天国の日々のレビュー・感想・評価
全13件を表示
この内容の密度と深度でたった94分なの凄くないですか?!
この映画が、マリック監督の前作にしてデビュー作『地獄の逃避行』改め『バッドランズ』と同じ上映時間94分というのは、考えたら凄いことではないか。『バッドランズ』も神話的、哲学的な広がりと美しさを備えた作品だったが、こちらはより複雑で、より雄大で、神話性も増している。マジックアワーでの撮影が伝説化しているように、こだわり抜かれた映像美も圧巻で、正直『バッドランズ』ほど身近に引き寄せて愛でることができない、なんだか人として格上だと感じずにはいられない作品だと思っている。にも関わらず、人間関係の描写は過不足なくまとめていて、94分というほどよい短さに落とし込んだ。もちろん予算やスケジュールの都合もあったのかもしれないが、難解な長い映画を作るよりもはるかにややこしくて難しいことをマリックは本作でやってのけたように思う。
映像が美しい映画
リチャードギアの主役第一作だそうです。アメリカンジゴロでセクシーな大スターになる前です。上手い俳優なのにその後あまり良質な作品に恵まれずにいたのは大変残念だと思いました。この映画にはサムシェパードも出ています。個人的に大好きな二人が若くしてこんなに良い映画で共演していたのを今まで知らなかったのが大ファンとしてとても悔しいです。
リチャードギアの演じる貧しく浅はかな男に振り回される恋人が哀れです。その恋人に想いを寄せ騙される裕福な余命少ない男も悲しいです。この悲惨なストーリーを美しい自然を映像が綴っていきます。私はこの映画は間違いなくサムシェパードとリチャードギアの代表作だと思います。私は感動のあまり2回映画館に足を運びました。
圧巻の自然美&映像美!!
1978年の作品でここまで圧巻の映像美を堪能できるとは!
テレンス・マリック監督、恐るべし!というのが所感。
主人公ビル役のリチャード・ギアはじめ、アビー役のブルック・アダムス、
チャック役のサム・シェパード、リンダ役のリンダ・マンズ、
みんなカッコいいし美しい。
演技も素晴らしくて、物語から目が離せなかった。
最初は1910年代の農場での生活を、美しい自然美とともに把握。
私の思考のクセだが、トイレはどうしているのだろう?と、つい思っちゃう。無粋。
麦畑は大変手がかかりそうだが、人々が生き生きとしている。
アビーとチャックの結婚後は、
幸せそうな夫婦生活というよりは、ビルとアビーの仲をうたがうチャックの図。
昔も今も男女のいざこざは不変だな。これが人間なのだなと思う。
イナゴ🦗の大量発生からの、火事で麦畑が焼失、
そこからビルとチャックの関係性も急速に変化が!!
よもやビルがチャックを殺しちゃうとは。勢いだとしても。これも時代がそうさせたのか。
警察から追われるビル(アビーとリンダも一緒だが)が殺されるのも、まさかの展開。
そしてアビーとリンダはふたりに。
実に波乱に満ちた人生。
逞しく生きていくのだろうなというエンディング。
どこが天国の日々だったのか。
このあたりの理解は、パンフレットを購入したので、後ほどじっくり目を通すことにする。
それにしても、この時代にこの映像をつくれてしまうテレンス・マリック監督はすごすぎる。
正直、驚いたし、他作品も機会を見つけて鑑賞しようと思う。
「天国から見た、人々の日々」もあるかも
テレンス・マリック監督の、「シン・レッドライン」でとても印象に残っているシーンがある。
草むらを、片側を兵隊が通る。もう片側を、地元の人々が通ってすれ違う。
片や、死と隣り合わせ極限状況の戦闘員である兵隊たち、片や、「戦争」は目にすることはあるが他人事、日常生活をおくる地元の住民
互いに手を伸ばせば届く範囲の両者だが、内面の差は天と地ほど。
互いの世界の断絶ぶりが鮮やかだった。
これが同じフレームに収まっている。
天の高みから、人間を俯瞰していると思った。
「天国の日々」の、川岸で逃走中のビルが警官に追われ銃撃され阿鼻叫喚のシーン、対岸では、優雅にピクニックの人々。何事かと指さして見ていたりする。
この両者の断絶ぶりを見たとき、思い出したのが、先の、草むらですれ違う兵隊と地元の人のシーン。
テレンス・マリックは、こんな風に、天からの視点で人々の営みを描きたい監督なのだろう、「天国の日々」の、語り手は大人たちの右往左往を傍から見ている幼い妹であるリンダ。彼女の語りは、おとなになってからの回想なのだろうが、客観的で他人事で、人間のありさまを高みから観察しているようだった。
「天国の日々」というタイトルは、聖書由来のようだがテレンス・マリックが(無意識に?)「天国から見た人々の日々」という意味合いも含んでいないだろうか。
(リンダにとっての農場生活が、『天国にいるような日々』だったという意味もありそうですが。)
「マジック・アワー」にこだわり抜いた美術品のような撮影も、日が昇り日が沈み、イナゴの大群に襲われる、大いなる自然の当然の営みに過ぎないが、ちっぽけな人間にはそれが全世界であるというのを淡々と描いてみせる天の人の思考の一端のような気がする。
自分が子供の頃、蟻と蟻の巣を観察していたのと同じようだと思った。
蟻には大変申し訳無いが、巣に水を流し込んだことがある。
そうしたら、小さい白い楕円の球を担いだアリたちがわらわらと巣穴から出てきた。
自分が好奇心で流したバケツの水は、彼らには大災害になってしまった。(申し訳ない)
その時の私は、多分テレンス・マリックの立場にいたと思う。
「バッドランズ」はなかなか時間が合わなくて見に行けないが、やっぱりそんな感じなのではないか。大昔テレビで観た記憶があるがよく覚えていないので是非見てみたい。
アビーが、どっちかというと口角が下がったファニー・フェイスで、何人ものオトコを惹きつける魅力ある女性に見えないのと、リンダがもうちょった可愛かったら良かったのにと個人的に思いました。
若いサム・シェパードが素敵で見惚れた。
リチャード・ギアは、粗野で計算高く、実はそれほど悪い男でもないのに頭が悪くて衝動的で取り返しのつかないことをしてしまう男にぴったり(「バッドランズ」の主人公もそんな感じだったような?)
