私は貝になりたいのレビュー・感想・評価
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かわいそう
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足が不自由な中井は散髪屋で働いており、そこで知り合った仲間と結婚。
それがバレて店を追い出され、流れ流れて九州辺りで散髪屋を開業。
これから、という時に赤紙が届いた。
元来、まとも(現代風に見て)だった中井は、戦争に馴染めなかったが、
ある時戦地で米兵の捕虜を殺す事を上官から命令された。
どうしても出来ず、上官達からこっぴどく殴られてしまったが、
その米兵は力尽きて死んだため、手を下さずに済んだ。
終戦して戻り、店で働いていると警察がやって来た。
上記の事件が問題になっており、裁判にかけられたのだった。
命令した上官達には死刑が言い渡されたが、何と中井にも死刑宣告。
上官はやがて処刑されるが、上記の事件を悔いており、
自分が責任を負って死ぬのだから、他の関係者は無罪にせよと言い残した。
また妻が頑張って200名分の死刑反対の署名を集めた。
その頃から事態は好転の様相を見せ、1年ほど誰も処刑されない時期が続く。
ある日、中井が死刑囚の房から出される。
周囲の者達は減刑されたと思い、おめでとうのコール。
でも実は死刑が翌日に行われるために呼ばれただけだった。
こうして処刑される前、中井は来世は貝になりたいと思った。
人間と関わらずにひっそりと生きて死んで行きたいかららしい。
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うーん、正直後味は良くなかったなあ。
っていうか、最後に死刑になるのは途中から見え見えやったんよなあ。
上官の死の間際の嘆願、妻が必死で集めた署名、
そして1年ほども処刑が行われなくなったという状況。
そんな中で空気も緩くなり、アメリカ人の刑務官とも仲良くなり、
癒しキャラの鶴瓶と同部屋になり、英語で嘆願書書いてもらい・・・
こうして全てが好転したような明るい感じになってたし、
店の椅子を新調する話が出る等、家族の将来の話が出て来る・・・
この時点で完全に死亡フラグ立ってるって思うよなあ、普通は(場)
でもそれでも、中井が房を移動させられた時にはさすがに、
ホンマに減刑されたんかと思った。鶴瓶らが騒ぎ過ぎやし。
この雰囲気の中でやっぱり死刑ってのはさすがにないかな、と。
でも見事に死刑やった。うーん、露骨な裏切り。
少し期待しただけに、さすがに後味が良くないわ。
でも戦争の悲惨さは伝わって来たなあ。
中井はやせてチャラくないキャラやったけど、
こっちの方が格段に格好良かったなあ(場)
最後が悲しい
東京裁判を描いた映画で、理不尽な判決により天皇の命令として捕虜を殺した罪を被った中居正広が再審請求などを経て結果絞首刑になるという悲しい物語。
戦争は一体誰のために行ったのだろうか?と考えさせる作品だ。
人の温かみと戦争の残酷さの対比で胸が張り裂けそうになる
非常に後味の悪い、残酷な映画。
ただ、それは戦争というものを純粋に捉えている証。
第二次世界大戦後の裁判において、注目されているA級戦犯の下には、B級、C級戦犯があり、これらは位の低い若い兵隊が裁判にかけられていることが多い。
しかも、若い兵隊は上官の命令に従っただけなのに、犯罪執行者として、重い罰の判決を受けてしまう。
→これは実際とは異なっていたようです。
戦死してこそ国の為に戦ったと言われていた戦後に、このような無惨な重い罰を受けている事実を大きな声で疑問視することは無かったことが分かる。
それでも、部下を思い自分だけが処罰されるべきと伝えていた上官。
夫のために、沢山の署名を必死でかき集めた妻や近所の人々。
なのに、全てが報われず最悪の結末となる。
ただ、とても貧しい中で、人の温かみや、人のために尽くすということはどういうことか思い知らされる映画。
人の温かみと、戦争の残酷さの対比で胸が張り裂けそうになった。
戦争の非情
フランキー堺主演のオリジナルを観ているので、結末がどうなるかわかっていても、感動してしまいました。オリジナルを観ていなかったらもっと高い評価を付けたかもしれません。反戦映画の傑作ですね。
一緒に見た友人が「裁判での証言は頭を使って言わなくっちゃ損をしますね」とピントのズレたことを言っていました。 意外に(と言っては失礼かな)中居正広の演技がうまい。バックグラウンドミュージックやロケ地の風景もきれいで、それが一層物語を悲しくさせてくれました。
「貝」
人類の歴史は、戦争の歴史である。
