デルス・ウザーラ
劇場公開日:1975年8月2日
解説
シベリアのウスリー地方に暮らす天涯孤独の猟師デルス・ウザーラ。地誌調査のためにウスリー地方に入ったロシアのアルセーニェフ隊は、厳しい自然に直面し窮地に陥ったところをデルスに助けられる。大自然を愛するデルスの生き方にアルセーニェフは感嘆を覚え、次第にふたりは強い友情に結ばれていく。しかし、過ぎ行く年月は残酷な別れを容赦なく突きつける。オール旧ソ連ロケの映し出す大自然は厳しく美しく、役者たちの静かな演技も心を打つ。黒澤監督初の70ミリ作品。
1975年製作/141分/日本
配給:日本ヘラルド映画
スタッフ・キャスト
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シュメイクル・チョクモロフ
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ユーリー・サローミン
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マキシム・ムンズーク
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ウラジミール・クレナメ
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スペトラーナ・ダニエルチェンコ
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2022年7月27日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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1975年。ソ連と日本の合作映画ですシベリアを舞台に黒澤監督クルーの撮影期間一年間。
アカデミー賞外国語映画賞を受賞した作品です。
一言で言えば「男のロマン」のを追求した作品。
ロシア文学に傾倒していた黒澤明、念願のロシア語作品なのでしょう。
ロシア探検家・アルセーニエフと先住民ガイド・デルス・ウザーラの
友情と冒険を描いた映画です。
ソ連の奥地には虎や熊が生息してるんですね。
本物の虎も出演。
動物園の虎を調達してきたソ連人スタッフに「目が死んでいる」
と、黒澤が言い、野生の虎を捕獲してきたら、その虎は夜行性で役に立たず、
結局は動物園の虎を撮影に使用したとか・・・。
冒険映画として、探検隊隊長アルセーニエフとデルス
のふたりは吹雪の草原に取り残される。
激流に飲み込まれそうになるデルス(彼は泳げないのかも知れない?)
を、隊員たちが必死で助ける。
シベリアにも義賊がいて、男が川に縛られて殺されかけていたり(先住民が住んでいたって事なんでしょうね、女は拐った・・・と、言ってる)
CG撮影をしてないので、やや話しも映像も平坦。
ドラマティックでは決してないですが、夕陽が焼ける光景は見事でした。
終盤になり、ウザーラが視力の衰えから狩の獲物を狙えなくなる。
そこで隊長アルセーニエフはハバロフスクの家にデルスウザーラを
誘い手厚くもてなすのだが、デルスにはそこが地獄なのです。
当時のハバロフスクでは薪も水も買っている・・・本当ですかね?
水道が無かった?
薪を作るために公園の樹を切り倒したデルスは、警官に捕まってしまう。
そんなこんなで、ハバロフスクの家を去ったデルスウザーラ。
そして彼に悲劇が訪れます。
他殺体で発見されたとの知らせがアルセーニエフに、届きます。
なんと、アルセーニエフのプレゼントした最新式の照準の付いたライフルを
盗むのが犯人の目的だったのですね。
しかしデルスは念願の自然に還った。
それで良かったのかも知れません。
2021年12月29日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
黒沢作品の中でも、特に好きな一本だ。
大自然の中で生まれ育ち、狩猟で生活をしているデルスウザーラ。 一方、近代的な生活圏に暮らす極地探検隊の隊長。 自然に対する捉え方が異なるこの二人が、自然の中で出会い友情を育んでいく。
その絆を深めるきっかけとなる件がある。 二人が大氷原の真っただ中に取り残され、絶体絶命の状況に陥る。 しかし、デルスが持つ生活の知恵によって、最悪の事態を見事に回避する。 この出来事によって、隊長のデルスに対する信頼が深まり、ここから、年齢も生き方も違う二人の友情物語が展開されていく。 しかし、 友情が深くなればなるほど、生活環境や生き方の違いがお互いを苦しめていくことになる。
デルスの死によってもたらされる隊長の悲しみは、もはや観客に委ねられていたと思う。 身近な人が亡くなった時の、罪悪感と喪失感が入り混じった、あの身の置き所の無い悲しみを、我々も映画の中で経験することになるのだ。
自然から距離をとり、安全・快適な生活環境に生きることが、果たして良いことなのかー。 豊かな現在の世界を創り上げた人間の知恵を否定するつもりはない。 ただ、 二人の物語を観ていると、 自然とは、人生とは、生きるとは・・・とどうしても考えさせられてしまう。
本来、我々の心とは、自然そのものなのではないのだろうか。 自然と距離を取って生きるということは、心からも離れてしまうことになるのではないだろうか。 鑑賞後、深い余韻に包まれる一本だった。
2020年9月4日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
デルスは先住民である
どの大陸や国でも先住民というのは大自然と共存していた
人間はどこでどう間違えたのだろうか
ほんの200年ほどで底のない貪欲さで人類は地球を食い物にしている
たぶん人類は自然淘汰されるだろう、それは地球の歴史から言えば当たり前のことで1億6000万年続いた恐竜でさえ絶滅したのだから
デルスもその一人なのだと思う
森人は、もう森には帰れない
2020年8月8日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
これで黒澤作品は全て見た。70ミリで撮るに値する風景の数々は、想像するに人間黒澤の手が入らなければああならなかっただろう。そんな作品、今はもう見かけない。大変偉大な仕事だと思う。