「1作目もいいが、この続編も捨てがたい」28週後... 荒川ラリーさんの映画レビュー(感想・評価)
1作目もいいが、この続編も捨てがたい
インディーズ風の粗い映像を莫大な予算をかけて作り上げた前作と比べ、今作は映像の質、世界観ともに前作を凌駕する規模となっています。映像がくっきりした分、ドキュメンタリーのような荒々しさはあまりありませんが、しかし、感染が広がるロンドンの街を軍が焼き打ちにする大殺戮シーンや、ただっぴろい野原に朽ち果てた遊園地がたたずむシーンなどは、世紀末感にあふれた非常に美しい映像となっており、こうしたスペクタクルシーンや詩情あふれる瑞々しい描写は、綺麗な映像ならではのものだと納得いたしました。寂寞感に満ちたテーマ曲も大変素晴らしいです。変わりゆく世界の行く末をただただ静観することしかできない人類の絶望が、甘く気だるい戦慄によって見事に表現されており、作品により深い奥行を与えていたと感じました。
ただ、この映画に限らず〈家族愛〉のようなものが物語の中心テーマになったジャンル映画は、私個人の思いとしては、総じて登場人物たちの不可解な行動が目につきやすく感じます。本作もまさにそうで、端的に言うと、キャラクターたちの「あんたバカか…!」みたいな言動がちょっと目に余る節がある。唖然というか、「いやいや、そりゃあなたの家族を愛する気持ちは理解できるけど、いくら何でもその行動にはリスクが伴いすぎるだろ…」っといった展開が、個人的には気になるところではありました。
とは言ったものの、そうしたハラハラする言動に対して、真剣に怒り、感情的な想いを抱いている時点で、自分自身もこの映画に夢中になっている一観客であると改めて自覚させられます。ですので、これは批判とかではなく、そうした不可解な点、疑問点も含めて、ジャンル映画はかくあるべきだと、今一度強く思います。
まさか数十年の時を経て28年後という新たな続編が生み落とされるとは夢にも思いませんでしたが、どのような作品に仕上がっているのか、とても楽しみでございます。