どこかで聞いた台詞であるが、本作は、その戦争の中に生きた一人の兵士に焦点を当てたものである。
我々は日々、情報に触れている。
それは新聞であったり、ニュースであったり。
その中で我々は、◯◯人死亡、といった表現をよく目にする。
情報時代の我々にとって、
時にそれは単なる数字に見え、そこに、何らかの感情を抱くことさえない時もある(残酷なことではあるが)
しかしそこには確かに、我々が知らない、その人の生きたストーリーがあったはずだ。
そして、その人の生きたストーリーの周りで、想像も絶するほどの絶望、そして悲しみが生まれている。
しかし、高度に情報化された社会においては、そうした側面に、個々人が焦点を当てることも少なくなりつつある。
そういった背景の下、本作は、そのアンチテーゼとしての意味合いも含まれていると思う。
マクロな視点ではなく、よりミクロな視点から見ることができたなら、戦争というものの恐怖、絶望、そして悲しみ、そうしたものがより分かるのではないだろうか。
本作は、そうした、ひとえには表せぬ感情や嘆きを、様々な形で表現している。
そしてそれは、これからの新たな世代へと伝えられていくべきものでもある。
それは今後人類が、舵を切っていく上で、進むべき方向を指し示してくれる原動力となってくれるのではないだろうか。
人間の内面、そうしたものに触れ、伝えていかなければならないことを表現した作品。
これには、文句のない高評価です。
注:私は、この映画を見たことはありません。
フィクションを史実と勘違いさせる問題作
この映画はフィクションです。
『一兵卒が日本国内で戦犯として裁かれ、死刑になる」というのは史実ではあり得ない』
という点については指摘されている方も多いですが、それだけではありません。
本作品の矢野中将のモデルとなった実在の人物はおそらく岡田資中将だと思われます。
この人は「部下の行為は自分の責任において行われた事」と主張して部下をかばった点については矢野中将と共通していますが、同時に裁判においてこう主張しています。
「(米軍爆撃機の)搭乗員はハーグ条約違反の戦犯であり、捕虜ではない(ので、処刑しても捕虜虐殺には該当しない)」と。
実際、ハーグ条約やジュネーブ条約を見ると、捕虜として扱われる為には幾つかの条件があり、その一つに「戦争の法規及び慣例に従って行動していること」とあります。
B29の搭乗員は大量の民間人を虐殺している為に該当しないので、当時の戦争法規ではその場で殺されても文句は言えないのですが、GHQはB29の搭乗員を捕虜と見なす一方、彼らを処刑した日本軍将兵を戦犯に仕立て上げ、処刑しました。
これもまた、極東軍事裁判の不公平さの一つなのですが、本作品の脚本担当の橋本忍氏はどういうつもりでGHQの見解を是としたのでしょうか?
ちなみに「戦犯として処刑する前に所定の裁判に掛けないのはジュネーブ条約に反している」という意見もありますが、ジュネーブ条約が戦後の1949年に改定された後の話です。第二次大戦中にはその一文はありませんでした。
少なくとも、岡田中将が裁判の席で前述の通り主張し、裁判の席で徹底抗戦をしていますが、本作品で矢野中将はその種の主張をすることなく自動的に日本軍が悪かった事になっており、「日本軍の中の誰が悪かったのか」に時間が割かれています。
余談ながら「私は貝になりたい」という台詞の元ネタである加藤哲太郎氏ですが、彼が一兵卒だった頃、八路兵(中国共産党軍)の処刑を命じられ、意義を唱えた時に「上官の命令は天皇の命令」と言われたエピソードですが。
加藤氏の手記には八路兵の罪状が記述されていないのですが、多分国際法違反の便衣戦術(戦争法規に定められた軍服着用や武器の公然とした携帯を行わずに戦闘する)の実行だったと思われます。
また、捉えた米兵が瀕死の重傷だったというケースが実際にあり、戦後の裁判で命令した大尉が処刑されていますが、その大尉は「既に手の施しようのない重傷である為に安楽死させた」と主張しています(また意見具申した部下がいたが、裁判で名前を出さなかった)。
それが正しいかどうかはともかく、史実では自分達の行動の理由を主張しているのに対して、本作品で日本軍将兵は誰も説明していないのは史実に反します。
まあ、命令が下に行くに従って変質し、誰の意思で処刑となったのかが曖昧になってしまったからですが、実はそういうケースも存在します。
ですが、それはあくまでも「そういうケースもあった」という一例にすぎません。しかし(他のサイトの話ですが)本作品を鵜呑みにして「これが日本軍の体質だった」としたり顔で語る者まで出てくる始末です。
それと『上官の命令は天皇陛下の命令』という言葉は当然日本軍にしかありませんが、上官の命令が絶対であるのはどの国の軍隊も同じです。
