天国の日々のレビュー・感想・評価
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魔法の時間
リチャード・ギアがわっかーい! めっちゃかわいい! ストーリーは割とシンプルで、貧しい若者がいい生活をしたいがため、嘘をつくが自滅するだけ(身も蓋もない言い方…)。が、映像と音楽がいい。日が沈んで真っ暗になる前の、薄暮の時間に、照明を使わずに撮影したとか。なんと非効率な。でも、そのおかげで美しく儚い絵で、とてもセンチメンタル。その映像に寄り添うような、これまた美しい音楽。特に、魔法学校とかSF的な雰囲気の曲が好き。どこかで聴いた気がしたので調べたら、サン=サーンスの「動物の謝肉祭」の中の「水族館」を編曲したらしい。モリコーネさすが。いい仕事してるわー。 イナゴの大群って、やっぱりひく。バッタの顔って、なんか怖い。 BS松竹東急の放送を録画で鑑賞。
広大無辺の解放感
日本の田園風景を思い浮かべてみる。田んぼが段々に連なって、その果てに行き止まりのように巨大な山が座臥している。そこにはリアルな密度はあっても、解放感はない。解放感、解放感、解放感。こいつはけっこう重要なものだ。多くの人間がなぜ映画を観に来るかって、それは延々と繰り返される日常のサイクルの中にスカッとするような解放感の穴を穿ってやりたいからだ。そう考えてみたとき、アメリカの広大無辺な牧草風景が、視覚という回路を通じて受け手にいかほど絶大な解放感をもたらすものであるかがわかる。あとはそれをカメラによってうまく切り取ることさえできれば、それだけで映画は完成する。そして本作はそうした「切り取り」作業がほとんど完全なレベルで成功した作品だといえる。穏やかな風に揺れる麦、悠々とせせらぐ川、オレンジ色の夕日に踊る黒いシルエット。アメリカにはこんな美しい風景があるのかとひたすら圧倒される。こうした美しい風景ショットに比して物語があまりにも単調で緊張を欠いているのは、おそらく本作においては物語が風景を次のコマに進めるためのスイッチ程度の意味しか持っていないからだろう。物語ではなく風景に没入する映画。私がいまいち本作に入り込めなかったのも、おそらくiPhoneの小さな画面で鑑賞したからだと思う。
なぜ『天国の日々』?
2回目の鑑賞。 一度目に観たときは、映し出される自然がきれい、麦畑、それを囲む風景、そして、そこで汗水流して労働する人間も、メチャきれい‥と思った。まぁ、ストーリーは、けっこう面白い展開でドロドロ、と。 そして今回は、タイトルがとても気になる。なぜ『天国の日々』?原題でもそういう言葉のようだけれど。何が、どこが、『天国』なの? ここでは自然が美しく描かれていて、人間の方はドロドロだから、『天国』は、自然の世界のこと? でも『日々』とあるから、自然の中で生きている人間含む生物たち全体の営みのことなのかな。人間を含む美しい映像もあったから、そのようにも思える。 でも、人間はドロドロで善悪ぐちゃぐちゃで、奪わなくてもいい命まで奪い合う始末。これが『天国の日々』?もしかして、つまらないことをしている人間への皮肉をこめてこういう題になってる? いやいや、人間のドロドロ劇など、自然に抱かれた世界ではこどものお遊びみたいな幸せなもので、例えば女の奪い合いのための戦いなんて、所詮は動物的な営みの一部だという見方はできるでしょう。あれこれ全部合わせて天国、と見ることはできそう。ラスト部分では女達がいやに逞しく明るいし。 ?うーん。
【”一時だけの偽りの天国の日々”ミレーの”落穂拾い”の様な美しき田園風景を背景に描き出される哀しき人間模様。】
