劇場公開日 1986年8月2日

「アニメ作品の傑作」天空の城ラピュタ 銀平さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0アニメ作品の傑作

2010年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、TV地上波

泣ける

楽しい

興奮

私にとって、宮崎駿監督作品の中で「風の谷のナウシカ」と、この「天空の城ラピュタ」の2本は、繰り返し見たくなる作品です。
この2本を比べるなら、「ラピュタ」に軍配が上がります。

魅力は、なんといっても冒険ロマンです。
鉱山の街でごく普通の生活をしていた主人公の少年パズーが、ある日空から降りてきた少女シータと知り合い、そこから大冒険が始まる。

「ナウシカ」が自然破壊という深刻なテーマを扱っているので、冒険劇の「ラピュタ」のほうが見ていて夢中になれるというか…。

登場するキャラクターもとても魅力的です。

個人的には「ドーラ一家」が大好きです。

冒頭の襲撃シーン、オートモービルに乗ってパズーとシータを追い回すところ、そして軍隊基地でのシータ救出の場面、ゴリアテ追跡中に見ることのできる彼らの日常生活。

女ながらに親分のドーラおばさんは、年齢を感じさせないほどとてもパワフルで、でも無鉄砲というわけでもなく、きちんと計画を練り、知識・経験ともに海賊(空賊?)としての腕は一流。
彼女の父がすでに海賊だったらしいですね。動力室にいる「じっちゃん」はドーラの父の代から付き合いがあったみたいです。
そして彼女の息子の三兄弟。体力バカっぽくて、憎めない。

それから、悪役のムスカ。寺田農さんの声が良いです。

パズーとシータが「善」だとするなら、ムスカの悪役っぷりは、これぞ悪役と言えます。
なぜなら、彼は最後まで自分の考えを曲げず、他者の命を平気で踏み潰し、人間の持つ邪悪さをこれでもかというほど見せつけ、散っていったからです。
彼は笑いながら「人がゴミのようだ」と言う。この台詞にそれが表れています。
ラピュタの崩壊シーンで、海に落ちていく残骸に混じって、落下するムスカが見えます。切ないです。

この映画の、久石譲の音楽も最高に良いです。タイトル画面で流れるテーマ曲がもう、聞いていて感動します。
全編の曲が素晴らしい。
ドーラ一家がフラップターで飛ぶシーンの音楽、「竜の巣」が現れた時の音楽などが好きです。

パズーが竜の巣の中で父の姿を見るシーン。ここでパズーの口が動いて何かを言うんですが、あえて無音にする。これは本当に絶妙だと思いました。

私の中では限りなく最高に近いアニメ作品です。名作です。

銀平