明治政府は近代的な軍隊の構築を西洋から学んだという事を思い出してもらいたいものです。
とにかく、本作品を見て大いに泣くのは結構ですが、本作品を一部でも史実と勘違いして実在の戦争を語るというのは大いに問題があると思います。
やっぱりダメだった
この映画、男優陣は奮闘しました。特に鶴瓶師匠が中心になって頑張った様子が分かります。
「この映画、正直ええ出来やないかもしれへんけど、そんな時こそみんなで中居を立てていこうな」
そういう鶴瓶師匠の優しさが、はっきり表れています。鶴瓶師匠は男として素晴らしい人物です。若手の頃から目上の人間に媚びないことで知られてた鶴瓶師匠。そういうタイプの人物は、後輩への面倒見が本当にいい。
でも、ダメなものはやっぱりダメです。
まず、トンデモなミスキャスト。そもそもこの映画の役者陣は、普段からバラエティー番組で一緒になってる面子です。だからどうしても馴れ合いが起こりますし、観てる方もまったく感動できません。中居が入った雑居房の住人が草なぎだった、なんてのはギャグ以外の何でもないでしょ。
だからこそ、鶴瓶師匠の奮闘があったのかもしれないけど……。そもそもこの作品、「一兵卒が日本国内で戦犯として裁かれ、死刑になる」という史実ではあり得ない設定です。だからそのシナリオ的無茶を、役者の力量でカバーしてきました。水準程度の俳優、馴れ合いの環境下じゃ絶対にいい作品は撮れません。
役者の努力と映画の出来は、やっぱり別ベクトルですね。けれど鶴瓶師匠の人柄を垣間見たい方にはオススメです。
久しぶりに見ました
私が初めて「私は貝になりたい」という作品に出会ったのは、15年くらい前。所ジョージさんが主演でリメイクされたものをテレビで見ました。(確かそれは映画じゃなかったような。。。)当時小学生だった私には、「A級・B級戦犯」という言葉やストーリーの細かい背景など、理解できなかったことが多かったと思いますが、最後の処刑シーンがあまりにも衝撃的で、眠れなくなるほどだったことを今でも覚えています。
大人になった今、ストーリーはかなり理解できるようになりましたが、やはり処刑されるシーンは少し見るのが怖かったし、涙が出ました。直視できない現実。でも、日本人として知っておかなければならない現実。世代交代が進む中、今度は私たちが子孫に伝えていかなければなりません。
ストーリー云々は別として、この映画の演出には、所々で少し違和感を感じました。特に、減刑されると思っていたところで処刑を言い渡されたシーン。その瞬間の主人公(中居くん)を映したときの効果音と演出に、一番大事なシーンだけにちょっとしらけてしまった。
まぁ総合的にいい映画でした。ぜひいろんな人に見てもらいたい作品。
キャストの豪華さだけではない!
中居正広、仲間由紀恵、笑福亭鶴瓶を始めとしたそうそうたるキャストで贈る半世紀前の作品のリメイク。
日本人が一生考えなければならない第二次世界大戦(太平洋戦争)の凄惨さと理不尽さを上手く表現していた。
「戦犯」とは?
「敗戦」とは?
そういった、重く苦しく惨く、しかし直視しなければならないテーマが綴られている。
残虐描写はあまりないが、内面から来る何かがある。
キャストは名前が売れているだけでなく、演技力も高かった。真面目な中居くんに完敗。
仲間由紀恵もあんまりセクシー系の役は似合わない。どちらかと言えば本作のような薄幸、地味系か「TRICK」のようなお笑い系で真価を発揮する。
期待していなかっただけに、満足できた。
邦画で昨今増えているチャラい恋愛映画より遥かに芯がある。
鑑賞劇場:TOHOシネマズ西宮OS
親になって分かる感動のシーン
金網ごしの親子の面会のシーン。1歳にもならない我が子を抱きしめることのできない父親の虚しさ・・・・。親を持つ者にしか分からない特別な感情に涙が出ます。
私は砂の方がいい。
テレビドラマの歴史に伝説を刻んだ名作「私は貝になりたい」。
1959年に橋本忍監督・脚本、フランキー堺主演で映画化された。
その後…おそらくTV再放送で何度か観た記憶があるのだが、
それがいつ頃だったのか、自分が何歳だったかも覚えていない。
ただただ強烈に残っているのが、絞首台への階段を上りながら、
例の「貝になりたい」理由を彼が切々と語るラストシーンだ。。
未だに自分の記憶から消えていない。
そこまでの不条理さに怒りを覚えながら、この遺書ともいえる
彼の小さな切望には涙が止まらなかった。
深い深~い海の底の…と彼が語るところで、モノクロの画面に
海の底へと沈んでいく小さな二枚貝が映る。
その貝と彼がリンクされて交互に映し出される長い語りの場面、
どうしてこのおじさんがこんな目に合わなければいけないの!?
