劇場公開日 2007年6月16日

「殺人捜査の迷宮」ゾディアック The Dudeさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0殺人捜査の迷宮

2007年10月15日

『セブン』はややコケ脅しなところがあり、『ゲーム』は神経症で自己模倣のきらいがあった。傑作『ファイト・クラブ』以降はエンタメに徹した『パニック・ルーム』でソツのないところを見せ、本作ではここまで精錬と熟成をしてるのか!と唸らされた。もっとヤンチャを、もっと神経症に、もっとコケ脅しを、と思うような内容だがフィンチャーの物腰は冷静であり、そんな誘惑に乗らない。そんな語り口がインパクトを削いでいる感もあるが、きっと見れば見るほど面白くなっていくだろう。
 ダウニーJr.やラファロの良さは言うまでもないが、何よりJ.C.リンチ、イライアス・コーティアスといった端役にまでが完璧な演技を見せているのが凄い。もっと無名の役者たち(被害者たち)もやはり凄い。フィンチャーの演出の賜物だろう。編集術と撮影も第一級。殺人捜査=迷宮というものを思い知らせてくれる脚本にも感服です。

The Dude