「そして男はジャガーになった」アポカリプト JYARIさんの映画レビュー(感想・評価)
そして男はジャガーになった
面白い、ただそれだけでは腑には落ちない…。
まず、始めからなんだか撮り方に違和感を感じていた。無駄にカット割りが多く、演出としてのカメラワークも一切ない。
ただ役者の表情の演技が一品で、それに惹かれて二時間観れた感じです。
パパが言った、
「恐怖は病だ。」
が凄く響いてよかったし。子供でも分かるようなことを大人になると忘れて生きてしまうものですね…。
ただ、ああいう民族という設定を使って、文化的側面を描かないのはもったいないなと思った。そりゃ衣食住の文化は当たり前のように違うけど、その他に変わった文化を描けば、面白くなりそうなのにと思った…。(一人の男いじり倒すみたいな男子高校生的笑いは辞めてさ…)
都会のシーンは凄かったね…。ここが一番自分的にわくわくしたかも。これから何が起こるんだろう…!!的な。(何にも怒らなかったけど)
なんだかマッドマックス怒りのデスロードを思い出す描写でしたな。あの憎しみに勝てないのが本作ですね。
あの首落とす伝統だけはまじできつかった。ショッキング。
ただ、この都会のシーンの合間合間に挟まれる穴の中のシーン。こちら癒しでしたな。子役の表情やら演技含め。お母さんの頑張りとかね。ハプニングとかもいちいち可愛かった。(出産だけは予想外)
後半、森の中での壮大な追いかけっこが始まってからは嫌でも主人公を応援してしまいました。ただね、、、カタルシスとか復讐って意味では物足りなくない??
あんだけ馬鹿にされて親も仲間もぶち殺されたにも関わらず、あの憎き敵(サイコパスっぽいやつ)に対しての攻撃が頭2回強打だけ??
観客的には物足りな過ぎるよ!!もっとなじってよ!!ってなる場面でした。
さらに、結局主人公は逃げ切れたものの、あの独裁国家的な王国は消えないし、、あの子供できない男を叱ってた姑は意味深な感じだったのに、結局出てこないし…。
主人公はいろんな作戦で敵を倒していくけど結局のところ根性論な感じが否めないし…。
残った敵ふたりがどうなったかとか全く描かないのも気持ちが悪いし…。
なんか脚本が甘い感じが最後の最後に残っちゃうよね。
というか今列挙した部分掘り下げれば、さらに深い作品になるのではと思ったけど…。そんな要素いらんのかな…?
しかし、急に村が襲われて捕虜にされたあたり、あの胸糞悪い黒人奴隷時代を彷彿とさせるし、あの独裁国家の縦社会な感じは非現実ではないように思えるあたり、考えさせられる映画となっている…。
男がジャガーになる感じも面白かったしね。
なんだか、胸糞悪さの残るアナコンダを観ている気分になったのでした。
しかし、メルギブソン、「ハクソーリッジ」は良かったし、生々しい描写に関してはめちゃくちゃこだわってそう。いい美術スタッフが付いてるんですかねえ。