太陽の墓場のレビュー・感想・評価
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☆☆☆★★★ 初見。簡単に。 大島渚の第3回監督作品。 全編でロケ...
☆☆☆★★★ 初見。簡単に。 大島渚の第3回監督作品。 全編でロケされ描かれる、大阪西成界隈の映像資料がとにかく貴重。 この第3回目のメガホンで、既に後の大島組常連俳優が揃い踏みしており。その1人1人の個性の強さが早くも最大限に発揮されていた。 驚いたのは北林谷栄さんの《大阪のおばちゃん》役。 この人の《おばちゃん》役は初めて観たかも知れない。 話自体は、2つのヤクザ組織に振り回される(おそらく)ルンペル達を中心とした話で。正直に言うと。前半から中盤にかけての、人物の出し入れであったり。話の纏め方だったりが、少々いい加減な感もあったのだが、、、 そのルンペル達(名優のオンパレード)の引き出しの多い演技。時代を背景とした戦後のドサクサ感満載な雰囲気は、後半に連れてグイグイと惹きつけられて行き。そのカメラアングルと相まって、最後の20分はスクリーンから眼が離せなくなって行った。 大島渚の演出は、デビュー作の『愛と希望の街』が、とにかく純粋性が際立つ内容だったのに対して。この本編では、ラスト間近でのごちゃごちゃとした猥雑さの中にありながらも。後の代表作と言える『日本の夜と霧』や『絞死刑』での観念性・退廃性に通ずる一面を、そこはかとなく漂わせていた気がする。 2020年 9月3日 シネマブルースタジオ
タイトルなし
カメラの距離、アングル、アップの使い方、動かし方が絶妙だった。役者の身振り、間のとり方も凄くて、こういう風に写すのかあと感心しきりだった。 眞鍋理一郎の音楽も良くて映像のリズムとの交わり方がイイ。 こんな作品を作る人があったのかと。
作為が勝ち過ぎてか監督の情念が…
大島監督の長編デビュー作「愛と希望の街」が 余りにも素晴らしかったので 「青春残酷物語」の次回作として 期待を込めて初鑑賞。 しかし、脚本か編集なのかは分からないが、 場面展開に切れがなく、 また背景を生かす描写には目を見張るものが あるものの、 台詞の人物を追うカメラワークには 上手さを感じなかった。 そもそもがアウトローの映画は、 活劇としての面白さか、 登場人物の苦悩としての心象に どこまで迫れているかとの点が 作品としての生命線かと思うのだが、 残念ながら、この作品では 両方とも感じ取ることが出来ない。 「愛と…」が心を打つのは、 長編デビュー作品として、多分に監督の それまでの人生の蓄積が情念と化し、 それが脚本に上手く凝縮された結果だった ように感じるが、 残念ながら2、3作目となった「青春…」 とこの作品では 監督の作為が勝ち過ぎて 上手くまとめきれなかったのではないかと 想像はしたのだが。
主演女優の力量に感心
ちょっと黒澤明の「どん底」を感じさせる内容だが、大島渚監督のもっとも力量ある時代の秀作ですね。 ルンペン、チンピラ、ヤクザが戦後のドヤ街でもがきながらも生きてゆく凄まじいエネルギーを感じました。 炎加世子という女優は知りませんでしたがすごいですね・・・セリフを凌駕する魂の叫びというかちょっと今の女優にも見当たりません。 いい映画でした。
ネームバリュは低いが大島を知るには必見
大島渚の監督3作目。1960年映画。大阪のドヤ街の最底辺で生きる人間達を描いた作品。 ポン引きと採血をシノギにする愚連隊と拾い屋ルンペンたち。まだ戦後が色濃く残っていた時代とはいえかなり強烈。この容赦なさが描きたいことなのだ。監督は、どうやって食っていくか、どう人間らしく生きていけるのか、を問うてくる。 若き日の佐々木功・津川雅彦は甘いマスクの超絶二枚目。しかしこの映画で最もインパクトあるのは女優の炎加世子であろう。猛烈な関西弁でズバズバもの言う姿はそれだけで画面をさらう。彼女のバイタリティが救いでもある。 ところどころ実験的なテイストを入れつつ若き大島監督の才気が漲った一作と言えましょう。
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