理想の結婚 : 映画評論・批評
2000年2月15日更新
2000年2月19日よりBunkamuraル・シネマほかにてロードショー
軽妙洒脱な恋愛劇に「理想の相手」の見つけ方を学べ!
職業の選択枝が増え、女ひとりの細腕でもなんとか生活していける昨今、「理想の相手」に巡り会うのは至難の技。まぁ、結婚なんてものは、当の男女が妥協点を見出すことなのだろうが、男女の思惑や計算が複雑に絡み合う「理想の結婚」を見ていると、その難しさがしのばれる。
物語の軸となるのは、19世紀末の英国社交界で<理想の夫婦>と称される男女。ある事件を契機に危機を迎えた夫婦が結婚の真実に気づくまでが軽妙に描かれるのだが、この夫婦、いやに他人行儀。相手を理想化し過ぎて、互いの欠点をひた隠そうとするのだ 。それ故にコジれた夫婦仲をなんとか取り持とうと登場するのが「結婚に不向き」と自称するプレイボーイというのが皮肉っぽくてニヤリとさせられる。
原作者は、耽美主義者として有名なオスカー・ワイルド。人間の本質を見抜く洞察力にも恵まれた彼は、この戯曲で当時の上流階級の人々を鋭く風刺している。互いを取り繕った男女や表向きばかりを気にする貴族たちをモデルに人間の本質とは何たるかを説いているのだ。
な~んて小難しいことを並べ立ててはみたが、得られた教訓はひとつ! 「理想の相手」を見つけるには互いに腹を割るべし、なのである。
(山縣みどり)