劇場公開日 2007年10月20日

エクスマキナ : インタビュー

2007年10月12日更新

荒牧伸志監督インタビュー

前のページから続く

特にアクションシーンはジョン・ウー効果がてき面!
特にアクションシーンはジョン・ウー効果がてき面!

■“二丁拳銃”に“鳩”。お約束も満載!

ジョン・ウーのアクションといえば“二丁拳銃”と“鳩”はお約束。本作でもそれらは十分にフィーチャーされ、ジョン・ウー映画を知る人なら、ニヤリとするのは請け合いだ。

「フェイス/オフ」を連想させるシーンも登場
「フェイス/オフ」を連想させるシーンも登場

「そのあたりはスタッフとも『当然やらないと』と、頼まれてもいないのにやってしまいました(笑)。ただのリスペクトでなく、必然性も出したつもりです。また、『フェイス/オフ』の鏡越しの対決シーンみたいな印象的なカットが作れないかと思い、全身をサイボーグ化したブリアレオスと、彼の遺伝子をコピーして生まれたテレウスの顔が、ドアのガラス越しに重なるシーンを、提案しました。それもジョン・ウーに気に入ってもらえました」

こうして出来上がったフィルムは、“ジョン・ウー色”が克明に刻まれたものになった。

「いい具合にジョン・ウー色というのを喚起できればいいなと思いました。これだけドンと“ジョン・ウー プロデュース”というのを売りにしているので、こちらもそれなりの応え方をしなければいけないと思いましたので。おかげで、いろいろ大手を振って出来るというのもありましたしね(笑)。ともかく、ジョン・ウー効果が出ていると観た方が楽しんでくれれば、こちらはとても嬉しいですね。単純にそんなノリでやりましたから」

■プラダ、YMOとのコラボレーション

プラダの洗練された衣裳が印象的
プラダの洗練された衣裳が印象的

本作では主人公デュナンの戦闘時以外の衣裳デザイン(2点)をプラダのデザイナーのミウッチャ・プラダ(プラダの創始者マリオ・プラダの孫娘)が手掛けた。プラダの衣裳をまとうことで、男勝りで圧倒的な戦闘力を持つデュナンのフェミニンな部分が見事に表れている。

監督曰く「プラダさんが参加する前から、通常のアニメよりも質感が出せる表現力を持っているので、ファッションの部分はどうしようかという課題があった」そうだが、そんな時にプラダ側からファッション提供の話が持ち上がった。

「自分にはファッション関係はお手上げなので困っていたんですが、ちょうどその頃にプラダからデザインがもらえるかもしれないという話になりました。スタイリストでも入れようかという話もあったのですが、その枠を飛び越えたすごい人が現れたんです(笑)」と、こちらも現場には嬉しい悲鳴。

「プラダの衣裳を着せた映像を見てもらい、プラダにも気に入ってもらえたので、このレベルで行けばいいんだろうという手応えや自信にもつながりました。そういった意味でも、現場にとっても良い効果でしたね。そこでひとつ壁を越えられたというか、プラダがOKならOKだよね……といった安心感にもつながりましたね」

音楽監修は細野晴臣が担当。サントラには豪華アーティストがずらりと並び、細野自身も元YMOのメンバー、坂本龍一、高橋幸宏とともに新ユニットHASYMO(ハシモ)を結成し、主題歌を担当するという豪華なコラボレーションが実現した。

映画のもつ未来的な世界を 豪華アーティスト陣の音楽が彩る
映画のもつ未来的な世界を 豪華アーティスト陣の音楽が彩る

「音楽プロデューサーから細野さんの名前を提案されて、僕もYMO世代ですから、実現できれば面白そうだと思って会わせていただいたんですが、細野さんが前作を初日に見に行くほど気に入ってくださっていて。『ファンです』という一言がいただけたのは嬉しかったですね。そこからはトントン拍子で、細野さんから仲間を広げていただいたという感じです。細野さんもだんだんとのってきて、尻上がりに曲数も増えていきましたし、最初はYMOの3人が再結成するなんて話は全然なかったので、そこまでやってもらえるものかと、自分としてもすごいサプライズでした」

世界に誇る「攻殻機動隊」の士郎正宗の原作に、映画、ファッション、音楽……各界の最上級の才能がこぞって参加し映像化した「エクスマキナ」は、単なるアニメーションでも、単なる映画でもない、様々な角度から楽しめる贅沢な一作だ。

「エクスマキナ」の作品トップへ