ソフィーの選択のレビュー・感想・評価
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生の歓びと死の誘惑
第二次世界大戦後のニューヨークが舞台。1982年作品で作品の舞台は47年。
アウシュヴィッツを生き延びたポーランド人のソフィー(メリル・ストリープ)と同棲するユダヤ人ネイサンの住むアパートに、南部の田舎から出てきたばかりの作家志望の青年スティンゴが引っ越してくる。本作はスティンゴの視点で進み、徐々にソフィーのこれまでの人生が明らかになっていく。
ほとんどのシーンが現在のニューヨークでありながら、物語には戦争の傷跡が色濃く映し出される。
とりわけソフィーがアウシュヴィッツで直面した「選択」は、彼女自身に重く、暗い影を落としている。
その「選択」は、戦争が生み出した狂気と言うほかない。そしてネイサンには、また異種の狂気があるが、年若い青年スティンゴにはない。スティンゴはやがてソフィーに恋をするのだが、ゆえにソフィーは彼を遠ざけるのだろう。
スティンゴが作家志望ということもあり、全体的に描写やセリフは詩的。
3人が友情を深めるシーンはカメラ、脚本ともに素晴らしく生の充実を描くが、それらの積み重ねが狂気によって、いとも簡単に壊されてしまうことが対比的に描かれていて巧みである。
ネイサンはホロコーストを憎んでおり、壁には強制収容所の写真を貼っている。それはソフィーには耐えがたかったはずだ。しかし、その反面で彼女にとっては忘れてはいけない記憶でもある。
ネイサンとの愛情、ネイサンを交えたスティンゴとの交流、そこには人生の歓びがあったはずだ。しかもソフィーは、文学、音楽、おしゃれなど人生の愉しみを識っている人だ。しかし、その一方で、彼女には常に死の誘惑があった。自分だけがアウシュヴィッツを生き延びてしまったということを自分自身、許せなかったのだ。
誰にも話さなかったアウシュヴィッツでの出来事を、ソフィーはスティンゴにだけ語る。いや、辛すぎて「話せなかった」のだろう。そして、話せたから、この出来事を、自分の身に起きたことを、誰かに言い残すことが出来たからこそ、彼女は死ぬことが出来たのだろう。
舞台となる一軒家を改装したアパート「ピンクパレス」がまた素晴らしい。
ソフィーたちの部屋は、元がメインダイニングだったようで、5枚の窓が弧を描く出窓がある。その窓の前でレコードに合わせて指揮棒を振るネイサンが、5枚の窓に映るシーン。
ほか、暗く、本で溢れたネイサンの書斎。スティンゴの部屋に面した1階のバルコニー。屋根の上での語らい。「ピンクパレス」を脇役の1人と位置付けてもいいほどだ。
画像は粗いのだが、そこに光の加減も加わり、80年代アメリカ映画っぽさを感じる。
151分と長いが、始まればあっという間。
素晴らしい演技(特にメリル・ストリープが出色)、詩的な映像とセリフ、そして人生に戦争があったということ(選択)の重みに打たれる。
傑作。
重たい映画ですが、見応えもあります。 どうしてもメリル・ストリープ...
重たい映画ですが、見応えもあります。
どうしてもメリル・ストリープの顔は好きになれませんが、演技の凄さは否定しようがありません。
メリルに尽きる
オスカー女優に相応しいメリル・ストリープの演技力に尽きる。ただ内容としては平凡で特に感情移入することも無く淡々と鑑賞。途中も睡魔に襲われたzzz…
(午前十時の映画祭にて鑑賞)
2018-218
それでも生きていて
登ってみなければ山の良さは分からず、嵐に遭遇しなければ海の恐ろしさは分からない。人は自分の経験の範囲でしか人を理解できない。心に酷い傷を負ってしまうと、自分の事もままならず、人を助けられるとは思えないし、人にはそう言われるだろう。だが、心に傷を負った事のない人は、深く傷ついた人を理解しない。だから、傷を負うほど、人より優れる。
悲しすぎる
アウシュビッツやナチスドイツをテーマにした映画は、これまでにもいくつか見ましたが、主人公と同じ女性として、母として、このストーリーはあまりにもつらい。第二次大戦下、この映画のような恐ろしいことが事実としてあったのなら、どんな戦争も正義とはいえないと思います。
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