ヴァージン・スーサイズのレビュー・感想・評価
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描写が美しい…
ソフィア・コッポラ監督作品は本作が3作目。彼女の作品の素晴らしいところは描写が美しい点だと改めて実感した。
ストーリーは、美しい5姉妹がいる家族が次女の自殺により家庭崩壊していきながら、それを傍らで見ている少年達のフラストレーションを描いたものである。
ソフィア・コッポラ監督は小物を使うのが非常に上手いと思った。人もそうだが、物を写して臨場感を出している。
個人的にはキルスティン・ダンストがイイなと思った。スパイダーマンの時には感じなかった若々しい色気が作品を盛り上げている。
姉妹たちが主人公ではあるのかもしれないが、それよりも姉妹に惚れている少年と同級生にも焦点を当てている。何かノスタルジックでもありながら、思春期特有の感情を繊細に映し出していた。
サウンドトラックも最高だったし、見る価値は大いに有り。
すごくよかった
以前に友達の勧めでDVDで見てとても感動し、この度北千住の東京芸術センターのソフィア・コッポラ特集でスクリーンで見る事ができた。千円だった。
この映画は女の子が主人公なのだが、童貞の目線が非常に確かでしっかり描かれている。この後、鼻持ちならない感じの映画ばかりを撮るようになるソフィア・コッポラ監督になんでこんなセンスがあるのか不思議だったが原作がそうなのかもしれない。だとしても、そこをしっかり描いた監督は素晴らしい。童貞の連中なんかダサいと思っているだろうに、なぜこんなにすごくいいのか、童貞にシンパシーを感じているのだろうか。
童貞連中が電話でロックを聴かせる場面など本当に素晴らしい。童貞じゃないけど、パーティの裏でキスする場面も素晴らしかった。
暗闇
美しいままで
いろいろ考えさせられる作品。5人の美しい姉妹の話。彼女たちは確かに愛に飢えていたと思う。でもそれだけじゃない。
一番下の妹が自殺未遂をしたときに、医者に言った「あなたは13歳の女の子じゃない」という言葉に印象が残った。確かにそう。ティーンエイジャーを経験した女性なら分かる気持ちだと思う。そして厳しい両親、とくに母親。彼女は愛情をしつけと勘違いしていたのかな。厳しいからこそ反抗したくなる娘たち。とくにラックスには印象が残った。彼女がこっそりと、でも堂々とタバコを吸う姿が印象的だった。
この映画のすごいところは、あのラストでも悲劇で泣けるという印象を与えないところ。ソフィアコッポラはそういう微妙なところが上手いと思う。
生きると死ぬ
が逆転しているような姉妹だった。生き生きしたものを奪われている。奪ったのは両親だけではない。
両親もどこか死んだように生きている。父親には戦争の影を感じた。
男の子達はどうなんだろう? レコードをかけあっている所は良いシーンだった。
トリップは愛とか言っていたけれど、単なる欲求としか思えない。
近所のきれいな女の子、同級生でチャンスがあればデートしたい。でもその人のコアには触れたくない。きれいなところだけ見ていたい。だから救いようがない。
姉妹はまるで五つ子のようだ。彼女らの中で言葉以上の結びつきがあって、他人、親にはわからない。
救いようがない状況では、死ぬ事が出口に見える。夢のように美しくすら見える。その美しさ?を映画は美しくとらえている。
雰囲気だけでは映画になりません
ソフィア・コッポラ監督は観たことがなかったんですね。それは、なんとなく失望したくないというか、大コッポラの娘がこんなもんか、なんて思いたくなかったっていうのがあるんですね。
で、まぁ、私、キルスティン・ダンストのファンなわけでありまして、そうしたらこの映画と『マリー・アントワネット』は外せないのかなぁなんてのもあって、ついに観てみたわけです。
で、悪い予感は的中・・・ 映画は本来が面白いものであるってことを理解しないで撮ってる感じですかね。ちょっとオシャレな構図にして、ちょっとポップな音楽をのっけて、そしてアンニュイな雰囲気出して・・・って、それじゃあ、やっぱり映画ではないんですよね。せめて、雰囲気映画に徹すれば良いものを、なんかコメディタッチの編集をちょいちょい入れてくるし、意図がよく分からないですよ、これ。
ひたすら回想の台詞で状況を説明し続けるし、4人の娘が一度に自殺するほどの行き詰まった感じもまったくないしね。だって、まぁ、お堅い親っていうのは、それなりにいるじゃないですか。それが厳しければ、自殺なんていう選択肢を取る前に、もっと反抗するとか色々やるでしょ、普通。そんなのすっとばして、突然、ああいったことになるかね。もっと映画的にしたいなら、せめて4人全員が一箇所で死んでいてほしかったですよ。または、ラックスの死んでるカットは、説明の台詞なしで撮ってほしかったですよ。
良かったのは、終盤の男の子たちとのコンタクトシーン。あのアイディアは甘酸っぱくて良かったかな。
しかし、うーん、これはいくらキルスティン・ダンストのファンだといっても、『マリー・アントワネット』にいくかは微妙ですね、はい。
憂鬱な内容を映像美、音楽で不思議に表現した映画
死によって姉妹は、永遠の生を手にした。
映画が日本で公開された2000年の雑誌で、林文浩氏が残したレビュー、
「この映画の魅力は、悲劇的で救いようのない結末でありながらも、観るものに決してネガティブな印象を与えない演出の上手さであろう。それは、死よりも生がより魅力的に描かれ、姉妹の存在、行動に一喜一憂する少年たちの感情は、最後の休日を楽しんでいるようで、反対にもの悲しく滑稽である。この映画で最も幸せな瞬間と言っていい、ダンスパーティーに向かうシーン。そして、ラックスの朝帰りによるささやかな自由の崩壊。家に閉じ込められた姉妹は、むせかえるような女の匂いを充満させ、死の影にに蝕まれていく。孤立してしまった彼女たちに必死になってコンタクトを試みる少年たち。孤立し、絶望し、死と隣り合わせになりながらも彼女達は輝きを失わない。励まされ夢見ているのは少年たちの方である。
5人の美しい姉妹は自ら命を絶つ。まるで永遠の生命を得たように。そして、残された少年たちは、今が永遠でないことを知り、彼女たち以上に不自由な大人になっていく。」
結局、姉妹が助けられなかったのは、だれも彼女たちを理解しようとしてないし理解できなかった。それを悟った彼女たちは、別の手段で、自分たちの美しい命を守ったのである。
映画タイトルそのまま。 はたらかせるのは頭じゃなく。
愛や孤独、不偏的で永遠のテーマ
ざんこくとガーリー
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