劇場公開日 2025年4月4日

「マリック監督監修の4Kレストアで、表情はより繊細に、風景はより美麗に」天国の日々 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5マリック監督監修の4Kレストアで、表情はより繊細に、風景はより美麗に

2025年4月3日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

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たまたま数年前NHK BSにてフルハイビジョン画質で放送されたレストア前の「天国の日々」の録画が手元にあったので、見比べることができた。夕暮れ時の麦畑でのシーンを日没直前の約20分間に撮影するなど、自然光を活かした映像でほぼ全編が構成されているため、従来版では表情や風景に薄暗い膜がかかったように感じられるシーンもあった。テレンス・マリック監督が自ら監修した4Kレストア(修復)により、膜がきれいにはがされて見通しが格段によくなった印象だ。リチャード・ギア、ブルック・アダムス、サム・シェパードら主要キャストの表情からはより繊細に感情が伝わり、麦の穂の黄金色が風に揺れて微妙に変化するさまなどの風景もより美麗に見えるようになった。

劇場に足を運ぶ前に4Kレストアの効果を知りたいという方は、“『天国の日々 4K』修復前・後比較映像”で検索してYouTube動画を見てみるといい。これは1080p画質だが、4Kのテレビやディスプレイが手元にあるなら、"Days of Heaven 4K trailer"で検索してみよう。やはりYouTubeで英語版予告編の1分半と2分の4K動画2バージョンが見つかるので、より高精細な映像で4Kレストア版の美麗さをチェックできるだろう。

なお、題の「天国の日々」(Days of Heaven)は聖書に由来し、「天が地を覆い尽くす日」を意味するのだそう。ほかにもイナゴの襲来などのように聖書を元にした要素がいくつかあるので、物語に込められた寓意をより深く理解するには、鑑賞後にでも関連情報にあたってみるといいだろう。

高森 郁哉
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