「映画のある意味プロトタイプ。」アポカリプト みっどないと・シネマさんの映画レビュー(感想・評価)
映画のある意味プロトタイプ。
政治的なメッセージや高尚な芸術作品ではない、所謂大衆娯楽としての映画の原型がここにある。バスター・キートンやチャップリンの映画創世記から、映画のおもしろさを高めるひとつの要素、テクニックとして「おっかけっこ」がある。早い話がカーチェイスである。アクション物には不可欠のシーンであり、例えばこのシーンがない「007」など気の抜けたビールのようなものだろう。子供の頃に鬼ごっこをして遊んだことが無い、そんな子供は皆無のはず。原始的な遊び鬼ごっこ。相手を捕まえるため必死で追いかける、捕まらないため全力で逃げる。何故か興奮し血沸き肉踊るあの快感。
それを観せるシーンを作るのはある意味定番といえる。
ほとんどズブの素人を使ったり、全篇セリフをマヤ語で通したりと凝った作りをしているが、ストーリーはシンプルである。
前半のエピソードは後半へ繋ぐためだけのもの。
後半は鬼ごっこのスタート。
穴に隠した身重の妻。大雨でその穴に水が溜まっていく。これはカウント・ダウンの演出。そう、エイリアンでラスト、女王と死闘を繰り広げるとき必ず「自爆装置が作動しました5分後には爆発します・・・。」あれと同じで手に汗握る演出。ギブソンはちゃんと分かっている。
ジャングルの中での必死の鬼ごっこ。
シンプルゆえに理屈抜きで興奮して観てしまう。
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