ー 20世紀初頭のアメリカ。 リンダ(リンダ・マンズ:今作のナレーターでもある。)は兄のビル(リチャード・ギア)、その恋人アビー(ブリック・アダムス)と3人でシカゴから放浪の旅に出る。 ビルとアビーが兄妹だと偽り、テキサスの農場で麦刈りの仕事を得て、住み込みで働き始める3人。 やがて、若い農場主チャック(サム・シェパード)がアビーに想いを寄せていることを知ったビリーは…。ー ◆感想 ・淡い光で広大な自然の風景を捉えたノスタルジー的な映像の美しさが、この作品の趣を高めている。 ・ビルとアビーが兄妹だと偽り、テキサスの農場で麦刈りの仕事を得て、住み込みで働き始める事から始まる、若い農場主チャックに見初められたアビー。 そして、一時だけの偽りの天国の様な日々。 ・けれども、そんな日々は長くは続くかなく・・。 <テレンス・マリック監督の映画は2019年の「名もなき生涯」以降、公開されていない。 彼ならではの、自然光を使った美しき自然を背景にした映画を、再び映画館の大スクリーンで観たいモノである。>
何か不思議な空気に包まれる映画、見終わった後夢を見た様な感覚に陥る。
個人的に映画の定義を教えてもらった作品。物語としてはそこまで目新しいものではないと思う。つまらない訳ではもちろんないが、冷静に考えるとどこかの文学でありそうな話だと思う。しかし映画というのは映像でストーリーテリングを行う芸術。 フィルムを一枚一枚切り抜いても作品になる様な完璧な絵作りは、ただ綺麗な画というだけではなく、物語の表情、人物の感情をテレパシーの様に伝えてくる。もちろん役者陣の演技の素晴らしさもある。とても人間的な感情を静かに演じ、愛の複雑さを上手く伝えていた。 今思えば、特に人物達が喋っていた印象はない、ただ何が起きて、何が伝わってきたか、人物達がどう感じ取ったのかは鮮明に記憶に残る。死ぬ前に思い出しそうなとても長い悲しい夢を見た感覚に陥った。映画とは映像によって何か言葉にならないものを伝える。そう教えてもらった作品だった。 誰かに観て欲しいという映画でもない。自分の中でずっと大切にしたくなる映画。
映像美を楽しむ映画
映画自体は退屈だ リチャードギアや役者陣も大して観るべきところはない しかし目を見張る映像美を堪能できる ネストール・アルメンドロスというカメラの腕そのものだろう 美しい夕暮れのマジックアワーはいつまでも脳裏に残る素晴らしさだ それだけでも観る値打ちはある
映像と音楽、演出と演技
美しい映像と雰囲気を醸し出す音楽は素晴らしい。ストーリーなど関係なく、空気感だけで存分に堪能できるかもしれない、と感じた。それというのも、ストーリーや演技・演出がどうも気に入らなかったからかもしれない。
広大な自然の中にある映像美
物語はいたってシンプルでオープニングの写真集を見ているような映像から豊かな自然とユッタリな時間が流れセリフが少ない中でも飽きずに観れて何といっても若かりしS・シェパードが断然に良い。 「アウト・オブ・ブルー」に「ワンダラーズ」のL・マンズがキュートで独特な存在感を放つ。 ラストは「地獄の逃避行」に似た雰囲気もあるようなT・マリックには物語がシンプルな映画を70年代の頃のように撮って欲しいし復活してから哲学的過ぎて参ってしまうが本作は最高。
映像美
映画って やっぱり映像?そして脚本あっての演技 なのかな 楽しいも悲しいも幸も不幸も 絵の美しさが感動させるんだな、と 複雑な心象を言葉でなく表現されていた リンダ・マンズとエンリオ・モリコーネの音楽が秀逸
なんとも不思議な映画でした。 通の方には有名なようですね、このテレ...