子供でだって絶対そう思うはずだ。こんな結末でいいのか、と。
そんな戦争の不条理と悲劇を描いた不朽の名作を、同じ
橋本忍の脚本でリメイクした本作、特に違和感はなかったけど…。
まぁ、、どうしたって過去作と比べられるのは仕方ないし、
なんで中居と仲間??みたいな違和感も多少はあると思うけれど、
ある意味現代版:貝になりたい。という感じで観ればいいと思う。
訴えていることは同じだし、どうしたってこの不条理さを感じざるを
得ない作りになっているので、初めて観る人でも大丈夫だと思う。
原作者:加藤哲太郎の手記も最近ドラマ化されていたが、
全てがノンフィクションではないものの、BC級戦犯死刑囚の悲劇と
その後、講和条約締結で釈放されることを信じていたくだりなどは、
今作で描かれているのと同じだった。助命嘆願を続ける妻の苦労も
同じように描かれていたと思う。アチラは逃亡劇だったのに対し、
コチラは誰もがもう釈放されるものだと信じ、
それを待つ流れにのっていた矢先の、突然の悲劇ということになる。
実際には豊松のような二等兵が処刑された事実はないそうだが。。
こんな悲しい時代に生まれ、嫌な時代を生きた人々にこそ、
本当の人間らしい暮らしがもたらされなければいけなかったのに、
戦後にそれが叶う反面、不当な扱いを受けた名ばかりの戦犯達が
たくさんいたのだということ。
米国主導で執り行われる裁判のアチラ側とコチラ側の温度の違い、
中居くんでなくても叫びたくなるだろう…!と思うほどの意識差、
無情な国家犯罪に巻き込まれた市民には、本当に固く口を閉ざし
深い海の底の貝になるしか方法はないのか…と思うばかりだった。
(辛いけどもう一度フランキー版が観たい。これぞ必見反戦ドラマ。)
やな時代に生きて、やなことをしたものです
映画「私は貝になりたい」(福澤克雄監督)から。
ストーリー的には、やや物足りなかったけれど(笑)
この映画を思い出すには、この台詞かな、と選んでみた。
従軍中の事件の戦犯として、拘留される部屋にいたのは、
なんと、SMAPの「草薙」くんだった。
今回の気になる一言は、そんな彼の台詞である。
「やな時代に生きて、やなことをしたものです」
重たい雰囲気の中、ボソッと呟いた言葉に力があった。
「士官の命令は、陛下の命令だ」と過酷な命令を出す辛さ、
そしてそれを実行しなければならない辛さ。どちらも辛い。
そう考えれば、今の時代、確かに違った意味で辛いこともあるが、
戦時中の彼らに比べれば、まだ耐えられる時代だと思う。
彼(草薙)が絞首刑にされる前日に出逢い、一晩で別れを迎える。
「一晩だけでしたがこれも何かの縁でしょう」の台詞が、
妙に面白くて、重い映画なのに笑ってしまった。(汗)
リバイバルとあって、ストーリーがわかっているのも、
ちょっと、新鮮さに欠けた理由かもしれない。
面白くない
試写会で無料で見たから腹立たしさもなかったけど
お金を払って貴重な時間を使って見る映画ではありません
中居さんのファン以外は見ないほうが良いと思います
歴史資料だと思って見るのには少しは価値が見出せます、
免許更新時に見せられる映画の部類です。
同じ死刑囚を題材にしたグリーンマイルとは雲泥の差、
比較するのもおこがましいくらいです、あちらは残酷シーンもありますが
見たあと感動の名作という感じがしましたし、また見たいです。
こちらは二度と見たくはありません。
この差は監督の資質の問題だと思います。
それとシナリオ、ストーリーを見たときに撮影許可を出した企業の
責任さえ感じます。営利企業として利益が出せると思ってるのでしょうか。
この映画は単に歴史資料です、そう思ってみれば少しは救われます。
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