撮影と音楽が素晴らしく、映画館で観られてよかった。
観て聞いて至福のときを過ごせました。
ストーリーはちっぽけな人間のありさまを描ければそれでよし、なものだった気がする。
余談ですが、エンドロールが長くなったのはいつのどの作品からだっただろう、この映画ではまださほどでもない。特殊撮影が大きく取り入れられた頃から?スターウォーズあたり?
ダンナが最近某映画を観てきて、「『エンドロールは二次元コードを読み込んで観てください』」っていうんだよ、驚いたわ~」と言ってました。笑える。
脈絡のない
映画には脈絡のない感想を。
字幕が不親切、会話がうまく噛み合わない。
イナゴがむしゃむしゃしているのを見ると、無力感に襲われる、とても敵わない。
色々鳥が居る、テキサスにもキジが?何故クジャクを?
ドライバーぶっ刺しで終われば良かったのに。
天国の日々っていつからいつまでの事?
タイトルなし(ネタバレ)
20世紀初頭、第一次大戦がはじまった頃の米国シカゴ。
鉄鋼所で上司を殴り飛ばして馘首された青年ビリー(リチャード・ギア)は、恋人アビー(ブルック・アダムス)とビリーの妹リンダ(リンダ・マンズ)とともに西部への列車に乗った。
麦収穫期のテキサス州で季節労働の麦刈り人の職を得た三人。
農園主のチャック(サム・シェパード)は、ビリーの妹と偽ったアビーに想いを寄せ、収穫期終了後にアビーと結婚する。
チャックが不治の病にあると知ったビリーの浅薄な打算の上での行動だった。
チャックの館で「天国の日々」のような暮らしを続けた一年、再び麦収穫の時期がやって来る・・・
といった物語。
初公開時にも観ているが、当時は劇場があまり良くなく、それほど感銘はしなかった。
冒頭の鉄鋼所から西部への描写の差異があまり見いだせなかったことや、シンプルすぎる物語のせいではないかと振り返れば、そう思う。
今回は、圧倒的に画質が良く、感銘は深い。
鉄鋼所のハスケル・ウェクスラーのカメラから、ネストール・アルメンドロスのマジックアワーでの撮影の差異。
列車での移動を挟んでの、その変化。
麦刈りを中心としたマジックアワーでの撮影の美しさはもちろんだが、時折挟まる晴天の画や小動物のアップも良い。
夜の収穫祭のシーンももちろん良い。
ストーリーのシンプルさ。
妹リンダのモノローグにより、神話的寓話的意味が深くなったことは大いに感じました。
なお、前作の処女作『バッドランズ/地獄の逃避行』との共通点もいくつか発見。
続けて観ると、こういうことがわかって非常にありがたい。
女性によるモノローグ(前作は一緒に逃げる恋人による)。
主人公男性の浅薄な愚かさ(本作のビリーに方が前作の主人公よりは幾分マシだが)。
冒頭の近代世界(本作では鉄鋼所、前作ではゴミ収集車の機械)。
年長者・年配者を傷つけての逃亡・・・
スタイルは出来上がっており、2作品撮って、その後、なかなか次作を撮れなかったのも納得がいくというもの。
アメリカンニューシネマでありながら、古典的神話的な映画。
70年代アメリカ映画で最重要な位置にある映画ということに首肯する次第。
圧巻なカメラなので劇場鑑賞で良かった
本作は歴史に残る美しいカメラと聞いていたので、昔から絶対に劇場で鑑賞すると決めていました。この度劇場で鑑賞できて感無量。
大自然と大自然に生きる人間の美しさ。大自然の厳しさと人間社会の厳しさ。時には登場人物の行動が突拍子もなくて“イライラ”させられるけど、これも人間なんですよね。
全く忘れてましたが、農作物を収穫するまでにはイナゴの集団も来るし火災の可能性もあるしで、自然は美しいけれど恐ろしくもある。改めて、現代のインフラが整った生活が本当に凄いことなんだなと思いました。
とにかくカメラが素晴らしいです。約50年前なのに、マジックアワーと呼ばれる夕暮れやズームインしたバッタ、麦の穂、火災シーンなど、まるで絵画を観ているようでした。
The Catcher in the Lie
1日に20分しかない“マジックアワー”。
その時間での撮影に拘り過ぎてスケジュールや予算が大幅に超過、プロデューサーが家を抵当に入れたとか。
そんな逸話を聞いたら観てみたくなる。
