「まんが映画の大傑作! さあ冒険だ!!」天空の城ラピュタ たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
まんが映画の大傑作! さあ冒険だ!!
空に浮かぶ城「ラピュタ」発見を夢見る少年パズーの前に、不思議な少女シータが空から降ってくる。
2人の出会いにより始まる、息つく暇もない冒険を描いたSFファンタジー。
監督/原作/脚本は『ルパン三世 カリオストロの城』『風の谷のナウシカ』の、世界最高のアニメ職人、宮崎駿。
プロデューサーには、『パンダコパンダ』シリーズや『じゃりン子チエ』の、アニメ界一の賢人、高畑勲。
スタジオジブリ記念すべき第1作。
この映画の素晴らしさについてなんて、今更何おか言わんやである。
日本人のDNAレベルにまで染み込んだ、冒険活劇の最高傑作!
映画の冒頭から最後まで、ハラハラするアクションシーンの連続。
シリアスな展開が続きすぎないように、合間合間にはギャグシーンが挿入されるが、これが効果的。
緊張ばっかりだと観客も疲れるが、ついつい笑ってしまうシーンを挟むことで緊張がほぐれてリラックスできるし、映画の内容にも緩急がつく。
こういうのは、子供の観客を退屈させない為に考えられたワザなのだろう。
常に子供の目線で作品を作り続けてきた宮崎駿だからこそ、辿り着いたテクニックという感じがする。
親方とシャルルの喧嘩シーン大好き❤
キャラクターの魅力も爆発している。
主人公のパズーとシータは『未来少年コナン』のコナンとラナの焼き直しであるともいえるのだが、『コナン』よりもキャラの深みが増している。
パズーは全少年が憧れる少年、シータは全少年が憧れる少女という、まさに少年の夢が理想化されたキャラクターなのだが、それを全く嫌味なく描いているところに宮崎駿の技を感じる。
どう見ても50歳には見えない女海賊ドーラ。
彼女もこの作品には欠かせない名脇役。『コナン』のダイスとモンスリーを足して2で割るとドーラになる。
後々モロや湯婆婆&銭婆、荒地の魔女などにつながるキャラクター。みんな最初は敵キャラのように登場させておいて、後々良いオカンみたいになる。
彼女が登場すると物語に爆発力が増すし、ギャグにも勢いがつく。
実はラピュタのギャグシーンはすべてドーラ一家が担ってるんですよね。アクションにも使えるしギャグにも使えるという作者にとって凄く都合の良いキャラだなぁ。
そして何より最高なのはムスカ大佐!
レプカ、カリオストロと続くいやらしいインテリ悪役。
登場して3分で、ヒロインの少女に頭を割られて気絶してしまうという、映画史に残るクソ雑魚ラスボス。
「はやりの服は嫌いですか?」
「君も男なら、聞き分けたまえ!」
「私はムスカ大佐だ。ロボットにより通信回路が破壊された。緊急事態につき、今から私が臨時に指揮を取る。」
「バカどもにはちょうどいい目眩しだ。」
「人がゴミのようだ!!」
「目がっ!目がぁ…。」
など、口を開けば名言しか喋らない男。
凄く有能でクールなのに、所々アタフタしているところが可愛い。
ラピュタ以降、彼のような純粋な悪役は出てこなくなった気がする。そういう意味でも、宮崎駿史上最高にして最後の悪役という感じがするキャラ。
プロットは宮崎駿の過去作『カリオストロの城』から流用しており、真新しさはない。
しかし、『カリオストロ』ではただただ守られる存在だったお姫様が、本作では主人公と共に困難に立ち向かうキャラクターへと変化しているのは面白い。
飛行石は明らかに原子力のメタファー。
ラピュタ文明が滅んだのは疫病が原因だという設定があるらしいが、これはおそらく被ばくをイメージしているものと思われる。
シータの両親が早くに亡くなったのも、おそらくは飛行石の放つ放射能のようなものにあてられてのことなのだろう。
強すぎる力(核)はいつか文明を滅ぼすというストレートなメッセージは強力だが、うまく物語の裏側に隠しているので全く説教臭さを感じない所も素晴らしい。
「チェルノブイリ原発事故」が起こったのが『ラピュタ』封切りのわずか4ヶ月前であったことから、宮崎駿の先見性を感じずにはいられない。
血湧き肉躍る最高の冒険活劇!
おそらく世界で最もワクワクする映画の一つであることは間違いない。
なら何故満点じゃないかというと、個人的に終盤があまり好きじゃないから。
というのも、序盤のスラッグ渓谷でのわちゃわちゃ感。中盤のシータ奪還。そして「龍の巣」への突入シーンと比べると、ラピュタ到着後の展開にイマイチ盛り上がりが欠けているように感じてしまう。
上手くまとめてはいるのだが、なんとなくしりすぼみ感を感じてしまう。
あと、ラストの「バルス」。
これって要するに主人公とヒロインが悪役と共に心中しようとしたって事ですよね。
主人公とヒロインが命を捨てなければいけないほどのピンチに、あのシーンが見えないというのは問題だと思う。
まぁ個人的に、どの作品にしろあまり心中という展開が好きじゃない、というのが大きな理由なのですが…
子供の頃、何故か『ラピュタ』よりも『カリオストロ』や『紅の豚』、『もののけ姫』が好きだったのは、クライマックスが作品で一番の盛り上がりポイントだったから、ということに今回気づいた。
色々と書いたが、エンタメ的な面白さは完璧。万人にオススメ出来る最高のまんが映画。
ひと切れのパン、ナイフ、ランプを鞄に詰め込んで、さあ冒険に出かけよう!!
レモンブルーさん、コメントありがとうございます😊
ムスカ大佐は物真似したくなるキャラクターですよね〜(๑>◡<๑)
ラピュタくらいシンプルな物語がまた観たい!
この世界観が大好きで 『思い出のマーニー』を知る前はダントツでジブリの一番好きな作品でした!というか宮崎駿作品の中では やはり今でもダントツ!音楽も素晴らしい!
確かにムスカのような悪役は最高で 最後ですね…。「人がゴミのようだ」は 子供達が何度も真似してましたっけ(笑)ラスト 崩壊した廃虚を絡ませた巨大な木が成層圏?を漂い、そこで何事も無かったように小鳥と戯れるロボットの姿に何故か泣けてきます(笑)
飛行石は原子力、バルスは心中…なるほど!