劇場公開日 2007年6月9日

「描写に工夫がない」アポカリプト マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5描写に工夫がない

2010年2月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

興奮

全篇マヤ語のみで、マヤ文明末期(16世紀)を舞台に繰り広げられるアクション映画。
冒頭は、森深く住む部族の生活模様が丹念に描かれる。男たちは研ぎ澄まされた感覚と肉体を持った狩人だ。中盤、村がマヤ帝国の傭兵に襲撃される。このあたりから残虐なシーンが増えてくる。終盤1/3は、捕虜になった主人公が帝国のもとから脱出、追っ手とのサバイバル合戦に進展する。久しぶりに憎たらしい悪役らしい悪役を観た。
「300」が美術書なら、この「アポカリプト」は原色大図鑑のような映像で、南米大陸の自然がダイナミックに描かれているところが魅力。
ただ、どちらも殺戮シーンをまともに描写する点が好きになれない。よりリアルに描くことも手法ではあろうが、まともな描写を避けながらも状況を伝えるテクニックこそが映画の醍醐味のはず。影の使い方なんかはスピルバーグが巧い。その工夫を怠って、CGでなんでもかんでも描いてしまう風潮が蔓延してしまったら、みんな画一的な作品ばかりになってしまうだろう。

マスター@だんだん