「とにかく全体的に中途半端。」ナインスゲート Fate number.9さんの映画レビュー(感想・評価)
とにかく全体的に中途半端。
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「中途半端」。この一語に尽きる。
ホラーやサスペンスとしては怖くもなく、悪魔の書を巡る「オカルト風味の謎」もミステリーの謎解きとしてはありがちで意外性が無い。
怪しげな組織や陰謀がらみと言うほど大げさでもなく、結局は「金持ちの個人収集家同士の本の奪い合い」でしかない。それでいて「悪魔の書」に魅入られていく「人間の愚かしさや恐ろしさ」にも焦点が当たっていないので、単に調査するだけの立場だったコルソが、自分の命の危険も顧みず、調査を続行しても利益が無い「悪魔の書」の謎解きに懸命になっていくプロセスに、納得できる動機が感じられなかった。
すべてが嘘ではなく、真実も隠されているという終わり方や、謎の女の正体をはっきりさせないのも、「見ている者に解釈を任せる」と言うと聞こえは良いが、結局、きちんと結末を描かないでも済むから曖昧にした、という安易さが窺える。
おまけに、お粗末なワイヤーアクションのおかげで、せっかくの作品の重厚な雰囲気まで安っぽいものになってしまっている。ミステリーとして悪魔の書を巡る 「人間の思惑が絡んだ謎解き」に特化するか、それが出来ないならホラーとして「不可知的な存在が絡んだ恐怖演出」に徹底するべきだった。
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