劇場公開日 2007年6月2日

監督・ばんざい! : 映画評論・批評

2007年5月29日更新

2007年6月2日よりテアトルタイムズスクエアほかにてロードショー

映画とお笑いを極めた男による迷走と爆発の記録

「世界の映画監督35人」の日本代表として出席したカンヌ映画祭にちょんまげのズラで登場、という先日の殿のパフォーマンスこそ、「監督・ばんざい!」の作風を最も正確に伝えているのではないか? すなわち、巨匠化した映画監督・北野武に対する、お笑い芸人・ビートたけしが行った偶像破壊。“北野武/ビートたけし”をめぐる自己言及的な考察、という点は前作「TAKESHIS’」(05)の延長だが、今回はそこに奇作「みんな~やってるか!」(95)ばりのバラエティ魂を脳がクラッシュしそうなほど詰め込んで、壮大な自虐ギャグ映画へと昇華した。映画とお笑い、ふたつのジャンルで頂点を極めた男による、怪物的にオンリーワンな迷走と爆発の記録がこの作品と言えるだろう。

お得意のギャング映画をうっかり封印してしまった映画監督キタノ・タケシが、ノイローゼのような面持ちで「どんな映画を作ればいいんだろう……」と自問自答を開始。小津安二郎風(というかパクリ)の「定年」、昭和30年代が舞台の「コールタールの力道山」など、最近ウケる映画のサンプルを片っ端から映画化するが、どれも挫折――。そんなトホホな状態を経て、突然覚醒したキタノ・タケシは、形容不能のバカ映画をトチ狂ったように撮りはじめる。その変態カーニバルを目の前にした我々は、もう呆気に取られるしかない。「いいかげんにしなさい!」とのツッコミも、地球に落ちてきた隕石の高温が焼き尽くしてしまうのだ!?

(森直人)

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