。
我が国の自由のためにアレックスの悪行も自由として許した…と見せ掛けて嬉々としてアレックスを自殺に追い込む。あのお爺さんの憤りとも恍惚とも言えない表情が素晴らしかった。
お爺さんの睨みをきかせた目とワインに毒でも入ってるんじゃないかと震えるアレックスのカットも大好き。並ぶとアレックスの小物感も際立つし。
一種の政治犯としても血に飢える老人としてもわたしは作家の方がクールだなぁと思いました。
あと書いていて自分の本文に使用できない文字が含まれていたらしい。…この作品のあらすじだから仕方ないのに…
私の言葉で誰かが憤慨しても責任は取れないので控えろと言う訳か。
でもこうしないと荒らしとか排除出来ないので一概に自由の阻害とも言えない。
社会の中の自由って難しいよね?