劇場公開日 2022年10月28日

「観た。終わった。13か月の旅、9時間の至福。」ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還 CBさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0観た。終わった。13か月の旅、9時間の至福。

2022年11月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

まず書きたい。ありがとう、ロードオブザリング、ありがとう、ピータージャクソン監督!!!
ホビット フロドの旅としては13か月だが、俺が観る旅として数えると 178分+179分+201分の合計558分(ほぼ9時間)、心から 「指輪物語」 の世界を満喫した。原作を読んで、結末を知っているストーリーなのに、すべてのシーンにひとつひとつ心動かされた。各シーンで、監督が俺に、「ほら、このシーンてさ、こんな感じだと思わない?」 と話しかけ、俺が 「うんうん。絶対こんな感じ。ぴったりだよ!」 と喜び続ける...そんな体験だったなあ。監督は自他ともに任ずる "指輪物語オタク" だそうだけど、監督がオタクで、ホントによかった。

冒頭は、かってホビットだった時代のスメアゴルの絵から始まり、指輪の力によっていかに彼がゴラムに変わっていったかを映像で見せてくれる。いまさらだが、ゴラムにかわっていくスメアゴルの映像はすごい。壮烈ですらある。本作の映画としての価値は、モーションキャプチャーによるCGで体の動きと、キーフレームアニメーションによる表情を描き出し、生きて動いているゴラムを目の当たりにできたことが素晴らしい。 指輪物語の真髄はやはり、 「指輪の魅力に抗いそれを捨てようとし続けるフロドと、指輪の魅力(魔力)を全身全霊で受け止め "いとしい人" として再び一体化をめざすゴラム」 という二人の、正反対ではあるが、その違いはほんのわずかしかないという点。そのことを、全作通して伝えてくるのが、「指輪物語」 であり 「ロードオブザリング」 だよなあ。

フロドとゴラムの関係に加えて、長寿であり未来もある程度見通せる存在であるエルフの時代から、不完全だが勇気をもって戦う力をもつ人間の時代へと、中つ国が変わっていくことの示唆。俺は、この2つは大きなテーマとして受け止めた。不完全であることは劣っているとみるのか、それとも変化する可能性をもっているとみるのか。そして必ずしも変化すればよいというわけではなく、それは両極端の結果を生むのだ、ということを自覚して変化していかなければならない、ってことかなあ。

アルウェンが打ち直す、かってエレンディルがサウロンを打ち破った際に折れてくだけちった剣ナルシル。打ち直した後の剣の名前はアンドゥリル。それこそが、去り行くエルフから、台頭する人間へのひとつのプレゼントとして象徴的に描かれているのだろうな。
「全てが不確かだ。ただ、たしかなことがある。今、彼らを見捨てたら、私たちは永遠に悔やむ」

そして、ミナスティリスの街。これまた壮大な白い塔のような街。3部作通じて、中つ国の各街の造形はすごいなあ・・

本作「王の帰還」 を見るとゴンドールの執政である父デネソールと兄ボロミア、弟ファラミアの関係は、たしかに話としてしっかり観たくなるね。その部分も含む、3部作よりさらに120分長いSEE版(スペシャルエクスデッドエディション版)を、いつかは観たくなるね~。

本作のクライマックスはゴンドール、首都ミナスティリスでの戦い。映画の中で語られるセリフ 「時は、来た」 だ。そう、まさに、時は、来た。
ここまで約8時間を見続けてきた俺にとっても、とうとうクライマックスが訪れてしまうのだ。その感情は、ずっと続いているわくわく感であり、もちろん喜びでもあり、そして終わってしまうことに対するそこはかとない哀しさだ。3作にわたって見続けてきたこの長い旅も、とうとう最後の闘いなのだ・・・

そして忘れてはいけない。肉体的な戦いと対応した形で並行して繰り広げられ続ける 指輪を捨てるためのフロドの旅路。そう心の中を中心にしたもうひとつの長い旅も、また、最後の闘いなのだ。

これって、観てから書いたものではあるけれど、本作を見ているまさにその時に感じていた内容と一字一句違わない。ああ、ほんとうに長く楽しい旅だった。重ねて言うけど、ありがとうロードオブザリング、ありがとうジャクソン監督!! 俺は幸せでした。

中途半端なレビューだけど、やっぱりみんなに自分の目で観て、中身をたしかめてほしいな。

CB
ratienさんのコメント
2024年9月1日

共感、コメントありがとうございました。

やっぱり、この作品におけるゴラムの存在は大きいです。指輪を持つ者、捉われた者としてのフロドだからこそ、ゴラムに対してもどうにかしたいと寄り添う心が強かったのではないでしょうか。
エルフ、ドワーフ、人間についても、それぞれの奥深い想いの物語が展開する「ロード・オブ・ザ・リング」、ホンッと大好きな作品です。

ratien
Don-chanさんのコメント
2024年7月28日

もはや言うことなしです。この映画に感謝しかありませんね。

Don-chan
CBさんのコメント
2022年11月22日

ですよね。

CB
asicaさんのコメント
2022年11月22日

遅くにこんばんは。
ここってこんな感じだと思わない?うんうんぴったりだよ。のくだり。まさにそうで、あーー私の感情との一致で震えが来る思いです。ゴラムとスメアゴルの事そしてフロドとサムワイズ、彼らの心情描写が画面から本のままそっくりに飛び出して来るのはやはり監督が原作をこよなく愛しているからなんですよね。
そしてそれらを実現に導く経済力と価値を見出す地盤に対してはただただ羨ましいと思うばかりです。

asica
CBさんのコメント
2022年11月20日

いえいえ、asicaさんのレビューのコメントにあること、きづいてますから大丈夫ですよ。
自分もコメントに対するコメントをどちらに書くかは、いつも選びながら迷いながら書いています。

CB
asicaさんのコメント
2022年11月20日

お返事大変遅くなりました。

こんな熱い熱いレビューと私へのコメントを頂いたら本気でお返しせねばと思い時間のある時にきちんとと思い書くもののふとバタバタした瞬間にあっさり消えてなくなってしまう を繰り返しておりました。
いっそもう どこどこの喫茶店で会って話したい!ってレベルもしくは
封書のお手紙でも出して文通したい気持ちです。
とにかく消える前に一旦送信!

asica
pipiさんのコメント
2022年11月17日

いやぁ〜ん!ピピンじゃな〜い〜(笑)

お褒めのコメントありがとうございます〜。
いやぁ、迷ったんですよ。
1部がヒロイックファンタシーガチファンモード
2部がおちゃらけモードだったのでどんなテイストにするか。
でも、なんとなく自然に真面目に論じてしまいましたw
やっぱり集大成の完結にはトールキン&ジャクソン監督への敬意が溢れてしまいますね。

CBさんのレビューは三部作通してブレない、ぶっとい芯が1本通っている感じで素敵です♪
楽しく拝読させて頂きました^ ^

pipi
CBさんのコメント
2022年11月17日

うわ、楽しみ😀

CB
近大さんのコメント
2022年11月17日

『ホビット』でもこの世界観をたっぷり堪能出来ますよ(^^)

近大
CBさんのコメント
2022年11月17日

ふふ。エルフ語、身につけたら、すごいな。

CB
kossyさんのコメント
2022年11月17日

いつかIMAXで観てみたい!
その前に北陸でもIMAX上映館が出来ますように・・・
そしていつか、エルフ語がわかるようになりたい・・・

kossy