第3逃亡者のレビュー・感想・評価
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ラブサスペンス寄り
黒塗りの顔チックのドラマーが有名なお話です。特にホテルの俯瞰からチック男のアップまでカメラが寄ってゆく演出は極めつけです。 この辺りから後年のヒッチ節が確立しつつありますが、この作品はラブロマンス要素が濃厚です
【”瞬きの果て・・。”初期、ヒチコック作品の巻き込まれ型サスペンスの佳品。】
■ある日、女優のクリスティン・クレイが遺体で発見される。 殺人の容疑者とされたのは、彼女の知り合いでもある第一発見者のロバートだった。 身に覚えのない彼は裁判所から逃走。偶然知り合った警察署長の娘エリカとともに、無実の証拠となるコートを探すが…。 ◆感想 ・初期、イギリスでのヒッチコック作品でもあるが、脚本を彼は手掛けていない。その故か、真犯人のガイの殺意の動機が衝動的であったことが、やや残念である。 ・ロバートとエリカが真犯人を追う為に、ロバートが亡くしたコートを見つけるも(コートのベルトでクリスティン・クレイは殺害されている)コートのポケットにグランドホテルのマッチがある事に気付き・・。 <無実の男が逃亡しながら真犯人を探すという、アルフレッド・ヒッチコック監督お得意の巻き込まれ型サスペンス。ユーモアをちりばめつつ緊迫感を高める巧みな演出が光る作品。>
典型的なヒッチコック作品
スタイルが確立されていて、現代の目から遡って観るとあたかも構成要素を嵌め込み式にして製作されたかのように感じてしまうほど典型的な作品 実質的な主人公は署長の娘エリカ 無実の罪で追われるロバートは狂言回しに過ぎない エリカ役の女優が初々しく処女性を発散している上に知的で細く美しい 正にヒッチコックが好む女優の典型 彼女の母はほとんど登場せず、中年体型の叔母さんは長く映すことによってエリカをより美しく若く細いことを対比で際立たせてみせる しかも彼女は身長が低く庇護を与えたい欲求を喚起するような配役だ そこに勇敢な飼い犬を彼女に寄り添わせて、彼女の冒険の勇気に説得力を添えている 題名の第三逃亡者とは ロバートとエリカ、そして三人目の真犯人を指す だが、原題の「若さと無邪気」の方がお話の内容を的確に表現していると思える 戦前の日本の宣伝マンはそれよりもサスペンスを訴求したかったのだろう 終盤のグランホテルのロビーからレストランまでをクレーン撮影で俯瞰して真犯人の居場所を登場人物より先に観客に提示する手法は見事なシーン 全体から核心に一気に近付いていくショットは、その後のヒッチコック作品でも多用されていく レストランで演奏するバンドメンバーが黒人を模して顔を黒く、口の周りを赤く塗っている 現代では人種差別だと糾弾されるメイクだ この時代は何も問題意識がなかった しかし現代の目からこの映像をみると、やはり漫画的にデフォルメしてあり無意識の差別意識が働いていると言われてもしかたが無いことがわかる
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