話としては特に面白くもなく、クズ男のビルが恋人のアビーを使って結婚詐欺を行うもの。
アビーがチャックに本気になるところまで既定路線。
ビルが顔以外にいいところが一つもがないため、そりゃそうなるわ。
前半は特に必要でもない農場の日常で、なかなか退屈。
本筋に入ってからの動きも小さく、大道芸人一座も大した役目を持たない。
終盤の火事はチャックの怒りを表しているにしても、サスガに冗長。
内容としては60分もあれば十分じゃないかな。
人間の醜さと愚かさを見せる滑稽劇としてはそれなり。
未練タラタラに戻ってくるビルや、中途半端な態度で事態を悪化させたアビー。
とにかくチャックが可哀想。
ラストカットも含めて、リンダが強かに生きていきそうなところは救いか。
映像としては確かに魅力的なカットはあるし、当時評価されたのは理解するが、今となると…
撮影時間が限られたためか、カットの細切れ感も強い。
蝗害のシーンがやたらと綺麗で違和感があり、食べ物を粗末にするシーンが多いのは不快。
そして、上述のスケジュール長期化によってか、リンダがすくすく育ちすぎてるのは気になった。笑
楽園の儚さ
先日鑑賞した同監督作『バッドランズ』に続いて、労働者がうっかり人(愛する人を束縛する存在)を殺してしまって転々と逃亡する話。誰かから大切にしてもらったことのない人の傷つきに思いをはせる。
期待度◎鑑賞後の満足度○ ネストール・アルメンデロスの撮影による映像が素晴らしい。が、映像美に比べ内容のドラマが弱い。キャストにもやや問題あり。
①美しい麦畑の風景を背景に「美人局、転じて災いとなる」の物語が展開していくのだが劇的テンションが弱い。静謐な演出だが、それがドラマの密度を薄くさせているとも云える。
登場人物達の心理描写もリンダのナレーションに頼っているところが多いが、それをバックアップするだけの演技が伴わない。
永遠のマスターピース
この映画は自分にとって特別な「沁みる映画」なので、批評するつもりはない。
20代の頃、テレビの深夜映画で放送した際にVHSに録画して観て、「こんなにきれいな映像で切ない映画は観たことがない」と深く感動したのが最初の記憶。その後、数年後にDVDを購入して再度観て、全く色褪せることない印象だったが、このたび4Kレストア版が公開ということで、初めて映画館で観ることができた。
20世紀初頭、広大なテキサスの農園を舞台に繰り広げられる、三角関係を幹にした人間ドラマ。最初から最後まで、印象派の絵画のように、どこを取っても「絵になる場面」が展開され、観ている間、それだけでなんとも芳醇な気分になる。単に映像が美しいだけでなく、当時まだ無名に近かったであろう、リチャード・ギアやサム・シェパードら主演者の若き日の姿や、儚いストーリーに切ない気持ちがこみ上げる。ヒロインのブルック・アダムスは、いろんな映画に出ていると思っていたが、実はこの作品以外、あまりメジャーな出演作はなく、それだけにこの映画のヒロインとしての美しさが際立ったものになっている。妹役のリンダ・マンズも同様。登場人物すべてが幸薄く、ハッピーエンドにはならないが、それゆえになんとも愛おしい想いがこの映画の記憶としてずっと残っている。
監督テレンス・マリック、撮影ネストール・アルメンドロスの凄さは言うまでもなく、今回あらためて音楽がエンリオ・モリコーネだったと気づいて、オープニングの神秘的で耳に残るテーマ曲も素晴らしい。すべて野外のロケで撮影しており、イナゴの群れからの火事のシーンには、昨今のCGやVFXとは無縁な、本物の自然の過酷さがある。ドラマとしては、少々緩い部分があることも否めないが、そういう部分も含めて丸ごと愛おしく思える。
こんな映画は人生で何本も出会える作品ではない。自分にとって、永遠のマスターピースである。
絵画を見てるような気分
特に盛り上がりもなく静か〜な映画なのに
不思議な魅力があった
あんな農場主が労働者を正妻にすることなんて
あるのかな?と思ったけど
田舎の家なら引け目なく暮らせそう
主人公の男と女の裏切りみたいな行動にはイラついたけど、
なんかどうしようもなかったんだろな…と
静か〜に諦められれる映画
ラストもよかった
全13件を表示