なんとも不思議な映画でした。 通の方には有名なようですね、このテレンスマリック監督。超魔術でも使いそうな名前(笑) ストーリー、どういう意味?「世の中、金」はたまた「女は逞しい」、さっぱり分かりません。 ただ、全編の映像の美は半端ありません。苦しい労働のシーンなのに、こんなところで働いてみたい!とか、訳のわからぬことを考えてしまいました。 ほんと不思議、変。今も謎の余韻に浸らされています。
絵画を見てるような気分
特に盛り上がりもなく静か〜な映画なのに
不思議な魅力があった
あんな農場主が労働者を正妻にすることなんて
あるのかな?と思ったけど
田舎の家なら引け目なく暮らせそう
主人公の男と女の裏切りみたいな行動にはイラついたけど、
なんかどうしようもなかったんだろな…と
静か〜に諦められれる映画
ラストもよかった
種をまき落穂を拾う
短気なBill・その恋人Abby・2人が働く土地の農場主、彼らの三角関係を通して、光と影を含む人間の生き様が、豊穣をもたらすも時に厳しい自然の流れと溶け込むように映し出されます。
元々穏やかで、孤独と病に静かに耐えていた農場主が、結婚後、嫉妬と憎悪にかられる様子が、蝗害と火の海に表されているようで、特に印象的でした。
Milletの絵画のような美しい麦畑を背景に描かれる、季節労働者達の生活からは、貧しさの中にも、豊かさの代償として失った美があるように思いました。
後続の当監督作品よりも、本作のほうが好きです。
いずれも息を呑むような自然光の美しさが特徴的な作品ですが、こちらは起承転結がより明確で、内容的には取っつきやすいと思います。
美しい大地を背景にした人間の愛憎劇
総合:85点 ストーリー: 80 キャスト: 80 演出: 85 ビジュアル: 90 音楽: 70 美しいテキサスの農場を背景に、貧困の中で絡まる人々の野望・愛情・罪悪感・裏切りなどを描いた秀逸な人間ドラマ。 厳しい貧困の生活だが、それが広大な大地の力強い生命力をまとった美しい農場の映像と共に描かれる。人の行動を細かく撮影するのではなく、人と共に時を刻み移り行く大地を撮影することでその厳しい生活をゆったりと表現する詩的な演出が素晴らしい。その下に、生まれの違いによる人生の不条理や貧困から抜け出るための野望やそれらから生まれる様々なドラマが蠢いていく。 映画の中で人が幸せになるか不幸になるかはあまり関係ない。希望も野望も罪悪も全てが悠久の大地の上に刻まれた1つの物語であり歴史であり、それが終わった後も残された人々の生活は続いていき時間は流れ続ける。それを描いた壮大な純文学のような映画。
ゆったりと流れる時間
昔のアメリカを大変リアルに描いていて、雄大な景色が素晴らしかった。時間がゆったりと流れるようすが描かれているんだけど、それがとても退屈で眠かった。本編の時間が短いだけまだ助かった。 話も別にどうってことなく、もっと興奮したかった。
自然との対比で映し出される人間の脆さ
20世紀初頭のテキサスを舞台に私達は強烈な映像体験へと一気に引き込まれる。 一日に二十分しか無いと言われる「マジック・アワー」の時間帯と小麦の大平原が重なりあう美しさは圧巻だ。 テレンス・マリックは身寄りも無く明日さえ見えず今日を生きる3人を鏡に人間の過ち、弱さ、脆さを浮き彫りにする。 彼の作品は自然と人間の対比が印象的であり、またその対比によって人間の弱さを映し出す。 この作品でも美しい自然の情景の上で渦巻く人間の憎悪が印象的だ。 そしてもうひとつの特徴は、まるで人間の心理を暴こうとするかのようなナレーション。 「人間は半分天使で半分悪魔。」この一言にこの作品の全てが集約されている。 人間の心はどちらにも成り得るからこそ豊かであり、美しく醜いのである。 徹底したリアリズムと地球の原風景で彩られた彼の作品こそ私達を異次元へ連れ出してくれる真の"映画体験"なのかも知れない。
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