劇場公開日 2025年4月4日

「Days of Heaven の意味とは?」天国の日々 La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)

Days of Heaven の意味とは?

2025年4月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 僕の大好きな「自然光条件下でワイドレンズで人物に寄り、背景の情景を見せる」という映像が各所に観られ、有名なマジック・アワー(日没後数十分の残照に空が映える時間帯)の美しさに魅入られる作品でした。

 ただ、この「天国の日々」というタイトルが気になりました。原題も ”Days of Heaven" なので邦題の問題ではありません。さて、金色に輝く広大な麦畑を天国に例えているのでしょうか。成り上がって行く男の半生を天国の日々に見立てているのでしょうか。或いは、豊かではあるが常に孤独が付きまとう農場主の暮らしを皮肉に天国と呼んでいるのでしょうか。そこで、調べてみると、これは聖書に由来する言葉であると分かりました。そこで、聖書(我が家は無宗教夫婦ですが、聖書は「口語訳」「文語訳」「英語版」の3冊が揃っています)の該当箇所を見た所、曰く、

 口語訳 申命記 11:21 (神の言葉を守ったならば)「そうすれば、主が先祖たちに与えようと誓われた地に、あなたが棲む日数およびあなたがたの子供たちの住む日数は、天が地を覆う日数のように多いであろう。」

 文語訳 申命記 11:21 「然せば、エホバが汝らの先祖等に与へんと誓ひ給ひし地に汝らのおる日及び汝らの子等のをる日は数多くして天の地を覆ふ日の久しきが如くならん。」

 どうやら、Days of Heaven とは上記の「天が地を覆う日」「天の地を覆ふ日」の事を指す様で、Heaven とはいわゆる「天国」の事ではなく、「空」と考えるべきものである事が分かります。つまり、Days of Heaven とは「空が地の上にある間」つまり永遠を意味するのでしょうか。

 それにしても、日本語の聖書は何故こんなに分かり難いのでしょう。まるで、中学生の英文和訳の様な、日本語とは言えないぎこちなさで、分かって貰おうという気持ちが感じられません。聖書の言葉を一語たりとも疎かにすまいとするとこんな貧しい逐語訳になってしまうのでしょうか。

 その点、英語版は、

 DEUTERONOMY 11:21 "Then you and your children will live a long time in the land that the Lord your God promised to give to your ancestors. You will live there as long as there is a sky above the earth"

 と、中学生でも分かる文章です。

 さて、それではこの映画はなぜ "Days of Heaves" なのでしょう。改めて考え始めました。

La Strada
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