劇場公開日 2000年4月15日

サマー・オブ・サム : 映画評論・批評

2000年4月15日更新

2000年4月15日よりシネマスクエアとうきゅうほかにてロードショー

スパイク・リーが暴く群集心理の恐怖

1977年、ニューヨークのいちばん暑い夏。スパイク・リーは19歳だった。

ハリウッドのブラック・パンサー、スパイク・リーの新作はそのとてもとても暑い一夏の経験を綴った青春グラフィティである。これは人種間力学をテーマにしたブラック・ムーヴィーではない。夏の熱気に浮かされて暴動がはじまるのは「ドゥ・ザ・ ライト・シング」と同じだが、ここで標的になるのはイタリア人のピザ屋ではない。ちょっと目立ったモヒカン頭のパンクスである。その年、カップルばかりを狙って銃撃をくりかえす連続殺人鬼“サムの息子”が街を騒がせていた。不安に駆られた人々は勝手気儘に犯人探しをはじめる。群集心理はパニックを呼び、しまいにはリンチまでもが……。

どうやら「ブギーナイツ」あたりにライバル心を燃やしているらしいリーは、77年当時の愛らしくも阿呆らしい風俗を楽しげに再現してみせる。ディスコとパンク、「サタデー・ナイト・フィーバー」と「シド・アンド・ナンシー」が共存していた奇妙なNY。主人公たちが〈スタジオ54〉から〈CBGB〉、〈プラトーズ・リトリート〉(有名なスワッピング・クラブ)へと流れていくところなど観光ガイドの趣きさえある。これはスパイク・リーの「アメリカン・グラフィティ」なのだ。

(柳下毅一郎)

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