ファウンテン 永遠につづく愛 : 特集
>>【その1】【その2】 から続く
【その3】:普通のラブストーリーとはひと味違うユニークな愛の物語
本作は永遠の愛を描いているが、普通のラブストーリーとはひと味違う。たとえば、別の時間を生きる2人の間に生まれた愛を描く「イルマーレ」や、記憶を消すことが可能な世界での愛を描く「エターナル・サンシャイン」と同じように、ユニークな愛の物語なのだ。
本作の愛は、3つの世界で展開する。この3つの世界、<現代><ヒロインが書いた中世スペイン><その後のトミーが生きる未来>のどこでも「愛」は強さを失わないが、その在りようは変化していく。
まず現代。医師トミーは、愛する妻イジーが不治の病に冒されたことを知って、その治療薬の開発に没頭し、その研究のために2人でいっしょに過ごす時間を失う。一方、妻イジーは、死は2人の愛を分かつものではないと考えて、残された時間の中で2人の愛を充実したものにしたいと考える。ここでは2人の愛はどちらも本物なのに、その姿は異なっているのだ。
次は、イジーが書いた物語の中の中世スペイン。女王は<生命の泉>を見つけることを騎士トマスに命じるが、彼女がそれを命じたのはなぜなのか。そこにイジーがトミーに伝えようとする「永遠の愛」のヒントが隠されている。
そして、その後のトミーが生きる未来で、ついに2人の愛はひとつになる。イジーの生まれ変わりの<生命の木>と共に生きながら、トミーはついにイジーが彼に伝えようとした「愛」の真実を見つけ出すのだ。
【その4】:レイチェル・ワイズとダーレン・アロノフスキー監督もまた「ファウンテン」で真実の愛を見つけた
この映画のレイチェル・ワイズが光り輝いているのは、彼女が演じたヒロインが美しいからだけではない。実は本作の撮影中、レイチェル・ワイズとダーレン・アロノフスキーは愛を育んでいたのだ。2人はいっしょにブロンクスで暮らすようになり、昨年1月に婚約、昨年5月に息子ヘンリー・チャンスが誕生し、今は親子3人で暮らしている。この映画の撮影中は、2人はまさにホットな恋愛中。恋する監督が愛しい女性を撮るのだから、この映画のワイズが美しくないはずがない。
このダーレン・アロノフスキー監督は、いきなりデビュー作から注目された才人。初監督作の97年のインデペンデント映画「π」が、インデペンデント・スピリット賞で新人作品賞にノミネート、新人脚本賞を受賞。続いて00年の第2作「レクイエム・フォー・ドリーム」で、エレン・バーンスタインがアカデミー賞とゴールデン・グローブ賞の主演女優賞にノミネートされるという快挙を成し遂げた。その後、フランク・ミラーのアメコミを映画化する「バットマン・イヤー・ワン」や、セオドア・ローザクのカルト小説「フリッカー」の映画化企画などがアナウンスされたがなかなか実現せず、待ちに待った第3作がこの「ファウンテン」なのだ。
オスカー女優レイチェル・ワイズには、アロノフスキー監督作以外にも新作企画が目白押し。本年のカンヌ映画祭に出品されたウォン・カーウァイ監督の「マイ・ブルーベリー・ナイト」などの新作に続き、「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン監督の新作「ラブリー・ボーン」への出演も決定。この才能あふれるカップルは、今後もさまざまな映画で活躍してくれるに違いない。
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